第9話 その1
『君から伝えられた名前を元にいろいろ調べたんだがしばらく前から彼女の家周辺がおかしくなっていてるみたいなんです』
電話を変わった神座市さんが僕らに概要を節目する、
「家周辺って……」
つまり名前から住所
データベースで調べたの?
職権乱用だよね、大丈夫?
「……まいそれはいったん置いといて、それでおかしいって何がですか?」
『どうもありえない移動をしている人物が多数周辺に現れているようなんです』
「それは壁をすり抜けるとか……ですか?」
『いいえ、どちらかというと転移でしょうか』
『Aのカメラに写った人物が数秒後数キロ離れたBのカメラで確認されています』
『しかもその人たちの挙動からおそらく自身の能力ではないと思われます』
「転移……自発的でない……」
「つまりその中に」
『はい、華家来花音さんの存在を確認しました』
『しかし追跡はほぼ不可能』
『曲がる、扉を通るとう行うことで転移は発生しておりその転移に今のところ法則は見られません』
『範囲は……でました、6kmです』
『それ以上外で彼らは確認されてませんね、』
「限られたスペース……迷路ですかね?」
『ええ、私達の結論も同じです』
「それで犯人の場所はわかっているんですか?」
『はい』
『現象が起こっている人全てに当てはまる訪問先』
『第6区6-17-12、間夜井摘夢里、件の不登校生徒の住宅です』
「ありがとうございます」
目的地最寄りの駅で隊員のおじさんからいつもの服とキャリーケースを受け取る。
と言っても、こないだ壊しまくったのでそのほとんどは新造品、中身も揃っている。
「それとこれを念のために」
渡されたのは無数の半球の付いた2本のベルト、
おそらくはクロスさせるように腰に巻くのだろう。
「何ですこれ」
僕は1つ取ってじっくりと見つめる。
それは、何かの機械のようで大きなボタンが1つついているだけのシンプルなものだ。
「それは発振器です」
「発振器」
「角を曲がったり門をくぐるときにAを壁などに貼り付けます」
隊員さんはボタンを押しながらそれを壁に貼り付ける。
不思議なことにテープも何も無いのにそれは壁にしっかりと接着され青い発光を始める。
「そして転移先に唯一同じ周波数を放つBを貼り付ける、そうすれば転移先マップが作れるという寸法です」
「なるほど」
「今回の任務では必要ないかもしれませんが一応持っていてください」
「鞄にも呼びが詰めれるだけ詰めてあります」
「必要になったら使ってください」
「……それでは行きましょう」
「はい」
駅より数分、
6kmギリギリのラインに立つ人物が数人いる。
「……お、来たな」
市街地だからかいつもの戦闘服ではなくスーツを纏う小木さんを含む数人、
こちらを見て少し笑う。
「職権乱用からまさか怪物退治になるとはな」
その笑みはどこか苦そうで僕も思わず苦笑する。
「とりあえず、今回の任務は現在迷路内にいると思われる民間人の救出、怪物退治は後回しだ!」
「対象を発見しだい即刻眠らせろ日常に返せなくなる!」
「先行し能力を受けマップ作成にあたっている隊員たちからの連絡によると、怪物の姿は確認できず、能力は建物に触れるだけで効果を受ける、転移先は全員一緒、AからB、BからA両方転移先は同じ!」
「我々能力を受けていない者たちはゲートのABそれぞれに派遣され、バケツリレーの要領でマップを元に民間人を範囲外に救出する!」
「全員出撃!」
僕らは目的地から6km圏内に踏み込む、
その瞬間
「………ん?」「これは……」
僕とアルはそれを同時に感知した、
痺れるような感覚、
しかし、僕にはそれが何なのかよくわからない。
「アル、これは……」
「怪物の能力か何かを受けましたね」
「エネルギーに反応したのかも……」
「小木さん、私達は別動になりそうです……って」
後ろに誰もいない、
前にも、
横にも
「………本当に転移した」
あたりを見回すと景観が先程と違う、
「まさか範囲に入るだけで強制転移ですか」
「……いや、それだと僕らが2人一緒なのはおかしい」
「契約者だけ例外でスタート地点が決まってるのかもしれない」
「なるほど……」
「でもまぁ、分断されなくて済むのは好都合ですね」
「うん、とりあえずマップを頼りに間夜井さんって子の家を目指そう」
「幸い発振器の反応もしっかり確認できるみたいだし……」
壁にBを貼り付けてマップを確認する。
スマホに表示された特別なマップは現在地を未だに前の場所を示している。
どうやら、GPSには対応していないらしい。
「……えっと、この点か」
自分が曲がった角のボタンを押す、
すると現在地が対応した転移先へ移動する。
「……ずいぶん遠くに飛ばされたね」
「みたいですね、入った場所の真反対です」
