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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第11話 ステラ・マリーゴールド
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第11話 その4

「神座市さん到着は!」


『あと5分だ』


「了解」


くっついた怪物の体をもう一度二分する。

今回は真ん中でなく左右で大きく差をつけてみる。


(………右か)


次、

その逆を試す。


(右、やっぱり大小は関係ないな)

(右を小さく斬った方が引き寄せる力がつよいな)

(ってことはやっぱり)


次、

再び等分


(左、やっぱり移動してる)

(リアルタイムで見分けないと)


次、

等分、

上下に


(上)


飛んだ上半身を縦に両断


(左)


その瞬間床が槍となって僕を貫く。


「っ!?」


30%でも結構痛い、

今まで僕がいかに楽をしていたかがわかる。


それでも僕は動くのをやめない。


体が引きちぎれそうなのも無視して体を捻り金の槍を根本から切り裂く。


そうすれば勝手に槍は僕をスルリと貫通して怪物と融合する。


おそらくあいつは自分を覆う金が一定量以下になると無差別に金を生み出し吸収せんと引き寄せるのだろう。


本来近くを金化すればいいが奴は流石に空気は金に変えられないらしく宙に浮いては新しく金を生み出せない。

そうなるとあたりのすでに存在する金を引き寄せる力を強め肉体を保護するようだ。


まぁ、つまり

引き寄せてる塊にはコアが入っているってことだ。


たぶんだけど


そしてもし奴の本体があれすべてではなく、

コアだけだというのなら、


やつの金に変える能力はコアが入っている塊しか使えないことになる。


となればできることは多い。


あらゆる場合を考えて

何度も、

何度も、

何度も、

何度も切り裂き続ける。


『ほ、本郷……刀は、刀はちゃんと無事か?』


心配そうな神座市さんの声


ま、そりゃそうだ金の塊を何度も何度も切られたんじゃ刃が駄目になるんじゃと心配に決まっている。


「大丈夫そうです、一応コアを避けるつもりでは斬ってるんで」


本当は斬る瞬間電気を流して相手を動けなくしてるんだけど刀になんかありそうな手法にはうるさそうだから黙っておく。


コアに刀が触れると金に変えられてしまう。

いくらなんでも借りてる身でそれをやるのは申し訳無さすぎるので今だトドメは刺せない。


「…………!」


僕は一種の異変を感じ刀を天に投げる。


その瞬間金怪の口から霧状の金が僕の足へと噴出される。


(ミスった!これまでの様子から再生を優先して大きい損壊があるときは攻撃してこないと思いこんでいた!)


付着した金が硬化を始める。

重く、

硬いメッキは僕を金の人形へと変えようと関節や足首、運悪くかかっていた左も腕の一部を金色に変えていく。


(まずい、どうしよう動けない)

(敵は攻撃を……今のところはしてこないな)

(でも、体を修復したら攻撃をしてくるだろう)

(そうなれば詰みだよな)


どうしようかと考える。


1番は……メッキ全部を削ること、無理だけど。

その次は僕を爆撃なりしてふっ飛ばして再生するかたちで脱出する方法……まぁ、これも無理だデバイスが無事で済む訳がない。


………いや、まぁ、本当はもっと一番良い方法はわかっている。

わかっている……けど、無理だ。

他に比べれば実現はできる、

でも無理だ。


加速した思考を持っているとこういうところが厄介だ

方法が素早く思い浮かぶのはいいが僕はその結果を良い場合も悪い場合もすぐに思い浮かんでしまう。


(せめてプロトさんがいてくれたら………)


あとの方法は怪人態の解除かな

解除したってまぁ……あのときのことも考えるとあんましたくないけど、もう一回くらいなら怪人態に戻れるだろう。


(でも、怪物の目の前でそんなことするのは愚策だ)

(せめて数十mは離れないと)


刀をキャッチして考える。


足はまともに動かない、片腕だってそうだ。

こんな状態じゃ足を斬れない。


つまり、逃げる手段が無い。


(一か八か突き刺すか?)

(………後が怖いな、死ぬ気も無いし)


ガパッ……!


(……あ、無理そう)


展開されるいくつもの触碗、


その全てが僕を貫こうと蠢き出す。


しかしその瞬間、


ズドン!


