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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第7話 Question the Question
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第7話 その8

「ていうかけすぎでしょ時間!」

「もっと早く来れないの!?」


飛んでくる水晶の小刀を弾きながらチェインは問う、


『これがこの時間帯だと限界です』


「時間帯?」


『飛行速度に比例して音も大きくなりますので』

『深夜の市街地を突っ切るにはこの速度が限界ですね』


「なるほど、そこら辺は変に優しい奴らだね」


『一応この戦いは秘匿事項ですから』

『それ以外の理由は期待しない方がいいですよ』


「あっそ!」


地面から襲う水晶柱を足場に飛ぶ。

それを狙い撃つ投球、

しかしそれは彼に届くよりも速く狙撃によって砕け散る。


「予備ライト点灯!」


少しでも確実に回避するため、

回収され隊員に持たれたライト達が再び空間を包むように照らし出す。


『よし、これで誤射の心配なく援護できる』


その声と同時に追撃の水晶玉が砕け散る、


「ありがとう、正児さん!」

「神座市さん、ここの木って切り倒しても大丈夫?」


『ああ、問題ない!』


ヘリを操る女性に問いその答えを聞くと同時に着地でなく木を踏み台に思いっきり突進する。

無論見えている敵はその行く手を水晶の壁で塞ぐ。


「よっ!」


地面を斧で突き上へ飛ぶ、

何とか水晶壁の生成速度を彼は上回り壁を踏みさらに上へ、


「撃って援護だ、構えろ!」


彼が宙にいるという当たる心配のないベストなタイミングで彼らの弾丸が敵めがけて放たれる。


しかしその行く手を新たに生成した水晶壁が妨げる。


そして水晶槍を放つことでチェインが攻撃するのを防ぎ、

水晶剣で彼に切り掛かる。


「ぐ…」


その剣を彼は斧の持ち手で防ぐ、

恐ろしい腕力だ、

チェインは拮抗するため両手でしっかり持って何とか耐えるしかない。


「……なぁ、気づいてるかい水晶」

「気づいてるんだろうけど一応教えといてやるよ」



何かの音がする。



彼の言葉が敵の耳には入らない。

敵は思考している。

何の音かわからないのだろう。

思考することに集中してしまったのだろう。


だから気づかない。


「後ろの壁、消えてるよ?」


ワイヤーを巻き取る機械音が敵の左右から聞こえる、

斧を握る彼の手から生まれたその音だと敵が気づいた瞬間

敵の背を折れた木が激突する。

完全なる不意打ち、

効果あるないに問わず敵が生物的思考がる以上反射的に力が緩む。


剣を流し全力強化した剛腕により斧の石突が敵の首を狩る。


『03a、今商業市街区に入ったため出力を上げました』

『到着時刻が3分減少』

『到着まであと5分』

『何が何でも耐えてください』


「………了解」

 

敵の横薙ぎの剣を肘と膝ではさみ受け止めた彼は敵のその首にワイヤーを巻き付けそれを引く。


バランスを崩した敵の顔面目掛けて膝を……


「む!」


膝に敵の顔から生えた串が突き刺さる。


「やはり体からも生やせるのか!」


無理やり押し込んでもいいが威力が下がる。

大人しく動きを止め、

小木の狙撃でとりあえずそれをへし折ってもらう。


(………っ)


その隙に腿は的に触れられたことで水晶の塊へと早変わり。


(太ももじゃ剥離も難しいな……)


動きの鈍る彼の顔面目掛けてその毒手が迫る。

それを実体化させたあのピッケルで敵の腕を引っ掛け捻ることで対処する。


本体(こっち)も相変わらず硬いな!)


もう一方、

左手に実体化させたピッケルを高速で振るう。


(ま、そもそも当んないんだけどね!)


全力の速度でも敵の予知からの回避に追いつけない。

そんな事実に毒づきながらも彼は勝つための、

時間を稼ぐための思考を止めない。


(わかったことはいろいろある)


彼の足払いを敵が飛んで避けた瞬間無数の弾丸が敵を襲う。

地から離れされば水晶壁は生み出せない。

これによりその数十、数百の弾丸が、

致命傷とは読めないながらも敵の体に十分な傷跡を敵に刻む。


弾丸は貫通せず敵のボディに残る、

しかし、その穴々から生えでた茨によってその全ては摘出される。


その茨も枯れるように落ちれば一切の傷のない万全状態へ逆戻り。


(やっぱり一発で決めなきゃ難しいか)


敵に両手のピッケルを投げつけ、

それを避ける隙に地に指した斧を引き抜いて距離を詰める。


しかし敵は接地している、

太い水晶柱が瞬く間に現れ斧を受け止めた、

しかし、

彼の攻撃はまだ終わらない、


「展……開………!!」


切り札その2


刃は開き、

黒鉄色一色のその戦斧は赤く染まり、

銀の新たな刃が現れる。


キュイイイイイイイン!


