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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第8話 まよいアギラーダ
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第8話 その5

「……というわけで情報収集を始めようか」


休日の学園、

久しぶりの中等部の校舎の門前に早太は立っていた。


「人いるんですか?」


「結構いるよ?」

「部活とか自習とか補修とか講習とか……僕はしなかったけど」


「でも……情報なんて手にはいるんですか?」


「まぁ、やみくもに街を探すよりはいいよ」

「隊員さん達の一部も協力して探してるらしいし」

「まずは僕らしかできないことをしよう」


「なるほど……で、門開いてませんよ?」


「うん、あっちの受付で名前を書いてもらうの」

「そしたら横の扉からいれてくれる」


「なるほど」




「こんにちは〜」


「うんぁ?あぁ、こんにちは……」


事務所箱の中の老人はゆったりと起き上がる。


「えっと……高校生君かな?」

「名前を教えてあと学生証」


「高等部2年本郷早太です」


「同じく2年アルドナープ・メイギです」


「はいはい、ちょっとまってね……」


お爺さんはタブレットに学生証をかざして情報を入力する。


「……うん、受付完了」

「どうぞお入り」


壁のボタンを押す、

するとゆっくりとドアが開く。


「………あ、目的を聞いてなかった」


「えっと……華家来さんって登校してます?」


「えっと……してないねぇ」


「そうですか……まぁ、ついでですし恩師に会っていくことにします」


「なるほどなるほど、わかりました」


形式だけ、詳細は求められない。

適当に言ったって大丈夫だろう……と、

2人は校舎へと入っていった。




「……衣装変えますね」


アルの服装が、髪型が、髪色が変化する。

衣装は中等部の制服へ、

高校生の姿と一緒に歩くと後でどんな噂が立つかわからない。

正直1人で聞いて回りたかったけどこの包帯姿だ、

話を聞くどころではない可能性がある。


「すごいな化粧まで自由自在か」


「みたい、どうかなぁギャルっぽい?」


「………いや?ギャルには見えないな」


「え〜、近代白ギャルってのを真似てみたんだけどなぁ」


「まぁ、怪しい外見ではないから大丈夫」


「何が大丈夫なのかわかんないけどわかった!」

「行こう!花音ちゃんになにかあったら大変だよ!」


「了解……えっと、華家来さんによるとクラスは……」

「ここか」


「2年2a組……珍しくない?2年の教室が1階なんて」


「そうなの?」

「他の学校をあまり知らないからわかんないけどここは増築と改築を繰り返してるからね、多少変な作りにはなってるのかも」

「もう、元の形もわかんないや」


「わ〜、私の人格みたいだねぇ」



「………ここ、笑うとこだよ?」


「ごめん、僕自虐ネタはちょっと……」


「……ごめん」


「うん……」


「よし、切り替えてこぉ〜!」


「お、おー!」


「「失礼しまぁ〜す!」」


気まずい空気の換気も込めて勢いよく教室のドアを開く。    

教室には男女合わせて5名ほど、

驚いたような表情でこちらを見たまましーんといる。

反応もざわめきも無い。


「えっと、突然なんだけどさ」

「華家来花音ちゃんって子を探してるんだ」

「君たち知らない?」


突如入ってきたかと思えば、

当たり前のように教壇に立ちクラス全体に問いかけるアルの所業に僕を含め後輩たちはみな呆気に取られている。


「じゃあ〜、日直の君!知らないかな?」


黒板の日直と教壇の座席表から求めた、

一番前で1人勉学にふけっていた少年を指名してアルは問う。

可哀想に少年は急な指名に慌て、

慌てながらも


「えっと、今日は来てないみたいです」


答えてくれる。


「……今日はってことは普段は来てるの?」


僕も思わず問うてしまう、

それでも少年は答えてくれる。


「は、はい…祝日や休日はたいてい来てます」


「そっか、ありがとう」

「……じゃあ、君たち彼女に最後に会ったのは?」


そう問うと全員が、


「昨日のホームルーム」


と答えてくれた。


「そっか……じゃあさこのクラスに昨日休みだった、もしくは学校に来てない子っているかな?」 


「いなかったよね?」


「うん、珍しく」


2人の女生徒が話し合う、


「そっか……」


(クラスに休みがいない……?)