突如怪物の背が爆ぜる、


瓦礫の隙間や、

まだ無事だった遠くのビル、

空を飛ぶ2つ3つのヘリから、


一発ずつの狙撃が触手を撃ち抜く。


「よっしゃ、効いてる!」


「行け、行け、GoGoGo!」


マシンガンを連射しながら待機していた部隊の侵攻が始まる。


数十もの戦士たちが地下や、瓦礫裏などの待機場所から這い出て走り出す。


「ぐぉ!?」


「がっ!」


「っ!?」


無論彼らの武装など機動隊の兵装と大差ない、

怪物の狂ったようなスペックの前にはそんなの紙も同然だ。


貫かれ、斬られ、倒れていく。


「おら!投げろ投げろ!」


「俺達ならただの煙でも隠れれる!」


「持ってんの全部炊け!」


「抑えたぞ、誰か斬れ!」


「おうよ!」


狂った怪物を前に、

負傷し、死に彷徨う人たちは誰も怯まず、

スモークを炊き、

自身を貫く触手を抑え斬らせ、


「はい、ちょっとごめんよ」

「あ、刀は預かるよ」

「動かないでね」

「はい、よいしょせーの!」


いつの間にか隣にいた隊員数人が僕を持ち上げる。


「「「えっさ、ほいさ、えいさ、ほいや」」」


「ちょ、まっ、何なんですかこれは!」

()()()()()()()()()()()()()()()!?」


「子供に押し付けて黙って見てられるほど、大人じゃないんだよ、皆」


「俺達これでも治安維持のエースだぜ?」


「でも、僕は傷ついたって治ります、あなた達は違う!」


「阿呆、治る治らぬは問題ではない!」

「我々は他人の痛みを共感できぬほどガキでもないのだ!」


「自分がされて嫌なことを防ぐ、それが俺らの正義だ!」


「……………そういうもんですか」


すぐ近くの瓦礫裏に運び込まれた僕をゆっくりと3人は地に置く。


「外すぞ」


「お願いします」


シャッターが切られ、境界(スイッチ)が切り替わる。


「どうだ?」


問いを確かめるべく手を体を確かめる。


「……はい、大丈夫そうです」


「んじゃ、悪いけど……」


「はい、行ってきます!」


刀を受け取り僕は走り出す、

銀の皮膚を纏い、

視界が変わる、

速度が上がり、

僕は敵に斬りかかる。


敵を斜めに両断する、

その瞬間金を集めようとする力が働き戦士を貫く槍や、彼らを包むメッキが剥がれていく。


「下がって!」


「おう、了解!」


肩を組み、

助け合い、

助かる者は去っていく。


「……………今は気にするな」


僕は一言呟き刀を振るう。


横一閃


「上!」


縦二等分に両断、


「左!」


金の表面が蠢く、

あの霧攻撃が来る!


キャリー顕現!

空中に現れたファスナー全開のキャリーケースは盾となり僕を金の霧から守ってくれる。


「おら!」


キャリーを蹴り飛ばす、


(重い……!)


いったい幾層金を塗り重ねられたのだろうか、

強化こそしてないが全力では蹴った、

なのに敵にぶつけるにはまだパワーが足りない。


『本郷、突っ込むぞ!』


そんな無線と共に僕の脇をすり抜けるように、

あのドローンがトランクに特攻する。

もとより運搬用ドローン、そこまで頑丈でなく黒煙を噴き放って爆発する。


僕に1つ小包(コンテナ)を届けて


盾に使えるほど頑丈なキャリーに傷は無い。

爆発を食らっても全く変形しないそれも

敵にぶつかった瞬間、みるみるうちに金へと変わり変形し吸収が始まる。


(ここだ!)


能力が何であれ本体はあの脱出ポッドみたいな球体、

吸収も、金化も、全てはあれが大元、

だから金を引き寄せるときも一箇所に集中する。


だから今、僕には丸見えだ。


トランク内を疾走る電子ロック用の電気が渦を巻いているせいか渦の中心が、コアの場所が僕の目にはハッキリと見えている。


「そこだぁ!」


コンテナが開き、

現れた物体を僕は自らの手で敵に突き刺す。


それは試験管のようなガラスの管、

中指と親指の輪よりも太く、

その中いっぱいに液体が波打っている。


先端の針が渦の中心を貫く。


無論金に変える物体に直接突き刺しているんだ、

当たり前のように針は金に変わる。


だがそれにより、


『Gooooold!!?』


内部の液体は敵内部へと流れ出す。


その液体の名は王水


数少ない金を溶かす液体にして、

人が飲もうものなら少量でもただれ、焼け、死のリスクのある劇薬である。


「やっぱり、金にしたくてもさわれないんじゃ無理だよね」


形を保てず蠢く怪物に僕は呟く。


前面がただれるように溶けコアが現れる。


コアも酸が効くようでさっきと形状が違う。


「………まだか」


足掻くように生えてくる槍を躱し、


「おらぁ!」


金に変わるの覚悟でそれを思いっきり空高くへ蹴り上げ叫ぶ。


「正児さん!」






「綺麗なもんだな」


上空揺れるヘリから

ガラスの弾丸が放たれる。


王水の込められたその弾丸は天へ昇る金の龍のように引き寄せた金に追われるコアを見事に射抜く。


『Goooooooo!!!!』


最後の叫びが空に響き、

龍の玉は砕け散る。





「よかった、やっと終わった……もう無理、限界」


見届けたチェインは足から力が抜け崩れるように倒れる。

二度連続の負荷はそれほどまでに凄まじいのだろう。


まぁ、このあと起こる惨劇を見ないで済むのは幸運かもしれないが。

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