第24話 その1
「はぁ、そんなことが」
機関銃を搭載したドローンを操作しながらマキナが発した言葉に
「そうなんだよ、いやぁ……他人に寄り添うってのは僕にはてんで無理なんだなってことを実感したよ」
持ち手の無いナイフを磁力で操りながらチェインは答える。
双方怪人態にて座禅を組み
自分の能力のみで互いの武器を破壊しようとしている。
「…………正直これ僕のほうが不利じゃない?」
「浮かせ続けるだけでわりときついんだけど」
あるとき開発班のある人がつぶやいたらしい
「ナイフ周りに磁力を発生させたらソードビット的なことできるくない?」……と
その結果は、まぁ、できなくはないと言ったところ。
「結構調整が………っていうか初めてで4本は多すぎない?」
「どうやっても空間に止める、レールガンよろしく撃ち出す、空中でなんとか止めるが精一杯だよこれ」
「磁力でレールを引いてその上を走らせるというのは?」
「ん〜」
マキナの提案どおりにやってみようとすると、浮いていたナイフ達は地面に落ちる。
「だめだ、同時には無理、意識がナイフからそれるとナイフ周りの磁力が弱まっちゃう」
「なるほど、たしかにドローンなら操作しなくても飛び続けてはくれますからね」
8機のドローンを自分の周りに飛翔させながらマキナは納得する。
「そういや実弾なんだね、開発班の好み的にビーム撃ってくるかなって期待してたんだけど」
「撃てるようにはしてみたけれどどうやっても撃てるだけのエネルギーは確保できなかったそうですよ」
「それにこのドローンで撃てる弾丸もたかが知れていますね、飛べるだけ小型化して貴人を搭載したところで至近距離から撃たないといけないんじゃ威力なんて無いようなものです」
「そっかぁ……ロマンは所詮ロマンかぁ」
「………いや、待てよ?」
「電力問題が解決すればいいんだよね?」
「え、えぇ……」
「ならさ『ピンポ~ンパ~ンポ~ン え〜、兵器実験演習室の本郷早太、葉黄恵縁ならびにそれを見ながらサボっている幹部共至急第1会議室に起こしください』
僕の声より大きい声がスピーカーから聞こえてくる。
「呼び出しですか」
「みたいだね」
僕らはそれぞれの武器を地面に落とし
怪人態を解く
「たぶん木植さんの検査とプロジェクターシステムの解析が終わったのかな」
「いろいろ聞きたいことはあるし向かおうか」
「え〜、結論から言うと後遺症は無し!」
マルキメイラの言葉に僕は安堵する
「いや〜、正直生命力が減ったとかはまだしも寿命が減ったかまではわからないけど以前誰だっけかがレーダー使ったときに見られたような衰弱は今のところ見られないかな、成長期で生命力が溢れている年頃だからかもね」
「それと、もう一つ考えられる要因があります」
そう言って補足するような言葉を言いながらマルキマイラが立ち上がる。
そして彼女は僕のイメージを下にして描かれたモンタージュの結晶部分を指示棒で指し
「もしこれが本当に彼女の能力に関係なく、感情によって肥大化したりしていたならこの結晶は寄生してる相手の感情を暴走させる性質がある可能性がある、というのが私達の見解です」
「生物の感情は上質なエネルギーを生み出すとのことでしたよね、しかも感情が1つになっているほどいいとも華家来さんはおっしゃってました、怒りほど他の感情を塗りつぶすものもありませんから」
「局員が使用したときも使命感に溢れていたから今も後遺症が無いと考えれば腑に落ちます」
「プロジェクターシステムを安定安全に使うならエネルギーは量よりも質が大事だという仮説は結構的を射てるのかもしれませんね」
彼女の言葉にへ〜と関心する
とここで手が上がり
「その結晶ってのはよ、なんか他の怪物の能力ってことでいいのか?」
班長の1人がそう問う
「不明、でしたねメイラ」
「そ〜なんだよぉ、いかんせんサンプルを回収しようにも敵を倒すと消えてしまいますし、じゃぁ倒す前に採取して調べてみよう!ってなってもなんかやたらめったら硬くて砕けないしという始末で」
「結局不明か」
「………次」
「プロジェクターシステムの方はどうだスクマスガ君」
局長の言葉にあいも変わらず本人不在で義体が立ち上がり答える。
『盗まれた設計図からなんの改造もされてないただのプロジェクターシステムのデバイスだネ、本郷早太の話では色が黒かったという話だがそんなのは、塗料一片すら見つからないネェ』
「それは、その黒もあの結晶によるものだったってことか?」
『そうなるネェ』
「………しかし盗まれたプロジェクターシステムがまさか一般人の、しかも子どもの手に渡ることとなるとは」
「これは警戒を強めないといけないな」
「皆も可能な限り島中の監視を頼む」
「……あの、それなら盗まれた複製プレートの詳細を共有してもらえませんか?」
「む、してなかったかね?」
「盗まれた複製プレートは3つ」
「ドリアード、イグニッション、ミラーだ」
「そして人工的にプレートを作り出すための理論をまとめた資料も盗まれている」
「え、じゃあ未知の怪物が出てくる可能性も?」
「可能性は無論あるとも、しかしまだそれほどできのいいものではないからね、プレート化できるものは限られる上それほど強力ではない、鍛えている人間なら戦えるレベルだよ」
華家来輝照はそう言うが
「限られるって例えばどんな?」
細かく知るに越したことは無いのでいろいろと質問する。
「生きているものだ」
「生物は魂に含まれる情報をそのまま使えばいいが現象や物品など魂を持たないものたちは未だ情報に変換する手立てが無い」
「なら生物の情報同士を合わせて神話の生物を作るとかは?猿虎狸蛇トラツグミとか」
「可能かもしれないがそれを実際にやろうと思うと相当な知識が必要だね、少なくとも僕には不可能だ」
「それに異能力バトルってのはシンプルなほど強いって相場が決まっているからね、下手な改造はかえって弱くなるだろう」
「端的に言って無駄」
「ですか」
「ねぇ、監視するって言うけどさ?」
「いくら最近本郷くんが私達の作る武器を使えなくなってひましてるからと言ってこの島全部はさすがに広すぎるんじゃないかな?」
「なんかあてとかないの、何区が怪しいとかさぁ」
「無い」
「……けど、1つ心当たりはある」
「それは?」
「それは………」
「子供の前では言えないなぁ」
なんだよ
「ちょっと事情があってね、すまないが奴らが犯人と確定するまでは君には伝えることはできん」
「すまないが退席してもらえるかな?」
「………はぁ」
ちょっと予想外の言葉に早太は思わず気の抜けた返事しかできなかった。