(……そういえば確かに一言も彼女はクラスメイトとは言っていなかったな)

(となると……)


「じゃあ、昨日彼女が先生に頼まれごとをされているのを見た子はいない?」


みなまたビクッと動く、

……どうやら恐怖の対象は僕だけらしい。


まぁ、確かに包帯だらけの高校生なんて恐怖の対象でしかないわな。


「………あの、俺見ました」


長い間の後、

背の高い男子生徒が立ち上がって答えてくれた。

名札を見る、ガフトレアス……ガフト君か。


「頼まれてたのを見たわけじゃ無いけど」

「華家来さんに話しかけてる先生を昨日見ました」

「あの、そんなこと聞くって」

「まさか先生に誘拐されて行方不明とかじゃ……」


漫画の読みすぎとも言える想像力で発した不用意な発言は想像以上の力で波文する。


「あ〜、ごほん」

「それは杞憂だ、変な噂は彼女を傷つける無闇矢鱈にそういうことは言わないように」


……あ、全然ごまかせてないなこれ。

でも今言えるのはこれしかない。

ざわめきが増すのを感じる、


「安心してみんな!」

「誘拐事件なんてないから!」


しかしそのざわめきは彼女の声を聞いた瞬間、

ピタリと止まる。

まるで魔法のように


「えっと、じゃあ君さっきの話聞かせてくれる?」


「は、はい!」

「昨日の朝なんですが、日直として花の水換えをしてるときに華家来さんが先生に呼ばれているのを見ました」

「なにか頼み込む仕草をしていたのでたぶん何かを頼まれたんだと思います」

「彼女、断りませんから」


「それってどのクラスの誰先生?」


「……4組の司馬先生です」


「OK、ありがとう」


聞くやいなや僕は教室を後にする、


「あ、ちょっと待って早太くん!」

「あ〜、ありがとね教えてくれて」

「じゃあみんな勉強頑張ってね?」


背の方でそんな声が聞こえる、


「あの、先輩!」


「ん?」


「………何であの先輩と仲良くしてるんですか?」


聞きたくもないそんなセリフまではっきりと。






「………ここか」


「あの、早太くんさっきの話ってさ……」


「後にしてくれる?そういうの」


「……そうだね、今は華家来さんを探さないとだよね」


4組のドアを開く、

中にはグループが一組とその他が数人。


彼はじっとその全体を見つめ、

そして遅れて


「失礼します、僕ぁ高等部2年本郷と言うものです」

「ちょっとお話よろしいですかね?」


教壇に歩みながら名乗った名に

クラスが今度は対象的にその一言でざわめきだす、


「………ざわついてばかりで答えてくれませんね」


「君が一声かければいいんじゃない?」

「さっきみたいに」


「……別に私の声は魔法でも何でもないんですが」


まぁ、たしかにただただ彼女の声がざわつきの中でもよく通るというだけだ、

よく張っていて、響きやすく、何よりその声は綺麗だった。

故にこれほどまでに高い効果を発揮するのだろう。


「………気になる人でもいるんですか?」


アルがどこかを見つめる彼に小声で問う、


「…………」


彼はその声に答えず、

教室の端、十字に座る4人組の元へと進む。


「君たち、話を聞いてもいいかな」


「………なんですか」


「君たちは全員このクラスの生徒かな?」


4人はごちゃごちゃと話すのをやめ、彼を見る。


「そうですけど……何、ナンパ?」


「華家来花音という名前を知ってる?」


「知ってるけど?」

「あ、亜美そっちのパンキー取って」


サイドテールの女生徒は向かいの友人、

亜美と呼ぼれたボブの少女の机の上の菓子を要求する。


「昨日、このクラスに来なかったかな?」


ピタ、

クッキーを取るその手が一瞬止まる。

しかしそれは本当にほんの一瞬の出来事、

一秒もしない間に動作は再開され何事もないように、


「来てない」


とだけ答えた。


「じゃあ重ねて聞きたいんだけど


「ていうか何なの先輩、華家来のこと聞きたいんなら華家来のクラスいけばいいじゃん」


「いや、本題は別」


クッキーを口に頬張った女生徒の代わりに発された亜美と呼ばれた女の言葉に彼はそう一言言って話を続ける。


「昨日、休みはいたか」



「え〜、ごめん先輩、私達わかんないなぁ〜」


視線を上げた女生徒は彼にねっとりとした口調で言い、それに連鎖するように残り3人の言葉は続く。


「そうそう、昨日のこととか過去のことだし?」

「今を生きる私達はもう興味ないっていうか?」


「だよねぇ、エティ」

「そもそも話したことのないクラスメイトの名前とか答えなきゃいけなくなっても覚えてねぇし」


「まじそれな若汐(ルオ)の言う通りだよ」


(………明らかに怪しいよね?)


