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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第7話 Question the Question
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第7話 その6

動かない、

顔面から灯は消え、

二分された体は一向に繋がらない。

ベルトが剥がれ落ち、

地面に転がっている。


全員が息を飲む。


敗北


その事実を皆がゆっくりと、

飲み込みがたくも飲み込もうとする中、


突如怪物が高速で飛び退く、

まるで蜃気楼のように瞬間遠くのビルに飛び去った。


まだプロトが居るのに何故


「おい隊長!あの死体変だぜ!?」


地に転がった死体がひび割れる、

それはいつものことだ、


『全員退避!!』


いつもと違う閃光、

ひびから流れ出た電光が逆雷(さかなり)となり

地を天を焼き尽くさんと荒れ狂う。


「な、何だ!?」


「空気が熱い、凄まじいエネルギーですね……」


物陰に隠れた隊員達が戦慄する。


アスファルトは焼け、

嫌な匂いと煙が当たり一面に漂う。

………チェインの体は影も形もない。


ただ、そこには天を見上げるように意識の無いままの

早太のみが取り残されたかのように倒れている。


『急いで彼を保護しろ!』

『彼はもうただの一般人だ!』

『ただでさえ巻き込むべき人間ではないんだ絶対に守りぬけ!』

『さっきので腹に傷を引き継いでる可能性がある』

『死なせるな!』


「りょ、了解!………て、あれ?」


路地から踏み出した足が止まる。

あの少女を見つけたからだ。


「…………」


虚空から現れたアルはゆっくりと地に落ちたデバイスを拾い上げる。


「………悪いけど早太くん」


デバイスをベルトから引き抜く、

ベルトは霧となって消え、

デバイスからはフィルムが排出される。


戦闘続行(コンテニュー)です」


それを再びデバイスに押し込む、

すると意識のない契約者の腰に傷も何も無い新たなベルトが生成される。


「………!?」

「何をする気だアルドナープ!」


「………再変身ですよ」


「何故だ、彼はもう負けたんだろ!?」

「もうただの人間だ!」


「負けてません」

「今のはデバイスが離れたせいで行き場を失くしたエネルギーが爆発しただけです」

「わかりやすく言うなら()()()()()()です」

「……けど、私と彼の契約は生きています!」

「だから……」


『Please set……』


「お願い、早太くん」


『Take,change natural by electric』


閃光が散る、

普段とどこか違う変貌、





「………あぁ、僕って本当に怪物なんだな」


自身の腹をなぞりながら佇むチェインがポツリと呟く。


「………とりあえずありがとうアル」


不安げで謝りたげなアルを見ることなく

撫でた手を見つめながら彼は言う

そしてため息を1つして、


「さぁ~って、動ける限りは働きますかね」


腕回し首を回す。

小気味いい音は無い、


「ほ、本当に大丈夫なのか……?」


立ち尽くす部隊の人々が心配げに彼に質問する。


「えぇ、ちょっと疲れたけど大丈夫です……よっと」


瞬間風がする。

拳が振られ、

そのときやっと怪物が突撃してきていたと知る。


「全員下がっててください」


隊員を再び路地に戻らせ、

起き上がろうとする怪物を前に両手を広げる、


「さあ……やろうか」

「今僕は………機嫌が悪いぞ」





「何が起こってる」


路地裏から動けない隊員達は銃も構えられないほど

力なくそれを見つめている。


「あいつ、あんな速かったか?」


チェインの拳が敵を穿つ、

敵の攻撃より早く、

敵の回避より早く、

敵の防御だって許さない。


止まらない連撃が敵を襲い続ける。


握られたメリケンサックが電光を放つ、

敵に刻まれた些細な傷がどんどんと広がっていく。


「いったいどうしてしまったんだ彼は」

「何故急にスペックが上がった?」


「早太くんが………人間を捨てたからです」


「人間を捨てた?」


「彼は今まであの姿のときも自分は70%は人間だと」

「僕は怪物の姿でも人として当たり前のものを持ってると」

「体があるなら骨が有ると、内蔵が、限界があると」

「そう……思って(イメージして)いたんです」

「けど………」


アルは強く手を握り締め、

彼を見つめ、


「………ごめんなさい、早太くん」

「私があなたを無理やり怪物に戻したから………」

「あなたは人を辞めた」

「私がやめさせてしまった」


「………何故、そう後悔するのにあんなことを?」




「…………………負けないためよ」


訝しむ男に彼女は呟くように、

ほんの小さな声で答える。


「どういうことだ」


「……………」


「言いたくない………と?」


「……どうせわかってなんてくれないもの」


「…………それは


バキン、

幾度目かの拳により敵の瞳が割れる、

複雑で高速な攻撃に怪物の再生は間に合わない。

どんどんと体に終わりが近づいている。



何なんだこの敵は、

他の能力を捨ててスピードと再生力を取ったはず、

なのに、

なのに、

なのに!

