第7話 その5
突如落下してきたそれから高速で生えてきた串たちは、
蜘蛛の巣のように分岐を繰り返しあたり一体を串刺しにする。
【対象の外見情報を更新中……】
レッグアーマーのジェットを最大にして高速でバックする。
………が、どこかをえぐられたか火花を上げ始めたため、パージ。
残った燃料も少ないためか小さく爆発するにとどまる。
だがなんとかプロト本体には一切のダメージは無い。
見る限りでは死んだ隊員もいない、
流石はあらゆる隊から招集したエース達、
自身に向けられたわけでもない攻撃など
らくらく……とまでは言えないが何とか大きな負傷もなく対処して見せている。
【対処の外見は高さ約60幅約60ほどの正八面体】
【形容するならば硫酸カリウムアルミニウム結晶】
【創作物に形容するならば第5にして6の使徒】
【現在4面を見せる角度にて一角のみで直立】
【現状本体の移動は確認されない】
【対象は攻撃手段として直径3cmほどの水晶体を体表より生成し対処を貫くべく攻撃を行う】
【これ自体は前形態でも使用していたが生成速度が少しばかし加速している可能性あり】
【そして……分岐する】
【その様まるで木枝や蜘蛛の巣のごとくである】
【しかしどうやら………】
『よく見て対処を!』
ヘリに残った司令塔が無線を使って上から見る限りで得られた情報を下の部隊全体に共有する。
『対象の攻撃は速く、鋭いが今はライトに照らされて不可視じゃない、弾丸だって避けれるあんたらなら避けるなんて簡単だ!』
『串の分岐だって言うほど不規則じゃない!』
『一度分岐したものはある程度伸びないと分岐しない!』
『そして分岐も状況に合わせて行っているわけじゃなさそうだ』
『おそらく事前に設定してあるんだろう』
『回避した人間を追尾することは無い、避けろ!』
『水晶は成長を終えると数秒で霧のように消える』
『多少無理な体勢でも耐えろ!』
『………!』
『全員腰の小型バズーカを構えろ!』
『今確認された情報を共有する!』
『水晶は破壊されるとそれ以上伸びない!』
『繰り返す』
『水晶は破壊されるとそれ以上伸びない!』
『分岐する前に撃って壊せ!』
『ビルの上の部隊は上から援護!』
『水晶体の高度は前形態よりも脆い』
『落ち着いて対処を!』
指示に従い皆、水晶の成長より速くそれを粉砕することで対処する。
プロトもまた残された弾丸を温存して、
2丁を繋いだことで生成した大剣「勾玄武」で力任せに叩き折って対処する。
『無理に本体を攻撃するな!』
『身を守ることを何よりも考えろ!』
『本体は』
『………あいつが叩いてくれる!』
斬
突如現れた影が怪物を両断する。
正方形の断面が光を反射し地に倒れる。
全く同じ形状の2つは沈黙、
動かない
「本郷早太、戦線に復帰しました!」
地面に突き刺さった大斧の上に乗る青年は、
電力を取り戻したことを示す金のラインが照明に勝る輝きを放ち続けながらそう告げる。
「え、終わりか?」
「………いえ、違いそうです」
誰かの呆気にとられたような呟きに
答えるように呟いた青年は斧をそのままに跳ぶ、
2対から挟むように生えた茨を避けるために。
「まだ終わりじゃないのか」
屋上の男は目の前に着地したチェインに問う、
「………みたいですね」
「不死身か奴は」
「そんなはずないんですけど………」
「どこかに核が………」
断面からドロっと何かが出てくる。
それは重力を無視するように、
液体のまま何かを形作っていく。
「あれは………虫?」
それはきれいに半分な人型の虫、
しかも上下ではなく左右、
真ん中真っ二つにされた虫人だ。
顔面は蟻かカミキリか、
いまいち判別がつかない
……まぁ、そもそもモデルがいるかも分からないが。
腕は人のものでも虫のものでもない
水晶を薄く叩いたような形状をしている。
こちらを刺して殺す気か……
「………あ、くっつく」
「くそ、黙って見てられるか!」
形態変化は邪魔しない、
テンプレを破った存在に怪物は優しくない。
「あ、バカ」
断面目掛けて銃を乱射した隊員を早太は突き飛ばす、
その瞬間だった、
シュ
音が……したのだろうか、
誰の目にも見えない何かが風を生む、
早太の首が、右腕が、宙を舞う。
助けようとした隊員もまた胴と腕が繋がらぬよう斬り裂かれている。
『早太ぁ!?』
無線を駆け巡る正児の声に皆が一瞬動きを止める。
だが、すぐに思考を再開。
対象にみな銃を向ける、
すると、
「体勢が変わっている……?」
その水晶の体勢はまるで