「とりあえずこの先にあるポータルは……」
「3つか」
「最短ルートがわかりませんね、ナビ機能とかないんでしょうか」
「マップが完成しだい随時なんじゃない?」
「そうだといいんですけど……」
「……あ、長押しすると転移先がわかる」
「えっと……こっちが、こっち、あっちにそっち」
「あっちこっちで……」
「なんか急にあの漫画読みたくなってきた」
「え、何で急にそんなことを?」
「……ツッコまないでとくに意味は無いから」
「……うん、無理、覚えらんない」
「どうしようか……」
「よし!では私が先行します」
「それで私がマップを付けて来ますのでその後あなたのところに転移」
「私が誘導する、それでどうです?」
「……それが現実的か」
「いや、僕も動く」
「マッピングするから着いたほうが互いに連絡しよう」
「……わかりました、少しでも脱出を早めるにはそれが一番な気もしますしね」
僕らは二手に分かれる、
僕らはそれぞれ手持ちの発振器を分け合い
互いに背を合わせるように歩き出す。
「さて……」
僕は角を曲がる前にスマホを見ながら考察を開始する。
何か法則性は無いか、
そもそも敵の能力は迷路なのか……
「まぁ、とりあえず今回の契約者の願いはわかりやすいよな……」
他人の拒絶
実にコミュニケーションの距離感が歪んだ現代にはありふれていそうな願い事だ。
「………はぁ、めんどくさい」
僕は極力角を曲がらずに済む道を行く、
スマホのマップを片手に思いキャリーケースを引く。
「そういや、あのときの彼女の疑問結局答えてないんだっけ……後で聞かれるかもな」
「でも、僕としてもあれにはなんと答えたらいいのかな、噂なんて信じるな、僕を信じろ……言うだけなら簡単なんだけどねぇ」
そんなことをぶつぶつ言いながら進めていた足がふと止まる。
「さて、どっちにいこうか」
考えられる可能性、
例えば壁を破ればどうだろう、
塀を乗り越えたら?
空を飛ぶなんてのもいいかもしれない。
そんなことも考えたとき眼の前に現れたのはΨよろしい3つの選択肢、
「いいや、めんどくさいしまっすぐで」
僕はあまり悩むことなくまっすぐ道を歩き出す。
発振器を壁に貼り付けて細い小路には目もくれず、
ただただ1番大きな道を進んでいく。
「ここも、このまま」
まっすぐ
「このまま、このまま」
まっすぐ
「この次も……」
道なりとでも言うべき選択のみを取り続け、
転移先をマップで確認することすらせず、
十数にも渡る選択肢はどんどんと流れていく。
そして、歩くこと数十分。
「………変だ、全然角に合わない」
僕は久方ぶりに立ち止まって首を捻る。
「こんなに分岐の無い道がこの街にあったか?」
あたりはあいも変わらず市街の塀と木の続く大通り、
「そもそもこんな長い時間誰ともすれ違わないなんて……」
来た道を思い返すように振り向く、
「嘘だろ」
思わず言葉が詰まった、
ありえない、
ありえないことだ、
「なんで地平線があるんだよ!?」
そこには道の果てがあった。
視界の果に、まるで包丁で断ち切られたかのような切れ目がそこにある。
どう考えたってありえないことだ、
この住宅街……というかこの街で地平線が見えるなんてことあるはず無い。
「まって、たしか……」
「えっと、地平線との距離はたしか……」
僕はこの間読んだラノベを思い出す、
たしか何かでそんなことを……
「そうだ、水平線だ」
「九十九里浜は九十九里無く」
「水平線との距離はたしか……16kmだっけ?」
僕は思い出せた喜びではない何かによって声に出した言葉を笑う、
「ありえないな」
「……というか、そんなに歩いてない」
「20分くらい前にだって僕は道を曲がってる」
「つまり……」
僕の頬を嫌な汗は伝う、
「ここは怪物の空間か……」
言いたくもない現実を耐えきれず僕はただ一人で零した。
【覚えてる限りのSOCDOのネームドキャラ】
局長:河清士郎
局長秘書:綱持九郎
開発室長:華家来輝照
情報統制:ピクル・???(忘れた)
解析一班:ラブリュック
解析二班:オールドキロ
一班班長:クスマスガ
副班長:盤梨伊香出
二班班長:コラニ
副班長:ステラ
三班班長:マルキマイラ
副班長:マルキメイラ
四班班長:ナイヴェルト
副班長:ツヴァイ・ホルスタイン
五班班長:先井矢蔵
副班長:八宮忠二
六班班長:アイン・ブラッケン
副班長:ベリー・チャンネル
第一隊長:神座市楓
第二隊長:小木正児
特別雇用:本郷早太
特別雇用:アルドナープ
たぶんところどころ違う……けど、
とりあえず今はこれで行きます。
こないだ星がついてました嬉しいです、
ありがとうございました。
投稿はまだまだ続くのでどうぞお付き合いください。




