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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第10話 ミダス・テゾーロ
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第10話 その4

「無様だな」


「「………」」


瓦礫に埋まっていたときの僕らの写真を正面モニターに写しながら綱持さんは容赦なく言い放つ。


「冗談ですよ、あのシーンが浮かんだので思わず言ってしまいました」


「まぁ、実際とくになんの成果報告もなく無様に撤退してきたわけなんですけど」


「………はぁ、被害は?」


「………死者0人、行方不明者278人、倒壊家屋31棟、周辺被害甚大」

「もはや隠蔽しきれない被害です」

「しかも……」


モニターに映るのは彫像のように微動だにしない金の巨人。


「もう満足したのか、今のところ付近に近づいた兵士にも一切興味を示さない」

「待つ相手は君達だけなんだろうね」


全員ため息をつく、


僕らは腐っても暗部の隊員、

つまり自分たちが相手している存在が何なのか世間様に知られるのは大変にまずい。


「はぁ……とりあえず街の壊滅についてはは地下道路でのガス漏れ事故、像の方は……まぁ、運送中事故で落下したということにでもしておこう」

「現場には一切の一般人および一般ドローンの侵入を禁じ、外観以外の情報は一切与えない、これでよろしいですか?」


ピクルの言葉に局長は黙ったまま重々しく頷く。


「了解しました、そのように」

「………しかし、封鎖も2日以上はできません」

「速やかなる対処、お願いしますね」


そう告げて彼はすぐに作業に移るのだろう、

会議を後にする。


「………ではこちらも怪物討伐会議に移るとしよう」

「本郷君、君は今回の敵、何だと思う?」


その言葉は、答えのみでなく理由も求めた口調。


「そうですね……Gold(黄金)だと思います」


「ほう……理由は?」


「まず、候補に上がりやすいMidas(ミダス)は金を作る能力こそあれど金を操る能力を持っているかというと神話的にも考えにくい」

「もう一つ候補に上げられるAlchemist(錬金術師)も同じく考えにくい」


「何故?あれをゴーレムと考えれば無理はないだろう」


「………え、ゴーレム?無理がありますよあれは」


「………まぁ、40mのゴーレムはもはやゴーレムではないからね」


「それに錬金術師ってなったら属性は幻想かSです」

「なのにあいつからは知性を一切感じません」

「手当たり次第に集めて、作って、殴るっていくらバカでもしないと思うんです」

「行動も何と言うか本能的に感じられました」

「なので自然属性である黄金の能力かな……と」


「なるほど、この意見に異論あるものは?」


頷き問う彼に対し手は上がらない。


「では私も同意見ゆえ、話を次に移そう」

「あの大物の倒し方についてだ」




「やはり足を削るのが1番だろう」


「いや、下手に削って周りを吸収し始めたら始末におえんぞ?」


「そもそもあれは本体なのでしょうか?」


『今丿トコロアレ以外ノ金ハ付近デハ確認サレテイナイ、アレガ本体ト見テヨイダロウ』


「そもそもあれ、どうやって形を保ってるんでありましょうな」


「そりゃ、奇跡の力ってやつだろ」


「常にエネルギーを消費してんなら燃費もわるかろうな」


「でも何でわざわざ大きくなったんだろうね?」


「虚仮威しじゃないですか?」


「あぁ……ありえる」

「ハッタリって大事だもんね」


「やはり巨大な敵には空からの攻撃でしょう」


「空爆とか?」


「無理だ隠匿しきれない」

「できてヘリの派遣くらいだ」


「僕を落とすとか」


「喰われて終わりだろ」


「ですよねぇ……」


「………あ、上はだめなら下はどうだ?」

「あそこならBとHラインに変更で地下道路には支障なく終わらせれるんじゃないか?」


「いや、それだと断水だ」

「Dの方がいいだろ」


「しかし、それだと送電線に…!」


絶えること無く議論が続く、

そんな中、とくに出せる意見のない早太、正児、アルドナープの3人は隅にて小声で反省会をしていた。


「いや……反省もなにもってかんじですよね」


「強いて言うなら能力を把握するまで動くべきではなかったってぐらいだろ」


「でも、奴は能力者が来るまで姿すら見せなかったと思いますよ?」


「まぁ……たしかに」


「…………というかですね、早太君」


心配そうな、聞いてもいいかと不安げな口調で彼女は本郷に問う。


「なに?」


「あなた本当に戦闘まともに出来てるんです?」


えらく今更な質問、

これには流石の彼も首を捻る。


「え、できてたでしょ?さっきも」


そのあっけらかんとした反応に彼女はどうやら納得しない。


「………いや、じゃあ聞き方変えますけど」

「なんで戦えてるんです、()()()()()


「「?」」


2人は同時に首をかしげる、

2人には周知の事実なのか……それとも、


「何を言ってんだアルドナープ、見えてないなんてそんなわけ……


「え、だって見えなくても感じ取れるじゃん」


「見えてないのぉ!?」


知らなかった小木は目を丸くして驚く、

流石の彼も片目だけであそこまでの戦いを演じているとは思わなかったらしい。


「感じ取るって何をですか?」


「え、ん〜電気?」

「僕から発される微弱な電気の反射とか、敵の体から流れ出てる生体電気みたいなのが前々からなんとなく見えるなぁ〜と思ってたんだけど」

「人間のとき包帯が巻かれてるせいかな?怪人態でも片目が見えないことがわかったんだけど……」


彼は未だ焼き傷の言えない目を、肌を包む包帯をそっと撫でながら彼らに今の自分を伝える。


「そのとき暗い視界にさ、はっきりとその流れ……というか線?が見えるようになったんだ」

「僕今怪人態でこっち目だけ使うと人間が透けて神経だけになったようなものが見えるんだ」


「はぁ……そりゃ電気の能力だからか?」  


片目だけというリスキーな戦いを黙って行っていた憤りと、それに気付けなかった自分への憤りを飲み込みながら彼は本郷に尋ねる。


その返答は


「おそらくは」


「………強弱は見えるか?」


「はい、明るさで」


「なぁ、アルドナープどんな怪物にもコアはあるんだよな?」


「は、はい!形は様々であれどその中身と存在は必ず」


「中身ってのは?」


「プレートです」


「プレートに電気は?」


「流れませ………ん、ってまさか」


彼の口角がゆっくりとあがる。


「よぉ〜し、作戦は決定だ」

「やるぞ〜、全力でだ」


それは暗くて鬱々しい悪党の円卓会議のような作戦会議にどうやら光明が刺したようだった。

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