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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第7話 Question the Question
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第7話 その4

【………シュミレーション開始】

【……………結論】

【回避不可能】





【故に】


地面が、檻が、襲いくる槍が突如爆ぜる。

土煙が上がり、

対象と自身の視界が鈍る。


ここで互い動けるのは、

片や本能、

そしてもう一方は……経験(なれ)

この場合優勢なのは、


経験である。


怪物が対象が通るであろう道に発生させた槍は全て空を穿つ。


壁に張り付き光学迷彩(ステルス)していた爆発の射手に気付きもせずに、

だがそれは悪手である。


タチバナの2発目、

土煙の向こうの光、


反応が遅れた、

それでも、自身の腕を犠牲にその砲弾を弾く。

その水晶の柱は粉々に砕け体勢が揺らぐ、


倒れそうになった体をなんとか手をつき支える。


だめだ


そのとき怪物がそれを視認していたなら……


『チェック』


ドドドドドドッ……

ゼロ距離まで詰めていたプロトによる腕と胴を繋ぐ関節に差し込まれたノズルが光り、

絶えない爆音が45回、


砕ける関節、

腕と胴を繋いた小さな水晶玉は、

割れて崩れて隙間からこぼれ落ちていく。


致命打を与えてなお油断することなく、

地面から突き出した剣を回避する……が、


『………』

【レフト・パワードレッグ破損、切除(パージ)


切り離した機構が空で爆ぜる。

威力は無い、

ただ煙だけが立ち込める。


【‥‥推測、対象の水晶体生成は対象に近いほど速い可能性あり】


地に落ちたタチバナの二対のガトリングが吠える、

が、水晶の壁に阻まれる。


速い


『…………合わせろ』


そう呟いた瞬間、

タチバナの瞳が青から緑に変わる。


互い滑るように移動しながら雨のような弾丸を放つ、

……が、敵は初撃を壁から生み出した杭で自身を突いて回避し、

さらっと再生成した腕で拾い上げた腕をくっつけて直し、

地面から発生させた杭で難なく防がれる。


【考察、対象は自身に近いほど大きな水晶体を高速で生成可】




【……追記、対象の水晶体速度は太さに、比例する?】


自身を貫く細く長い串を見つめながら彼はなおも記録を続ける。


自身の肌に触れるほど近く銃を構え、撃ち抜く。


【………作戦立案】

【タチバナに命令送信………完了】

【SOCUDO上空部隊に作戦送信】


作戦開始(ミッション・ゴー)


その瞬間タチバナの主砲が放たれる、

と同時にプロトへ小包とコンテナが放たれた。


天将十二火器 No.5【勾陳】

瞬間攻撃力ならば最上級、

ガトリングに比べれば弾数は少ないが、

タチバナに繋ぐ必要ない分小回りが利く。


開かれた小包は4つに割れて、

マガジンを足のケースにはめ込む。


放つ無数の弾丸、

それを水晶の壁を生み出し防ぐ、

……が、


回り込んだタチバナの副装、

2つの天后の乱射をもろにその背に喰らう。


絶え間ない乱射、

しかし数秒遅れて水晶の壁が生成される。


打ち続けても砕けない分厚い壁が

自身を閉じ込めるように展開された、

前も後ろも攻めかねる、

そして敵は


『………』


足元から槍や串を生み出し攻撃を前後同時に、

一方的に仕掛けてくる。


銃撃は続いている、

だが壁に篭もりっきりの敵にダメージは無い。



「というわけにはいかない、というかいかせない」


カラン


壁の中で何か音がした、

空中の揺れる機体から投げこまれた……


改造(ニードル入)手榴弾


人に使えないほどに高い威力を誇るそれ、

それでも水晶の壁が砕けるわけもない、

だが、


「部隊投下!」


あたりのビルから、

何かが落ちる音がする。


………いや、訂正しよう。


彼等が降りてきた音がした。


「点灯!」


あたりいったいに火が灯る。

久しく思えるその白い明かりは


ニードルが貫いた壁のヒビを浮かび上がらせた。


『確認』


そこに銃撃を集中させる、

内にしかなかったヒビはやがて外に生まれたヒビと繋がり始める。


「おらぁ!」


「どんどん投げ込め!」


「できるサポートは全力でやれ!」


「もう数個、手榴弾投げるか!?」


「道路が崩れるとまずい煙幕弾だけにしとけ!」


次々と雨のように降ってくるそれが奇天烈色の煙を商店街に立ち込ませていく。


既に駆け出したプロトの位置を敵は把握できない、

それに対し彼は自身に搭載したあらゆる機構により一切の問題無く活動する。



壁が破られた、

敵の位置が絞れない、

………!

銃撃!

オレの周りを回りながら撃ってきているのか?

壁の生成……いや、それでは遅い

ならば



【対象、一定間隔で水晶体を円状に数層で生成することで自身を守っている】


「あれじゃ敵が鳥籠の中にいるみたいだ」


ビルの上の隊員1人が呟く。



銃撃が一方から……

そうか、奴め止まったな!