高速回転するその刃はどんどんと切り進め、

やがて、


「点火!!!」


その柱を切り裂き、

ラストワンのジェットによって加速した刃が敵の首に届く。


………が、


「っ………硬い!」


斬れない


その首は何故かあの柱よりも硬い、


切り進められない。


受け止められ、

やがて、


「止まった!?いや………」


彼の目はそれを睨む、


「水晶化か!」


透明へと変わった刃は回る機能を失い停止、

これなら先の斧の方がましである。


「ぐ!」


蹴りをまともに腹にくらい彼は吹き飛ばされる。


(丸鋸折れた)

(……やっぱり薄いと流石の水晶も耐久力が無いな)


切り札が大した役にたたなかったことにげんなりしながらも彼は折れた丸鋸を格納。

次の一手を考える。


考える


考える


考える……が、


(やべぇ、何も思いつかない)

(そろそろ電力も底を尽きるから回避し続けられるとは思えないし……)

(時間を稼ぐ一番の方法は………)


敵の突進!


それを前に彼は、


「おりゃぁ!」


全力でその戦斧をハンマー投げのように思いっきり投げる。

それは敵の足を狩るように地面スレスレを飛翔する。


「…………」


それをたやすく敵は跳んで回避、

地に再びついた瞬間波のように水晶の刃が地面より現れる。


「いける!」


「!?」


突如彼の声を耳にした怪物が崩れる。

見れば足が地から離れている、

バランスを崩しその場を動く。


「………!」


そして怪物は目にした、

()()()()()()()()()()()()()を。


波のようだった水晶は霧散し、

その斧は地に落ちる。

そして、

怪物は地に倒れる。


波の向こうから現れたチェインのタックルによって、


「うぉぉぉぉぉっ!」


メリケンサックを握った拳が敵の顔面に炸裂する。

腕を足で押し付け馬乗りのまま殴り続ける。

敵のその透明の体にどんどんと、

白いヒビが刻まれていく。


敵も負けじと手のひらを地に叩きつける。

しかし、現れた水晶串は彼が敵を殴ると同時に霧散する。


「お前は!」

「水晶を!」

「生成するとき!」

「お前は!」

「起点とする場所を動いちゃならない!」

「起点がずれると!」

「即座に水晶が霧散してしまうからだ!」

「さらに!」

「お前の未来視は!」

「自分の未来を見られない!」

「相手の未来しか見えてない!」

「透明なものの未来はわかんないし!」

「俺の投げた剣の行く手も!」

「撃ち出された弾丸も!」

「引き戻された斧も!」

「お前は予知できない!」

「お前は相手の武器や!」

「その持ち方!」

「その向いた方向から予測しているに他ならない!」

「そうだ


言葉が発されるたび、

鋭い拳と、

あらたなヒビが刻まれていく。


だが、その連撃は敵より生えでた茨によって阻まれた。


それはたやすく彼の顔面を貫く。


どんどんと生えでた茨が腹や、肩、そして……


その胸を貫いた。


穴からは電気が漏れていく。

水晶に絡みつくように、

薄くなっていた金のラインも消滅、

体中にごまかしようのない痛みが襲いかかってくる。





「………が、…………でもだ!」


それでも、


「何が何でもだ」

「………あぁ、そうさ何が何でもだ!」

「何が何でもなんだよ!」


それでも彼は殴るのをやめない。


もはやスペックが足りず傷すら与えられない。

だが殴ることで敵の猛攻は防げる。


怪物にはコアがある。

それが壊されればどんな頑丈な怪物でも瞬く間に霧散、消滅する。

怪物たった1つの全てに共通する弱点である。

そう、()()()1()()である。



「あと!」

「あともう少しなんだ!」

「だから!」

「僕は!」

「それまで!」

「お前を!」

「殴るのを!」

「やめない!」

「僕は約束を守る男、本郷早太なんだよ!!」


彼は殴り続ける、

その度突き刺さる茨は深く、太くなっていく。

狂って痛覚が無い?

