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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第9話 アリアドネの弾丸
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彼女のために少しだけ

「さて……そうは言ったもののどうしようかな」


放課後の学校でぼーっと天井を見つめながら呟く。

今意識を失い収容されている彼女との約束を考えながら。


「彼女の問題を解決する上で彼女の望んだ誰も傷つかない解決法……」


証拠はある、たぶんだけど簡単に手に入るだろう。

しかし証拠を密告して問題の解決を大人に丸投げするというのはどうなんだろう。


そんなことしたらどうなる、

その子達は大人に言われて謝って、

じゃあこの話はここまで

謝ったんだから許してあげてねってなって

何も解決せずにこの話は終わる……


絶対に駄目だ。


「………じゃあどうする」


そもそも始まりの原因は…… 


(早太君、それっぽい情報ありましたよ)


「うん、うん……うん?」

「はぁ、恋愛のもつれ?」

「……片思いの相手を振ったとか?」

「………は?」

「それは……本当なの?」

「告られた?彼女がその子に?」

「それで何で、振ったの?」

「………え?」

「……そうなると少し話が変わってくるな」

「まぁ、他人の噂だし鵜呑みにはできないよね、引き続き調査お願いできる?」

「うん、ありがとう、よろしく」


通信が切れると僕はこめかみをぐりぐりと押しながらため息をつく、


まさか彼女にも若干の否があったとは……

彼女の性格にも幾分か変化が必要だなぁ…

いやまぁ、こんなことに発展するようなもんでもないし、少したりとも問題を容認する気はないけど……



そんなことを思いながらも

中等部に潜り込んで集めてくれた情報を本当と仮定してどうすべきか考える。


「まぁ……下手な理由よりか解決しやすいよなぁ」

「………根本は彼女が帰ってからかな」

「今すぐすべきなのはいじめを行えない状況にして、クラスの雰囲気を戻しとくことか……」

「今回に関してはもうそれでほぼ解決が見えるな」


体を傾け椅子の脚一本で立つ。

出来もしないことを宣言したのは無責任だったかとふと思う、けどそれは後悔じゃない。


なんとなく声に出てしまったことだけど

それを後悔するのはそれこそ無責任というものだ。


すべきことは……彼女の不在が問題によるものではないと学校中……はやりすぎか、せめて学年に思わせることか。


「方法、方法なぁ……」

「やっぱり中等部の中からが1番だよなぁ」

「しかし黒を塗り替える、難しいなぁ……」

「ぽっとでのものには無理だよな、協力者がいる、数がいる、この学校は来ない生徒の理由など答えない」

「面白くない黒い噂は広まりにくい……はず」

「でも来ない生徒の話をするならクラスメイトじゃなきゃいけないな……」

「アルに話してくれたって子に協力を頼めないかな」


「あれ、本郷君?」


誰もいなかった夕暮れの教室のドアに誰か立っている


「…………あ、佐天さんか」


「そうだよ、佐天だよ?」

「何してんの1人で黄昏て」


「………いや、ちょっと考えごと」


「考えごと……あ、もしかして中等部関連?」


「な、なんのこと?」


何でドンピシャり?