ならば波で………な!?



怪物が水晶体を生成しようと向いたした瞬間、

背の水晶柱が爆風と共に吹き飛ぶ、

煙に空いた穴から機構の蜘蛛が覗く、

意識がそちらを向く、


………そちらが本命か!?

………いや、違う

感じるぞ‥‥駆けてくる揺れを

本命は銃撃の方(そっち)か!



長い杭が高速で伸びる。



捉えた、

感じるぞその肉を貫く手応………え?


エネルギーを感じない?



水晶を伝う力を感じない、

戸惑い、

思考し、

意識を向けてしまった無防備な背中に、

タチバナの主砲は再び放たれる。


その威力に負け足は地を離れ、

自身を守る壁に激突、

動けない、

めり込んだ体の修復を優せ………!?


エンジンの蒸す音がする、

静かな足音が聞こえる、

煙幕弾が地に跳ねる音が止む、

それでも今だ晴れない煙の向こうから、


『………敵にも礼節を、これは私に課された命令(コマンド)です』


呟く人形はいつの間にか彼の後ろに立っている。

右手で掲げられた棺の縁が開く、

その4本は細い腕となり敵を抱く。


天将十二火器 第8番

大裳(たいじょう)


積載可能な武器の中で唯一、

重すぎるがゆえに射出できない兵装である。


『なので……まぁ、こんにちは』

『私は特殊生物討伐用特殊アンドロイドHA-08』


白煙とともに敵を掴んだままゆっくりと持ち上げていく。

安全レバーを回す。

砲門が開き、

杭が除く。


どこにも触れられないクウォーツに為す術はない。


長さ100cm

直結8cm

鋼鉄の杭の高速射出機構砲(電磁パイルバンカー)


本来壁や床に固定するためのマニュピレータは敵を離さず、

杭の位置をその凹みに固定する。


そしてその杭だって今だけは特別製


中身まるごとくり抜いて火薬を詰め込んだ


ワイヤー点火の爆弾である。


『射出準備完了』

『……では自己紹介も終わりましたので、さようなら』


聞いたことのない奇天烈の音が夜に響く、

放たれた杭は固定脚を引きちぎり怪物を天高くへ運ぶ。

それは瞬きするほどの速さで、

水晶の槍を越え、

木を越え、

今ビルの上の彼らを超えた。


『Ms.Quartz』


手に握られたワイヤーを引く、

小気味のいい音はしない、

ただ、

その月が見えるほど晴れた夜空に

雷鳴が響いた。


付近に人が住んでいようものなら一斉に明かりがつくほどの轟音と光、

それでも確かに感じる手応えがあった。


「やったか!」


「よっしゃあ!」


「はぁ、今回も俺等あんま仕事できなかったな」

「……ってうお!?」


「破片が降って来るぞ全員何かで頭を守れ!」


「おい、下大丈夫か!?」


「………大丈夫っす!肩えぐれただけですみました!」


「無理するな今斬るから動くなよ………」

「おい、お前見てないで助けろよ」


「………あの、先輩」

「何か変じゃないですか?」


「あ?何がだ」


水晶(これ)が残ってることですよ」


「………どういうことだ?」


「だって変じゃないですか!」

「ブースターの火だって()ったら一瞬で消えました!」


「………」


「あいつが発生させた水晶も10分もしないで消えてましたよね?」

「てことはこれ……本物じゃないはずなんですよ!」


「………つまり、これが消えてないってことは!?」



「プロト、後ろ!」


誰かが叫んだ、

でももう遅かった。


命令完了で停止していたタチバナに

何かが流星のように飛来、

新品の戦車は簡単にひしゃげ、


爆ぜる。


爆炎、

積まれた火薬全ては燃え上がり、

爆風と炎が連鎖する、

空気がゆらぎ、

炎も揺らぐ、

その中に微塵も動かない影が一つ、



『………対象の情報を更新』


腰に固定していた勾陳と玄武を繋ぎながら、

ただプロトだけが冷静に現状を記録する。


『戦闘を続行する』


いま、第3ラウンドは始まった。

【観察対象とは】

中央が定めた神織島の存続に大きく影響を与える可能性がある人々を指す。

その影響は良い悪い両方の意味を持つがもっぱら悪い方の意味で用いられる。

島の技術が年々上昇しているため観察対象はどんどん解除されており、

最近では余程のことがない限り新しく指定されることもない。

なお、観察対象にはことが起こったとき無条件で対象の殺害を許可されている。

……が、毒は薬と言うべきかこの島に脅威になる技術は

研究都市である島としても有益であるため

実質行動に移さない限りは逆に暗に保護される。

観察対象03aが本郷早太、観察対象03bがアルドナープであり、

その理由は「エネルギー不足問題を解決できる可能性がある人材」

もう一つ理由があるが現状不明。

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