第20話 その7
「………よう」
変色した道路に僕は立っていた
本郷早太しかいない街はただただ不気味で
不自然な止まり方をしたトラックなんて人が降りた形跡もない。
「なんて顔してんだよ」
そんな街の歩道に立つ幼年に僕は問う
「裏切り者」
瞳は光が無い
表情に覇気が無い
ただ、自分にとっての事実を
相手に叩きつけるような冷たい表情。
「ひどいな」
「ひどいのはお前だ」
「卑怯で弱虫で情けなくって恥知らずな!」
「お前だ、本郷早太!」
今度は鬼のような顔になって
幼き僕は怒鳴った。
「なんで、なんで、なんで捨てた!?」
「なんでお母さんの無念を晴らそうと思わない!?」
「あの、画面の向こう側で未来を知ることができるみたいに結果ばかり話すやつと同じになる!?」
「あんたは母さんの正義が正しいって思わないのかよ!?」
「あのときの悲しみを忘れたのか!?」
「………なぁ」
「なんだよ!」
「僕は忘れちゃったから、君に、過去の僕に聞こうと思ってたんだけどさ」
僕は眼の前の1人になってしまったつもりでいる僕に問う。
「君はあの頃誰を恨んでた?」
「誰かに復讐したかったのか?」
「そんなわけないだろ」
「僕は……お母さんが報われて欲しかったんだ」
「お前に、報いて欲しかったんだ」
「母さんの正義を……」
「あんたに!正義の味方になって欲しかったんだ!」
「………ごめん、なれないよ」
「っ!」
「僕はもう、正義を行動の理由にしない」
「じゃあなんだよ!お前は悪人にでもなるの!?」
「………そんなダサい言い訳はしない」
「僕は今日から自分のやりたいことをする」
「自分のやりたくないことはやんないし」
「自分のやるべきことはやる」
「もうわからないからなんて言い訳はしない」
「そんな」
「責任感のある人間になって見せる」
「辞書を読んで決めた」
「僕は英雄になる、自分がやりたいことをやった結果、多くの人間を助けられる人を目指す」
「僕は人に願われ、尊敬され、使命を与えられる勇者にはなれないから」
「僕はやりたいことをする」
「まだみんなを守れるかはわかんないけど」
「手始めに、僕は友達を守る」
「守るために力を使う」
「それは……なんで?」
「………愚問だね、お母さんが友達は大切にしなさいって言ったからさ!」
「なにそれ」
「もちろんそれだけじゃないよ?」
「でもね、君に伝えるならこの言葉だと思ったんだ」
「僕のやりたいことを、やりたくないことを、やりたくても我慢することの理由の中で」
「母さんの正義ははっきりと生きている」
「生きてるよ」
「だから、僕がいつか称えられたとき」
「きっとお母さんも報われるんだ」
「その日まで、待っててよ」
僕ははっきりと僕に誓う
「………なにそれ」
「変かな」
「変だよ、矛盾だらけ」
「いいんだよ」
「普通に生きてる人間に信念なんてないんだ」
「毎秒毎日、やりたいことなんて変わるさ」
「………そっか」
「じゃぁ、見ててあげる」
「その矛盾に苦しめばいいんだ、お前なんて」
彼は微笑み
僕らは微笑んだ。
「あぁ、苦しんでくるよ」
「今日から僕は好き勝手暴れる怪物になるんだから」
僕は手を差し出す
「人類の敵、頑張んな」
しかし幼い僕は僕の手を取らずすれ違い様に背を押して去っていく。
「僕は人を救わない」
「やりたいようにやってやる」
「怪物にも人間にも敵対してやる!」
「覚悟しろ」
《Version Uper》
デバイスにガジェットをはめ込む。
「それのどこが信念だ!」
「そうだね、これは信念じゃないかもしれない」
「………なら、否定してみせろよ僕を」
「僕も倒せない存在が頂点目指すなんて不可能だぜ?」
《Version/up》
その瞬間アルは再び光の糸となる
《Expansion》
「変動」『覚超』
稲妻のようだったラインが染み込むようになって、チェインが金に染まる
《Creation》
光の繊維が外殻を3Dモデルのように空に網みあげ
《Decoration》
それがその身に投影されることで
早太は怪物へと変わっていく。
「『さぁ、今ここに再誕する』」
《Evorlution Chain/ver.2!》
グレートマックスなチェインが今ここに再誕する。
その圧に地面に生える水晶は砕け
日が沈み夜となった工業地帯に
昼のような眩しさを訪れさせる。
「『勘違いしてるようだから言っといてやる』」
「『お前が挑戦者だ』」
2人は言葉を告げた
(速い!?)
