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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第1話 自由の翼と雷の成り損ない
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第1話 その2




雷光が落ちる。

雲一つ無い晴天から一筋の閃光が。


「な、何だ次々と!?」


校舎に入ろうとした先生方が駆け戻ってくる。


「だ、誰だお前は!」


慌てた様子で……誰だっけ?

国語の先生だったか、

が、僕にキョドった声で怒鳴る。


まあ、確かに急に怪物が現れたらびっくりするよな、


「き、君!危ないぞ離れなさい!」


担任が僕……じゃないよな?

僕の隣辺りの誰かをそう(せっ)と……


「「ん?」」


横を目が合ったのは1人の少女、

見覚えがある。

というかさっきまで見ていた顔だ。


「「え~~~っ!?」」


あまりの衝撃に思わず声が……

それはどうも彼女も同じのようで……

え、つまりこれって異常事態(イレギュラー)なの?


「何で外に居るの君!?」


「何で外に居るの私!?」


「そりゃこっちのセリフ……」


「って、あれ?」


「ん?」


「そういえば、普通に会話……できてる?」


「………あれ?そういえば」


彼女は停止する、


「………?」

「どうしたの……?」


「う~~~っ」

「やったぁー!!」

半怪人(大当たり)だ!」

「私の勘とダブルミーニングで!」

「やったね!君、今回のゲーム狩人(ヒーロー)役だよ!」


「狩人役?」


「そう!意識のある怪人は超絶ラッキー!」

「完全に怪物になるより───


「君達!無視をするな!」

「何者かと聞いているんだ!」


彼女の言葉を遮って教師が怒鳴る。


……この人、こんな得体の知れない奴によく話しかけれるなぁ。


しかし、どうしたものか……


できれば怪しまれたくないし……


「───あぁ…わ、私は」

「私は、イースランド・プロテクターズ特殊部隊現場対応用構成員、コードネーム《アルドナープ》です」

「特殊物隠蔽法第17条にのっとり対象を排除します」

「危険なので誰も立ち入らせず」

「極力目撃者の人数を抑えるようご協力ください」

「まもなく我々の本隊が参ります、参りしだい彼らの指示に従って行動してください」


無論、デマである。

ペラペラ僕の口から飛び出した言葉の数々

並べた部隊も、コードネームも法律すらもデマだ。

しかし……


「さすがI.P、行動が早い!」

「まさかもう来られていたとは!」

「了解しました!全力で協力させていただきます!」


体育の鮴山(ごりやま)が敬礼すると、

皆つられたように敬礼して本校舎へ駆けていった。


「……ねえ、現代人ってみんなあんな風に馬鹿なの?」


「……それだけ治安維持部隊が信頼されてるってことじゃないかな、たぶん」


『GYUAAAAAAAAAAAAAAッ!!!』


校舎の硝子を震わすような叫びが響く。


さっきまで静かだったのに……


「もしかしてこっちを感知したのかも」

「急いで!」


「感知!?」

「……よくわかんないけど、OK!」

「行ってくる!」


倒れ込むようなフォームからのスタートダッシュ、


………あれ?なんかそんな速くない?


電気っていうから光の速さ的な感じかと……


……とりあえず、


体の力すべてを足に流し込むイメージで……


跳ぶ!


爆発音


「あ、案外ジャンプ力はある」


駐輪場の屋根を踏み、

三階へ跳ぶ。


バコンッ、

というあまりよろしくない音がする。


「よっ」


三階の窓下の段差を掴み体を持ち上げる。

ふぅ、どうにか入れた。


「えっと……」

「どこだっけ階段……」


普段来ないからなこっちの校舎、


ああ、あっちか。


登り切ると目の前には大きなガラス窓、

こっそり覗く……まだ来てないな。


階段を駆け上り四階端の覗けない教室を除いて、

次の教室から順に教室の窓を覗いていく。


……異常無し


……異常無し


……異常無し


……異常……?


『GYUAAAAAAAAAAA!!』


「!?」


ドアどころか壁を突き破った頭突きが僕の鳩尾(みぞおち)を貫く。

僕は奴によって廊下の壁へ吹き飛ばされる。


何とかガードしたが……


結構痛い、

怪我しないんじゃないのか、


……いや、

壁も貫く頭突き、

でも骨に痛みが無い、

もしかして……

半分だけ怪物だから受けるダメージも半分だけってことなのかな……?


……追撃無いな、

頭を振り無防備に立つ敵を観察する。


身の丈超えてた翼が縮んでいる。

室内では邪魔だもんな。


それに翼に爪、

かなり強靭そうな足、

体型も何か鳥というより……


そう、あれだ。

始祖鳥だ、

鳥成分の方が強いけど。


『GYUAAAAAAAAッ!!』


……デカいし、鋭いし、怖い。


(さて……)


ゆっくりと立ち上がりながら対抗策を考える。

なんか妙に頭が冷静で思考する速度がいつもよりも早い。


『GYAAAAAッ!』


「危なっ!?」


鋭いひっかき攻撃、

とっさに避けるが翼から起きた旋風でどのみち吹き飛ばされる。


受け止めるべきだったか?