アルの声が彼の頭に響く、

それに彼は小さく頷き彼女達に質問を続ける。


「いるんだね?」


「………だから覚えてないって」

「ていうか何、なんで高等部のセンパイがウチら中等部の生徒について聞いて回るわけ?」


互いの菓子を飛び交わせながら彼女達はこちらを茶化してくる。


「もしかして、何かあった?」

「探偵気取り?」

「はは、ウケる中二病じゃん」


「あ〜、たしかに!」

「体中包帯だらけとか格好つけすぎ」


「ていうか?」

()()()()()()が探偵とか冗談キツイんだけどぉ」


ゲラゲラと笑う彼女達にさすがのアルも一言


ダン!


言おうとした瞬間、

それよりも早く早太が中心机に手を叩きつけた。


「五月蝿いぞ、お前ら」


怒りに溢れた声色、


「これのどこが中二病だ、あ?」


解かれた包帯、

覗く赤黒く不気味に変色した腕。

やけどの悲惨さを覗かせる、


「なぁ、どうだ何に見える?」


覗き込むように亜美を見る、

彼女は顔に巻かれた包帯の下を想像したのか、

それにヒッと声を上げながらも、


「し、知らねぇよ、や、やけどじゃねぇの?」


強気で答える。


「なぁ、僕ぁ事実が知りたいんだ」 

「休みは何人いた?」

「誰が休みだった?」

「華家来花音はこのクラスに来たか?」

「お前らは何でそれを隠す」

「なぁ!」

「なぁ!」

「答えろよ」


机を何度も叩き、

早太は恫喝するように彼女達に向け問う、


「は、早太君さすがに……」


「…………本当に忘れたんだな?」


「わ、わりぃかよ……」


じっと見つめていた


「……OK、もういいよ悪かったな怒鳴って」



「あ、あんたのこと教師にチクってやる!」


立ち去るその背中に誰かが言った、

しかし、


「………好きにしろ」


振り返ることない彼はそう残して教室を後にした。







「………早太君、良かったの聞き出さなくって」

「彼女達絶対覚えてるよ!」


廊下を歩く彼の背中にアルは問いかける。


「………大丈夫、もうだいたいわかったから」


振り返る彼の手には新品ピカピカのスマホが握られている。


「わかったって、その登校してないって子が?」


「うん」


「で、でもどうやって?」


「うちの学校は休日登校でも極力自分の席に座ることというルールがある」


「あ、だからさっき日直の人が来ているってわかったんだ」


「うん、でも守るのはまじめ君くらい」

「事実彼女達の内1人は別人の席だったしね」

「でも、そう考えると変じゃない?」


「え、何が?」


「座り方」

「彼女達は十字に座ってた」

「中心を空席にして」


「………変かな?」

「教え合うために真ん中を空席にするのは普通じゃない?」


「………いや、彼女達は机を使ってなかった」


「そうだっけ?」


「もしも真ん中を共有するならそれぞれの机の菓子をそこに置けばいい」


「それは……分けてもらったとか?」


「なら、そっち取ってとは言わない」


「まぁ、そうかも……?」


「そんな机を何でわざわざ囲ってたかは知らないけど」

「僕はその机に何かあると思った」

「だから触った」


「え、机を叩いたの演技ですか?」


「いや?あれはただイラッときてただけ」

「本当はもうちょい穏便に触るつもりだったよ」

「ちょうど良かったからちょっと大げさにしたけど」


「……で、なにかわかったの?」


「うん、あの机、テープの切れ端とかのりが残ってた」

「それに、彼女の態度に関しては明らかすぎるくらい不自然」

「登校してない子がいるかと聞いたときには」

「みんな揃ってあの机を一瞬見たし……」


「十中八九その席の子が来ていない子ってことか……」


「まぁ、もちろんこんなのこじつけでしかない」

「言質も証拠もろくに無い」

「でも、今はそれで数を絞るしかない」


ドゥードゥドゥ


その瞬間、スマホが揺れる。


「……はい」


スピーカーにて出る、 

おそらく先程送った名前〜確認が取れたのだろう、

その返答は……




『BINGOだ早太、そして……お前の出番だ』


「「了解」」



嬉しくない大当たりを告げるその声は

彼らに新たな怪物の存在を知らせる鐘となった。


無理がある

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