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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第12話 誰が日常を守るのか
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12話その2

「クリスマスパーティーだよ皆!」


バンと黒板にかっしゃちゃんが叩きつけたプリントを僕らは目を凝らして見る。


「かっしゃちゃん、見えな〜い」


「あ、ごめんごめん……って誰だ今かっしゃちゃんって呼んだやつ」


「くまちゃん先生、そうじゃない、手で見えないとかそういう問題じゃない、磁石で留めてってことじゃない、遠くて見えないってこと」


「あ、ごめんごめんやっぱ見えない?」

「……って何だくまちゃん先生って、初めて聞いたぞ?そんな呼び方ならかっしゃちゃんの方がマシじゃないか」


「見えませんよかっしゃちゃん」


「1人一部印刷してくださいよかっしゃちゃん」


「ホームルーム終わっちゃうよかっしゃちゃん」


「えぇ〜い!かっしゃちゃん、かっしゃちゃんうるさい!」

「よーし、わかった印刷して来てやる!首を洗って待ってろ!」


(小学生かあの人は)


熊というより猫だな


クリスマスケーキ(経済の期末テスト)楽しみにしとけよ!!」


「オレたちもう経済取ってないよ、かっしゃちゃん!」


「そのネタは前にやったよかっしゃちゃん!」


「廊下は走らないでください嘉者熊先生」


「あ、さるさん先生、すみません!」


「………初めて言われましたよそんなあだ名」





「いやぁ〜やっぱ面白いねかっしゃちゃん」


ケラケラと左天は笑う。


「もうひと回り小さくて童顔ならなぁ〜」


「童顔……?」

「もう十分童顔だと思うけど」


「いやいや、童顔って言うのはおまえみたいなのだぞぉ〜!」


佐天はアルの頬をぐにぐにといじりながら笑う。


「ねぇ、本郷くん」


「何?」


「あの話、どうなったの?」


おそらく間夜井摘夢里のことだろう。


「………どうにもならなくなった」

「もう学校には戻れないって」


「………そっか、そうなっちゃったか」


「何の話?」


この暗い雰囲気を払拭するためアルが知らないていを装い話題をずらす。

わざわざ知らない人に教えることでもないので、


「ううん、大した話じゃないよ」


この話題はここで終わり、


「で、改めてなんだけどさ」


「何が改めてなのかわかんないけど何?」


「私達でもクリスマス会、やる?」

「っていうか、やろう、やるよね、やるしかない!」


「クリスマス会か……数年前にやったっけ」


「そうそう、覚えてる?」


「覚えてはいる、いるけど……ちょっと無理かな」


早太は申し訳無さげに彼女に答える。


「えぇ〜、何でぇ?」


「だってさ、どうせ大量の友達呼ぶだろ?」

「でも僕の仲良しは友崎と下河だけ」

「で、友崎は陣内とデート、下河は入院中」

「僕にリア充空間でクリぼっちしてろと?」


「えぇ〜私もいるし、アルちゃんもいるじゃん!」


彼女は学校では話さない2人は友人であると思っているらしい。


「左天さんもアルも引っ張りだこ、ムリムリだよ」


「あぁ、そっかたしかにアルちゃんプライベートになったらたかられそう」

「学院四姫平和平等条約……?とか言うので守られてるから学校内ではあんまり人が近づいて来ないけど学校外かつ登下校中じゃなければ条約外だもんね」


聞いたこともない条約に早太、アルは首を捻る。


(早太君、条約って何?)


(わからん、わからんけど四姫ってのは前に聞いた気がするな、あれはたしか……そう、たしか花音が教室に来たときだ)


(華家来ちゃん?)


(なんだっけ、学院で特に美人な4人を選んでるんだっけかな)


(そんなのに私選ばれてるの!?)


