12話その1
嫌な音が耳に反響する。
暑い、暑い日だった。
普通で、不変的だと思っていた一日だった。
5歳の僕はヒーローになれると思っていた、
そんな純粋だった頃の遠い記憶。
ヒーローは正義の味方
いかなる悪にも勝利をもぎ取り不屈の戦士
彼らは正義のために何度でも立ち上がる
僕の正義の味方は母だった。
だから母が、
僕のヒーローが、
いなくなる日なんて来ないと思っていた。
乾いたアスファルトが不意に潤いを得ていく。
黒に乗ったその流れの色は何色か、
僕にはわからなかった。
誰かの去っていく音がする、
誰かの去っていくのが見える。
動かないソレが僕には歪んで見えて、
動いているソレが消えていくのを僕は見ていた。
泣き腫らした顔を見せながらも僕を思ってくれた父の顔を見ていた。
僕は1人暗い部屋で
うるさいソレが見える。
僕は動かない
僕は、
僕は
僕は………
『早太、お母さんの正義はね………
「………ひさしぶりだな」
見上げた天井は見慣れている。
飾り用のない白さと無機質な電灯が彼を見下ろしてくる中1人、呟きながら目を開く。
「あの人達の言葉を聞いたせいだな」
気分悪気に立ち上がった彼はフラフラと寝室をあとにする。
(……相変わらずあの夢のあとは最悪な気分だ)
顔を洗い時計を見る。
6:15
「………よかった中途半端な時間に起こされなくって」
「………あ、顔の傷、やっぱり少し残っちゃったな」
薬が目に入ると失明する可能性があると言われて怖くなってぬるのをサボった部分の一部に茶色いやけど跡が残っている。
「なんか……厨ニ臭い」
髪を濡らし髪をとく、
ドライヤー2種を使い分けてようやっと僕の寝癖は抑えられる。
洗面所のタンスから着替えを取り出す。
(朝ごはん何にしよう……)
着替えを終えたら台所に向かい冷蔵庫を開く、
(ベーコンエッグは確定としてパンにしようか米にしようか……)
早太の朝食は本来パン派である。
しかし週数度の弁当の日は米が余るので朝食に米を食べることも多々ある。
昨夜作り置きした弁当用の品々を押しのけてなにかないかなと探す。
(あ、和物に使ったじゃこがまだ残ってる)
(ベーコンエッグやめてふつうの目玉焼きに米としらすで食べるか……いや、ここは時間もあるし大根おろしてじゃこおろし醤油なんてのもいいな……)
野菜室から大根を取り出しシンクの下から包丁を取り出す。
「おろし器どこだっけ………あ、あっちか」
取り出した百均製のプラスチックおろし器を器に引っ掛けて擦り始める。
ものの数秒で四分の一ほどあった大根は姿を消し、
かわりに水々しい白い山が器に出来上がる。
「………皮、剥き忘れた」
「まぁ、食べれるだろ」
ご飯を弁当に詰めて冷蔵庫に放り込んだ後、
余りのご飯全てを丼によそいたっぷりのおろしとじゃこを惜しむこと無く載せて醤油を垂らす。
「いただきます」
ホカホカのご飯が上手い、
そう呟きながら箸を止めずどんどんと腹の中へかきこんでいく。
「ふぅ、ごちそうさま」
「やっぱりシンプル・イズ・ベストだわ」
3分かからず食べきった彼は器を水に漬ける。
「さて弁当を詰めますかね」
冷蔵庫から取り出した3品を弁当に詰める、
サバ缶を鍋に放り込んで味噌だ何だを加えただけの鯖の味噌煮風料理、
茹でたモヤシにじゃこと塩、ごま油を和えただけのナムル。
男雑把な調味料を混ぜただけのタレに一昨日漬け込んだ簡易煮卵。
昨日怪物退治で疲れた体に鞭を打って
今日限界まで寝るための早太特性雑把レシピである。
(まぁ、夢のせいで時間をもて余す結果になったけど)
早太は前テレビで見た糸で行う卵の奇麗な切り方を試してみることにする。
「ん〜むずいな」
へんてこりんな形になってしまった卵を見ながら彼は苦笑いしながらもそれをゆっくりと弁当に詰める。
「茶色いな……う〜ん、足すとしたらあと、赤か」
プチトマトを洗い弁当に詰め完成、
蓋を閉める。
米を重ね、
袋に詰め、
2つともリビングの机に置いておく。
そして歯磨きをして、
カバンに今日の教材を詰める。
テレビの時刻は
7:15
あと数十分は余裕がある。
ソファに腰掛け買い貯まってしまったラノベに手を伸ばす。
買い貯めなんて一生の不覚、
読書バカのダックスフンドに吠えられかねない。
彼は異能対策を学ぶべくめくるめく本の世界に……
「遅刻だ!」
急にバン!とドアが開く。
「めっさ、遅刻だよ!?」
「………あ、おはよう早太君!」
「おはよう」
「………まだ時間はあるよ?」
「6時半に起きるはずだったのに!」
「アルドナープ、君は身支度の時間がいらないんだから今から用意しても間に合うでしょ?」
「委員会の仕事があるの忘れてた!」
撫でた瞬間寝癖は治り、
寝ぼけた顔も一瞬で整う。
気づけばパジャマだっていつもの制服に早変わり。
まったく実態が無いとは便利な話である。
「今日弁当どっちだっけ?!」
「本当は君だけど雑把に作っちゃったから今日は僕で」
「わかったぁ、いってきます!」
「いってらっしゃい……って言っても一時間後にはまたクラスで会うんだけどね、話さないけど」
彼は時計代わりに点けていだ脱税だの詐欺だのとちっちゃい島の中でさえ耐えない嫌なニュースばかり流し続けるテレビを消して彼女の乗る電車から3本遅れるように家を出た。
今回は怪物が出てこない&短めな予定です。
読んでくれる人が増えません、
twitterとか初めて宣伝すればいいんでしょうか?
pixivならあるんですけど……
それともYouTubeみたいによろしければブックマーク、星よろしくお願いしますと言えば評価が上がって読者も増えるんでしょうか?
あ、単純に面白くな………いや、いや、そんなことは……
改めまして、
いつも読んでくださりありがとうございます
これからもどうぞよろしく。