何故奴はそれを上回る!?

どうする、

どうする、

どうする!?


…………そうだ、逃げよう



羽を広げる、

高速でそれを震わせ

飛び立とうと地を蹴る、


『逃さねぇよ』


バシュ


ヘリの狙撃がその羽の根を穿つ、

バランスが崩れ、

倒れる体をチェインは容赦なく蹴り上げる。


『03a!』


「サンキュ、プロト」


回転しながら飛来する斧をその手に掴む。

それはあの正八面体を両断した大斧、

材質そのままの黒鉄色に物騒な刃と機構が貼り付けられている。

重さ約15kg、全長約150cm、刃渡40ほど、

それを両手に掴み、

強化した腕力と、

一回転したことによる推進力にまかせて



倒れないよう踏ん張る敵を

肩から腹へ腿へと一撃、

前形態(あのとき)のように叩き割るのではなく、

ものの見事に切断した。


(………斜めに斬ってもコアが無い)

(頭か?)


倒れる敵の首を断ち、

落ちる頭を天に打ち上げる。


バシュ


またも響いた狙撃音、

水晶の頭は砕け散る。


(………どうだ?)


それを見届けた目線を落とし敵を見る、


(光が消えないし崩れない、生きてるな)

(へそ……は今ので斬ったな、となると足か?)

(………いや、細すぎるような気がする)

(左胸でなく右胸か?)

(………いやそもそもどうなんだ?)

(全身がコア……とかもありえるぞ?)

(もしくは()()みたいに意識外……)

(……でも、前形態への攻撃は意識外のはず)

(元ネタまんまに一片残さず意識外からズドンか?)

(となると………ムリじゃね?)

(………ん?)


「溶けた?」


水晶は水のように溶ける、

不自然な水たまり、


(………新形態か?)


斧を振り下ろす、


(避けた?)


再度振り下ろす、


当たらない


(はぐれかよ………!?)


早い早い、

ていうか変幻自在のせいできれる断ちも避けられる。


(………これはもしや形態変化の前触れ?)

(………………なら邪魔しないほうがいいか)


刃を下に斧を地に立てる。

するとひとしきり逃げた水晶は急に薄く広がり、

シャボン玉のように薄い玉となる。

それはだんだんと薄い光と共に白み、

まるで卵……いや、真珠のように変化する。


「………プロト、今の君の最大火力ってなに」


『燃料全てを使い切ったブースト状態のパンチと推測します』


「ここにない兵装も含めたら?」


『天将十二火器 No.10です』


「それ持ってくるのにどんくらいかかる?」


『………許可を取得、今からチャージして呼び寄せて10分ほどとなると予測します』


「了解、それであいつを消し飛ばそ


バチュン


その顔面に穴があく。

人で言う右目を、頬上部を、眉を持ってくようにごっそりと彼の顔は何かに持っていかれた。


「…………飛び道具?」


顔を再生させながら彼は敵を見る。

見れば殻は内から何かが突き出たように破れ、

そこからのひびがどんどんと全体に広がっている。


(…………)


『どうしました、再生した視界に何か違和感が?』


手握って開いてを繰り返し、

それを見つめ続ける彼にプロトは問う。


「………いんや、何でもない」


答えた彼はそれに向き直る。


「生まれる」


殻が砕け散る、

雪の結晶のように、

欠片1つ1つが月光を反射する鏡のように光る。

そして……

彼らはそれを見つけてしまう。


『あれは………』


まさにそれは鏡のように、

そこに佇む怪物は、

数多違う点はあるもののまるで早太の、

チェインの、

怪人態の虚像(ネガ)


「僕………?」


修復した目がおかしいのかと疑うように、

困惑するように彼は呟いた。

巨大な水晶の蜘蛛の姿があったあと

蜘蛛男風になる予定だったのに

まさか本当に人型になるとは………

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