「それにしても、まだ下河君復帰できないのかな?」

「………あ、アルちゃんは入れ代わりだったから知らないよね、下河絵縫(したがえぬ)君」

「私と本郷くん、そして友崎はね家が近所な幼馴染だったんだ」


「え、そんなの!?」


彼女は下河絵縫という存在を知っている、

しかし、彼女は彼の幼馴染であるという事実を初めて知ったらしい。


驚いた表情……というか聞いてないよという表情で早太を見る。

まぁ、彼は彼女に下河のことを一切話してないのだから仕方がない。


……っと、ここで彼女は聞き流していたある部分にようやく引っかかる。


「………だった?」


「うん、僕が引っ越したからね」


「へぇ〜」


彼女が頷いたとき、先程閉められた教室のドアがいきよいよく開かれる。

そこには生徒全員分のコピーを持って息切れする先生の姿があった。


「ほら見ろ!持ってき……って、ハァハァ、やったぞ!」


「タイムは!」


「4分48!」


「「「廊下走っちゃだめですよせんせぇ!」」」


「うっさい!」


(こんなくそ広い校舎を約5分って、足速いなぁ……)


いつものタイムを20秒も短縮した彼女を羨ましがりながら彼は回されたプリントに目を通す。


『夢の森学院全部合同クリスマス会のお知らせ』

『今年のクリスマスは我々の主催する小中高合同クリスマス会に参加しませんか?』

『普段関わらない後輩たちに学びを与え』

『自身の知らない世代の変動を肌で感じル良い機会です、当日交換用のプレゼントさえご用意くださればあとは何もいりません』

『ぜひご参加ください 』

『開催日:12月26日(土)』

『時間:15時開会』

『場所:神織総合武道センター』

『持ち物:プレゼント(千円まで)』

『イベント内容』



「…………そうか、クリスマスか」


「何で今更そんな感慨深げなの?」


「いや、なんとなく一部の人達はクリスマスにトラウマがあるというか……」


「クリぼっち?」


「違う」


「あ、そっか毎年誕生日とかクリスマスはどれだけ締め切りに追われてようとお父さんが一緒にいてくれるもんね」


(今年は無理だけどね)


「いいなぁ……私の家族なんて研究者ばっかだから家族サービスが希薄でさぁ」

「クリスマスは友達と遊ばないとクリぼっち確定なんだよねぇ」

「アルちゃんは?」


「わ、私?」

「私は……たぶんクリスマス1人ってことはないと思うな」


「へぇ〜!アルちゃんの両親も家族サービスが行き届いてるんだ、いいなぁ〜」


「あ、あははっ……」


肯定否定せず(どっちともつかない)苦い笑い、


(嘘はついてないのだから堂々とすればいいのに)


僕は内心そんなことを思いながらもプリントに目を落とす。


(12月26日……って)

「あれ、この日土曜学校じゃないっけ?」


「だね、そのまま向かうんじゃない?」


「参加者全員で大名行列か……混みそうだね」


「と言ってもいろんなルートがあるしそんなこまないんじゃない?」


「だと良いんだけど……」


心配する早太に答えた佐天が改めて、


「それで、2人は参加するの?」


そう2人に問う。


「参加する」


「参加します」


((できるといいけど))


2人はなんとなくだが察していた、

当日まであと5日、

その間に空気の読めない怪物達(あいつら)が絶対に現れるだろうと。


「………あれ、そう言えば本郷くん?」


「何?」


彼はプリントから目を離さず佐天に返事する、


「君今年は1人だよね?お父さん不在だし」


そうだよ、と言おうとした口の動きが止まる。


「なんで知ってんの」


「え、だって噂になってたよ?」

「お父さん、今島の外にいるんでしょ?」


「何故噂に!?」


別に島外外出者が秘匿されているわけじゃない。

それでも普通の一般人の島外外出がわざわざニュースになったりなんて……


「でも、意外」

「ただの一般人の島外外出なんて前代未聞、なんでテレビでニュースにならないんだろ?」


訂正、そう言われるとたしかに変だ。


もしかしたら半怪人(本郷早太)に注目が万が一にでも向かないよう、中央が配慮したのかもしれない。


「皆案外興味ないのかもね」


自分の父親の話をどうでも良さげな口調で返事する彼に彼女が首を捻ったときちょうどチャイムは鳴り響いた。

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