その瞬間
いつの間にか彼はフェンリルの懐にいた
「『ふん!』」
拳が敵が防御するより早く鳩尾に決まる
……しかし
「………おいおい、何だよさんざんイキっといてこの威力か?!」
その一撃はボルテージの上がり始めているフェンリルに効果がない、
しかしチェインは特にこれと言って反応しない
「おらぁ!」
フェンリルは蹴りを放つが
(避けられた!?)
ほとんど無駄のない回避
(また拳が来る、無策で来るやつじゃない)
(ここはガードを……っ!?」
(ガードの隙間に攻撃点が変えられた!?)
(効きはしないがなんて判断、反射速度!)
(もうガードは諦めたほうがいいな)
(ここはカウンターを狙って………!)
「………ぁ?」
カウンターが空振り
チェインの拳がフェンリルにめり込む。
「か……はっ」
フェンリルよろめく
効いている
怪物の体躯が少しだが大きくなったことから明らかだ
「くっ!」
何とか対応しようとするも
その隙に3発拳が決められる。
その全てが有効打
「………なんでだ、なぜ効き続ける」
「俺はお前の拳を受けるたび頑丈になっているはずだぞ!?」
「一撃のたびに発電して」
『その電気を使って自己強化してますからね』
「『こっちは一挙一動のたびに強くなり続ける!』」
「つぅ……!?」
フェンリルが揺らぐ
「………認めよう」
「お前は……強い!」
水晶の波が回避を許さずチェインを押し流す
「……だが、どこまで行ける?!」
「どこまでの無茶無謀に対応できる!?」
「お前は俺を安心して眠らせられるのか!?」
生成される水晶のパーツを元に
光の糸が十数メートルの巨人を縫い上げる
……が、
チェインが生成した熱線がそれを細切れにしたことで崩壊、
「これは?!」
光の糸がチェインを縫い付ける……が、
パリッ
ほんの少しの電撃で全て断たれる。
「拘束がだめなら落下はどうだ!」
チェインの足元にジッパーが開きはるか上空へ転送される。
「ついでにこれもだ!」
ジッパーが開き送り返してなかった分のマキナのビームが自由落下するチェイン目掛けて放たれる……が、
「ビームが避ける……!?」
「電磁バリアか!」
「………なら、直接!」
足から下へ自由落下するチェインの背後にジッパーが開きそれと自分の手元のジッパーを繋ぐことで背後をその鋭い爪で奇襲する。
……が
(跳んだ!?)
突如空気を踏んだかのようにチェインは上に跳ぶ。
(何をした……?考えられるのは……磁力?)
(自身を上に打ち上げたのか……?)
「なら細かくは動けないだろ!」
空に穴が開く
そして
その日水晶の雨が降った
「………」
「くそがっ!」
だがチェインはその隙間へ滑り込み続け
空中で全てを回避して見せる。
(何なんだ……お前、さっきから何故攻めてこない、お前の機動力なら俺の懐に入るなんて簡単だろう……?!)