そんなことは無い、

少なくとも能力の起点(コア)である胸の球は破壊された、

もはや彼は貯めていた電力を失い、

強化能力を失い、

思考反射加速能力を失い、

そして……

痛覚遮断能力も失った。


無論、

その串を抜き取れば簡単にそれは修復できる。

しかし彼はそれに気づいていながらも、

ただ時間を稼ぐことだけを考え殴り続ける。


「………っ、あんな至近距離で細かく動かれると援護ができん!」


『上からも駄目だ………』

『神座市、もうちょい別位置に動けないのか!』


『今、気流が乱れてる……ようで』

『ここ以外でヘリを安定させれません!』



『…………来た』


見ているしかできないのかと歯を軋ませる大人たちの声の中、冷静な音声が無線に響く。


「本郷君もう少しだ!」


励ますような誰かの声、

しかしその声は今必死の彼に届かない。


「がっ!?」


急に彼が吹き飛ぶ。


敵から生えでた一本の柱、

太く、

長く、

鋭い。


敵は相手を倒すことよりも敵を突き放すことを選んだらしい。


……いや、どうやら違う。


彼は空中から受け身も着地も取らずに落下、

その体中には不格好に折れた串が突き刺さり、

彼の手には盾にでもしたのだろう、

大きな穴の空いた鋼鉄のトランクが握られている。

防がねば腹もデバイスも貫かれ、ジ・エンドだった。


だがなんとか1度避けれても流石の彼でももう負傷のしすぎ、

体の修復を開始ししても彼はまだ立つことすらできていない。


敵はゆっくりと立ち上がる、

傷は容易く修復し、

疲れも痛みも苦しみも、

その体からは感じられない。



「………残念だったな」



突如、怪物が言葉を紡ぐ。


「貴様の………負け…だ……」


おぼつかない口調、

それでもはっきりと聞き取れる言葉で奴は話している。


「お前、話せるのか」


立ち上がらない彼は見上げるように敵に問う。


「不可能……ではない……難しい、がな」


「ははっ、珍妙な生物だよなお前ら」


「それ……は、お互い…だ………」

「貴様……何故、その体で、戦える」


「それこそお互い様だよ」

「お前は……いや、違うな」

「お前らは何で戦い合ってんだ?」


敵は動かない、

ただ、こちらを見つめている。


「………それが」

「それを……」

「お前がそれを質問するのか…………」


「未来が見えるんだろ?」

「なら、教えてくれよ」

「この戦いの先には何がある?」


「…………」

「未来の存在を………」

「信じるか…………」


胸の水晶に触れながら彼に、

それは質問で返す。


「未来は……己のものか」


「……わからないな、そんなの」


その手に刃は現れる、


「未来は絶対的な()が成す存在」


その手は槍へと変わる、


「この世はそのような()が創り出したもの」


彼の眼前に、


「災害と同じと思っていい」

「あきらめるほか、ないのだ」 


それは突きつけられる。


「…………」


沈黙と共に振り下ろされる刃、

避けられないチェイン、

そんな2人を無視して


ドドドドドドン!


突如地面が爆ぜる。

落下する2人、

そんな中、チェインは笑う、


「未来は過去が創り出した絶対のものだって?」

「じゃあお前はもう未来は変えられない!」

「お前の負けだ!」

「クウォーツ!」


2人を囲むように爆ぜた爆弾は、

2人の道を切り開くかようにどんどんと爆ぜていく。

地下搬入所、

地下道路、

地下送電管、

上下水管、

ふたりは床と共に落ちていく。





「上下水管、送電管共にライン変更完了」


「道路閉鎖完了しました!」


『こちら全ポイントに爆弾設置完了』


「避難確認!」


『こちら避難完了』


『こちらも完了しました』


『こちらも完了』


『完了しました!』


「了解」

「カウント開始!」


「5」

「4」

「3」

「2」

「1」

「爆弾、起動!」





「お前も浮いちまえば何もできないな!」


そんな顛末あって自由落下するチェインが笑う、


「お前は不死身なんかじゃない!」

「水晶は受信するもの!」

「コアは別の場所にあったんだ!」

「でもそんな遠くじゃない」

「僕がアルと離れすぎると回復できないように」

「お前らだってそう大きくは離れられない!」

「じゃあコアは何処にあるのか!」

「それはお前の行動から推測できたよ」

「クウォーツ!」

「お前、何であのとき」

「あの一発だけ回避ではなく防御を選んだ?」

「斧の振り下ろした先に」

「地面の下に」

「コアがあったからだろう!」


視線を落とす、

そこに落ちる赤く、丸く、大きい水晶玉を指さして叫ぶような大きな声を出す。


「くっ……!」


(……庇うような動き!)

「目標確認!」


その瞬間彼だけ空にピタと止まる。

驚く敵を蹴り飛ばし、

その反動でワイヤーをターザンのようにして断絶されむき出しとなった地下道路へと飛び込んだ。


「撃って!」






『了解』


遙か上空雲の横、

ヘリに並ぶ高度にプロトは居た。

その頭蓋は黒い蜘蛛のようなヘルメットに包まれ、

足が腕が固定され、

1つの主砲と4つの副砲、

今はただその巨大な主砲のみに火は灯っている。

それは空に止まり墜ちることを知らない。

信じられない安定度でそこにいる。


その姿まるで迷宮となった最後の龍(アルビオン)が如く。


その名は仮称超電磁砲《太陰》


『チャージ完了』

『出力、収束率共に60%に設定』

『対象固定確認』

『放ちます』




その瞬間、暗い街に光の柱が現れる。


それは神話に見た神の帰還の道のように、


超電磁砲など嘘っぱち、

そんなんで説明できないレベルの、

電子だ粒子だとよくわからない高熱が街を穿つ。


「ぐっ………あっ!?」


地下道路に居た彼もまたその熱風によってシャッターに叩きつけられた。


「はは、すげー威力……」


力なく彼は笑う、


「でもまぁ、これで終わり」

「終わってなくても、僕はここまでだ……」


デバイスを外す、

体はようやっと人に戻る。


「あぁ……疲れた」

「僕のスペック不足……どうにかしないとな………」


そんなことを呟きながら

彼はその場に座り眠りについた。

長い

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