「………なるほど、そうきたか」
復活した右手が宙の頭を掴む。
「………え、な、はぁ!?」
何てことなさげに頭をくっつける彼に腕を縛って止血していた隊員は思わず噛んでいた紐を落とす。
「首がもげ、もげて………!?」
「………あいにくと痛覚は切っちまいましたし」
「斬られた恐怖も加速した思考の中じゃほんの一瞬なんで」
「死にませんよ、これくらいじゃ」
「すぐにくっつければほら、この通り」
「………君は本当に怪物なんだな」
「いやですね、この姿じゃなければ人間ですよ」
嫌そうにシッシッと手を払いながら彼は呟く。
「……正児さん、聞こえますか」
『………早太か!?』
『無事なんだな!?』
「はい、平気です」
「それと報告なんですが………」
『何だ?』
「あれ、斬ってます」
『斬る?』
『今の攻撃のことか?』
「はい」
「見えたんです」
「あれの腕が伸びる瞬間を」
『ふむ……つまり奴の腕が刀みたいになっていてそれを自由に伸び縮みできるということか?』
「おそらくですが」
『貫くだと避けられるから斬るか』
『大概チートだなあれも』
「皆を下げてください」
「耐久戦じゃ僕は勝てないけど……」
「速度なら戦えます」
『了解、聞いたな?』
『全員一時退却、一定の距離離れて機を見るぞ』
「「了解」」
ものの数秒で商店街から人が消える、
残るのはロボと、スクラップと完成された虫人のみ。
「じゃあ、行ってきます」
ゆっくりと飛び降りる、
ワイヤーも張ってない場所で驚くほど無防備に。
当然敵も黙ってみてたりなんてしない、
「まるで旋空だな………いや、まんまか」
振られた2つの剣筋を腹を撫でるように手でずらして対処する。
(うん、長いせいかなそこまで速くない)
無理やり作った刃と刃の間をくぐる。
「まずい……店が斬られた!」
「全員別の建物に飛び移れ!」
「急げ!急げ!!」
背から声がする、
(刀身をそこまで伸びるのか)
(想像以上に射程が長い)
地に降り立った早太を追うようにいくつかの建物はズレ、照らしていた屋上のライトが音を立てて落ち、砕ける。
「………また、見え難くなった」
彼はボソリと呟く、
正直視界良好とは言い辛い状況、
「………逆光になるんで残りも消しちゃってください」
『『了解』』
暗転
再び月と少しの外灯だけの夜になる。
(プロトさん、ちょっとお願いが)
通信で彼に呼びかける
【了解】
僕らは同時に駆け出す、
それでも今の奴の標的はチェイン、
今まで向こうから動かなかった敵自ら動く、
(速!?)
さすが虫、
ゴキブリを彷彿とさせるスタートダッシュ。
懐に飛び込まれての横薙ぎ、
何とかそれをバックで躱す、
そして、それに満足して油断せずナイフを取り出しそれを防御する。
高速乱撃
何とか核とデバイスだけは守る
ナイフは砕け、
腕が腹が足がズタズタに斬り裂かれた、
「何が起こった!?」
路地裏の隊員は言葉を零す、
無理もない、
これは知っている人間でなければ初見で防げない剣技
「………こいつ、契約者は既読者か?」
色屍
とある漫画に登場する剣技である。
(さっき触れて感じた違和感)
(硬くて重い白と軽くて薄い無色)
(本来役は逆だが………)
(再現されている)
比較的遅い白の横薙ぎ、
そして高速の無色の乱撃、
白を避けたと油断すれば
1.6秒待たず屍である。
(修復完了)
(しかしこれはまずいな)
(見えていても避ける隙間がないんじゃどうしようもないぞ)
(もうちょい近づければ話は違うんだけど……)
(………いや、違うな)
(ここは……)
再び白い横薙ぎ、
(無理して取る!)
臆さず踏み込んだ彼は敵の上腕を掴む、
さらにもう一方を蹴り飛ばし初撃を遅れさせる。
(………次はどうする、やはり関節技か)
そんなふうに思考を巡らせる。
ほんの一瞬、
限界まで加速した思考の中で、
……だが、それが良くなかった。
「………っ、ミスっ……た」
チェインの体がずれる、
「そういやぁ……虫だもんな……」
一本増えた腕を見て彼は呟く。
腕の力が抜け、
崩れる。
立ち尽くす意志の無いそれ、
そして……
ベルトを切り裂かれたデバイスが音を立てて地に跳ねた。
……あれ、なんでチェイン負けてんの?
ノリで描きすぎたな……まぁ、いいか。
試験終了大学進学でネガティブ思考が落ち着いて読み返すと、
なんか極度に色々恐れまくってる文章をちらほら見つけるな特に1番最初の後書き、
いらないですよねあんなの。
……とりあえず自分への宣誓文としてあれは残しとこ