「いやぁ〜こないだ後輩に会いに行ったときに君達が中等部に入っていくのを見たからそうなのかな〜って」

「………で、どうしたの?」


彼女はそのまま向かい合うように座る。


「………うまく告白を振る方法ってあるのかな?」


「え、告られたの!?」


「いや」


「憧れの高校生男子的な!?」


「そうじゃなくて」


「告白の返事にアルちゃん連れてったの!?」


「違うつってんだろ!?」


「そうだよね、君が中等部に告られるわけないよね〜」


喧嘩売ってんのか


「だって知り合いいないでしょ〜?」


確かにいないけど


「まぁいいや、で?何悩んでんの」


「えらくグイグイくるな、そう仲良いわけじゃないよね僕ら」


「まぁね〜でも小学校の頃からの付き合いだし?」


「それはこの学校の生徒全員だろ」


「え〜、全員ではないよ〜」

「って、まあこれはどうでもいいから置いといて」

「それでそれで?本当に中等部関連なの?」

「バイト先の生徒の人間関係とか?」


「……まぁ、バイト先ではないけど人間関係を少々」


「あぁなるほどねぇ〜、でそれを解決しようと?」


「そんな感じ、無責任に頼れなんて言っちゃったけど方法が思いつかなくってさ」


「方法?」


「その子が戻りやすいようにクラスに不在でもクラスの雰囲気を悪くさせない噂を広めたいんだ」


「なるほどなるほど、君は問題が自然分解するのを待つ感じ?」


「いや、本人の方をどうするかはもう決めてる」


「ふ〜ん……来なくなったその子をほっとけなかったのかな?」


「………」


「君はやっぱり後悔してるんだねあのときのこと」


「えらく知ったように言うね」


「……まぁ、あのときは悪かったなって思ってたから」


目を合わさない彼女の顔から笑みが消える。


「気にしないで、君は周りに合わせただけ」

「賢かっただけだよ」


苦笑する。


「そんな…そんな簡単にはいかないでしょ?」

「だってあんたはあの日から来なくなったじゃん」


「すぐに復帰したでしょ」

「母さんが死んじゃってごたついてただけ」

「はい、この話はここまで」

「で、僕の質問のご返答は?」


「う〜ん……」

「病気で入院してるとか?」


「それだと鬱だとか変な病気として逆に噂にならない?」


「……まぁ、たしかに」


「僕のときもそうだったしね〜」


ケラケラと笑う僕に彼女は再び渋い顔をされる、

気にしてないって言ってんのにな……


「しかしどうしようか……」


僕がう〜んと頭を抱え考え込んでいると


コンコン


放課後だというのにわざわざドアからノックが聞こえてくる。


「失礼します、中等部2年の華家来です」

「………あ、先輩」


てこてこ入って来たのは日常に戻れたらしい純黒髪の少女華家来花音。


「どうしたの?」


「あの、実は知らせたいことがあったので……」

「これだったんですけど……」


彼女が差し出したのは1枚の手紙。


「………これは」


「あ、天聖児(てんしょうじ)女学院との交換留学の募集の手紙だね」


「留学……あぁ、全学部で2人づつ選ばれるやつね」

「あったなそんなの」


正しくは天聖児女学院とリーズマン男学院に各学部それぞれ1人ずつ計6人この学院の生徒が派遣され、

逆に向こうからも3人ずつの計6人が派遣されるという言わば島内限定の一期間に渡る交換留学と言うやつである。


「それがどうかしたの?」


「実はこれ…私選ばれてたんです」


「ほう、それはおめでとう」


「ですがその、これ、彼女に使えないでしょうか!」


「……?」


「それってその来れてないって子が来てない理由を留学によるものってことにしちゃうってこと?」


なるほどそういうことか、どうやら僕より佐天さんの方が理解力は高いらしい。

たしかに留学生が誰かなんて発表されないから使えるかもしれない。


「なるほど、これなら悪い噂じゃないから広まりやすいかも」

「今年の留学生誰だったんだろうね〜→2年の子らしいよ→そういえば来てない子がうちのクラスにいるよ?って流れなら尖ることなく、しかも誰も断言することなく噂化できるね」


佐天さんはふむふむと頷いている。


「けどさ向こうの子に友達がいたら確認されない?」


「……いや大丈夫だ、あそこは全寮制」

「ここにも書いてあるが基本ケータイの使用は16時〜18時のみ外には持ち歩けないし基本彼女達は許可がない限り7区から出てこない、バレることはそうそうない……はず」 

「まぁ、別にバレたって困ることなんてないし」


「あ、それもそっかこっちはわざわざ噂を流してるけど本来別に噂になるようなことじゃないもんね」


「よし、それでいこう」


僕は立ち上がる、


「どこかに、行くんですか?」 


「ん?」

「うん、ちょっとお願いごとをしにね」


ここでアルに連絡を取ってるのを見られるのはまずいから。


「中等部、ですか?それなら私が」

「いえ、それを私はしたかったんです」


彼女も立ち上がって僕に言う。


「あぁ、うん、それは心強いな」

「お願いできるかな華家来さん」


「はい!」

「……あ、これも伝えようと思っていたことだったんですが」


「ん?」


「父と私でややこしいです、なので私は花音と呼んでください、先輩ですからさんもちゃんも結構です」


「!?」


佐天さんが見開いた瞳で彼女を見る。


「わかった、よろしく花音」


「!?」


さらに見開いた瞳で僕は見られる。


「何?」


「本郷君……ナイスリア充!」


グッじゃねぇよ


僕は2人の居る教室へのドアを閉める。


トゥルルルル


電話?

えっと、どうやって出るんだっけ……あ、こうか。


「はい、あ、正児さん」

「はい、はい……はい」

「……断られた、ですか」

「それでも、どうにかならないんですか」

「わかってます、でも……」




「………はい、お願いします」


通信が切れる、


「………っ!」


ケータイを握ったまま壁を勢いよく殴る、

それの正体に気づきながら何も言わなかった僕自身と、それを平気で行う野郎共に吠えたいほどの怒りを抱えながら、

約束すら守れない自分の無力さに歯ぎしりをした。

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