いや……

コンクリ、削り取られてるぞ……?


うん、無いな。

それなら……


『GYUA!?』


振られる前に全力で殴る!


バスン


「『………?』」


効果いまひとつのようだ、


「まじかよ」

「……っ!?」


鋭い蹴りが鞭のように振るわれる。

鋭い爪が刺さり、三つの穴があく程の威力。


「ほい!」


ズドン!


プシュゥゥゥゥゥ


とっさに掴んだ盾、

穴を開けられてしまった消火器が破裂する前に僕はそれを敵に投げつける。


吹き出す白粉、

そしてその隙に……

逃げる!


(聞こえる?ハヤタ)


走っている僕の頭に声が響く、

さっきと同じ声だ。


(アルドナープ?)


(はい、アルドナープです)


(テレパシー?)


(いえ、あなたの中の……あ、今は長くなるのでその説明は後に、今はわかったことがあるのでお伝えします!)


(何?今ちょっと……)


(あ、戦闘中ですか?)


(そうだけど……)


(効いてます攻撃?)


(全然)


(でしょうね)


(というと?)


(さっきの私の姿、覚えてます?)

(契約時とさっきで姿、違ったんですけど)


(……え、そうでした?)


(あぁ、まあ、一瞬でしたからね)


「ここだ」


僕はそう呟くと端の教室前で立ち止まる。

唯一賢い訳でもない僕が思いつけた秘策……


(で、何だっけ?)


(前と後で見た目に変化が有ったんですけど)


(どんな風に?)


(身長とか体系が幼くなってたんですよ)


(そうだっけ?)


(……失礼ですね、多少変化してもわからないと?)


(いや、ごめん)


(っと、それはまあいいんです今は)

(それで、先程ちょっと無人の保健室に潜入して細かく測ってみたんです)


(ほう?)


(体重はほとんど無かったんですけど、身長が十数センチ、スリーサイズも下がってました)

(数値にすると約30パーセント)

(おそらくそれが私があなたに与えることができた力の量だと思われます)


(つまり僕があれに手も足も出ないのはそれが原因)

(そういうことでいいの?)


(はい、スペックもかなり低く、おそらく生み出すとか、速くなるは使えないと思われます)


(じゃあ、何ならできるの?)


(そうですね……)

(一応体内にある程度エネルギーが有ると思うので)

(外部からエネルギーを吸収するとか……)

(もしくは、一カ所に集めることで)

(一時的にスペックを底上げできると思います)


集める……

ああ、あのジャンプのとき感じた感覚か。


なら、わかる。


『GYUAAAAAAAAAAA!』


煙を吹き飛ばす突撃、

速い、


が、


「ハッ!」


足に力を貯め、跳ぶ。

体をひねり、体操選手のように回転しながら怪物の頭上を飛び越える。


『GYURAA!?』


響く轟音、ひしゃげる扉、怪鳥の鳴き声。


その教室の名は『金庫室』。

この島では割と有名な画家の本物の絵や危険な薬品などがしまわれた入り口自体が銀行の金庫のように頑丈な教室。

先生曰わく「どんなカッターを使っても絶対に壊れないし斬れない」という扉。


そんな扉に頭を強く打ちよろめく怪鳥の腹に、

再び足に力を貯め、

タックル!


その方向は大きなガラス窓!


『GULE!?』


「落ちろッ!!」


窓ガラスは割れ、怪鳥は落ちていく。


しかし、怪鳥は翼を広げ再び豪翼を取り戻さんとする


「……させるか」


僕も飛び降りる。

翼を広げ落下速度を落としていた鳥に僕は優に追いついた。


その、上に立てるほどの巨体。

それに童話のようにまたがって……

いや、逆か。

体勢。

だが奴は僕を振り落とそうとはしない。

羽を戻すのに精一杯なのだろう。


なら、このチャンス、

逃すわけがない。


「全力を出すイメージ……!」


空で解けて死なれては困るので直前、

そう、本当に地面に当たる数秒前に、

僕は僕の残るすべてを深く羽毛に沈む両手の平より

雷として流し込む。


「た、お、れぇ~~~~ろぉぉお!!」


『GYUAAAAAAAAぁぁぁ」


地面が少し揺れ、

一枚の羽も残さず、

幻想だったかのように怪鳥は姿を消した。

そして目の前には1人、

一切の傷無く寝息を立てる者が1人。


「……はぁ、はぁ、はぁ」

「生きてる?!」

「僕は大丈夫……」

「こっちは?!」


人の姿に戻った友の首筋を触る


「生きてる!」

「良かった~~」


僕は後ろに尻餅を突く。

とりあえず一安心。

それに落ちたのはは反対校舎側じゃないのも幸いだ。

万が一怪物が元に戻るところを見られてたら大変だった。

僕はゆっくりと立ち上がる。

とりあえず、一件落着。



「……ああ、そうだ」

「一応先生たちに終わったと伝えた方がいいか」

「……いや、それよりまず安全な場所に──


「動くな!」


立ち上がろうとした僕の耳が声を拾う

カチャリという金属音と共に

そして僕の目の前には五丁の銃が向けられていた。

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