「遊んでいるのか……!?」
「まるで与えられたおもちゃでどう遊べるかを試すガキのように……!」
「もういい……最後だ、本気で来い!」
「俺を満足させろ、俺を安心させろ」
「この理不尽から全員を守ってみせろ……!」
水晶の刀を腕に生やした水晶兵が
ジッパーを通して
気絶した者
負傷した者
後方数百m先にて支援する者
避難させている最中のバカどもが乗った数km先を走行中のトラックの上
一人につき一体
拳銃程度じゃ壊せない化け物が送り込まれる。
「『…………』」
それを上空から見下ろしていたチェインは
ゆっくりとガジェットを奥の手を使うように押し込む。
《Overuse……》
《Fullcharge》
「なっ……!?」
10秒
世界に光の軌跡が刻まれ
全ての水晶兵が砕かれ
今
フェンリルの眼の前には
「『これで満足か』」
陽炎を揺らすチェインが立っていた。
「『…………お前に全力を見せるために時間を無駄にし過ぎた、一応聞こう、もう安心か?』」
眼の前の怪物を前にフェンリルは自身の胸にそっと触れて
「………あぁ、満足だ」
微笑む
「往生際を汚さねぇように、てめぇに託すことにする」
「さぁ、できるだけ派手に眠らせてくれや」
「『了解している』」
「『そのためにわざわざ8秒も無駄遣いしたのだから』」
そう告げて彼はシャッターを切り、後方高くへ跳ぶ。
《Take Attack》
「『レールガン·スマッシュ!!』」
《Crimson Strike》
その瞬間足から順に、次々とチェインIIの外殻が砕け散り
その光の粒子が円錐の軌跡となり
それをつなぎ合わせる赤い稲妻が
輝きその飛び蹴りは、溶かし焼くような蹴りが、いつの間に、何度殴られたのか高速で、肉体の再生が間に合わない急膨張によって、むき出しとなってしまったコアを、フェンリルを、穿つ。
「………ふふ、いい派手さだ」
「頑張れよ」
そう呟いた瞬間フェンリルは
内から雷が暴れたことで燃え上り、
爆ぜる
決着である。
「おいおい、先生!」
「リベンジ前にやられちまったぞ!?」
「そのようだな」
「………そろそろ彼らに挨拶すべきかもな」
「……俺はいつでもいいぜ?」
「ならばあの姿になられないタイミング……」
「今からにするとしよう」
屋上に立つ謎の2つの影は立ち上がる
「先生は心配性すぎるな、まったく」
「……まぁ、いいや」
「力が手に入るンなら従うぜ、降臨」
《Take Change……》
「さぁ、第二章のはじまりだ」
《怪物紹介》
チェインII
身長:180cm 体重:85kg
パンチ:8t〜 キック:14t〜
一跳び:45m〜 100m:不明
《概要》
華家来輝照の開発したガジェット「グレードアッパー」を使用することで使用できるようになったチェインの80%形態、
残り20%分のアルドナープは付近で何らかの姿を取って待機している。
今回の場合はバイクに搭載されている心の杯に宿っていた。
意識が同時に2つある状態であるため
メインの戦闘は早太、迎撃や足場などのサポート系はアルドナープが担当する。
……はずだったのだが、まだ完成仕切ってないアイテムを使ったため、意識が同化し、怪物としての本能に意識を汚染されており、かなり荒々しい性格になってしまっている。
なお、これは調整すれば直せる。
一挙一動のたびに大量の電気を生成し、
無限に吸収、貯蓄することができるようになっており、一挙一動のたび自己を強化していく。
能力の精度、出力が大幅に上昇しており
もはや電子すらも感覚的に操る領域に到達しており
本来電気を通さないもの、磁力を持たないもの全てに問答無用で能力を適用することができ
空気に磁力を付与して空間に足場を作り出せる。
ビームの生成も一度に複数可能になる他
相手に触れた瞬間相手をレールガンの弾丸として射出するなど
身体スペック以外の火力も大幅に上昇している。
デメリットとして
電気を生成するたびに生み出される熱がある、
ある意味武器として使えはするが
熱が一定の温度に到達すると、ガジェットの安全装置が作動してチェインII形態が強制解除してしまう。
その温度に到達するまでの時間は普通に戦闘を行った場合、だいたい90分くらい
また、奥の手として「過剰使用状態」が存在し
10秒間100%形態に変化する能力がある。
《アイテム紹介》
韋駄天
元局長に依頼されてSOCDOにて開発された早太専用の特殊バイク。
普段は普通のガソリンで動く何の変哲もないバイクだが、ハンドルのスイッチを入れることでゴリッゴリの違法形態に変化する。
この瞬間完全電動に変化し隠密走行が可能に
排熱機構が展開され走行速度は音速まで可能になる………が、危険すぎるし、捕まるので路上での使用は不可能、今回は地下の暗部への搬入用に使われている道路を使用して移動してきた。
正直人が操作できるものじゃないし、チェインでも反応速度が間に合わないため、
20%分の心の杯を搭載しており、チェインを50%形態にすることで自由自在に操作できるようになった。
なお、チェインII形態なら走った方が最終的に速くなるので基本乗らない。
さて、第一部火力不足で攻略できない編はよ〜やっと終わりましたね、
正直電気を操作する能力なんてチート·オブ·チートですからね、正直どうチェインを攻略させていこうか若干悩み中です。
………しかし、なんか日に日に元から低い戦闘シーンの出来がひどくなっていってる気がする。
特に決着、話の切り方、登場キャラの性格がころころ変わる、他名作漫画、アニメのパクリ……
もうちょいどうにかならないかな……
別の小説でも書いて練習しようかなぁ……




