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電光怪人チェイン〜ヒーローになりたい僕と26のチートな力〜  作者: 蒲竹等泰
第3話 お出かけとジェットと火炎放射器
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第3話 その3

「美味しい……」


うっとりした様子でアルはクレープをほうばった。

頬に付くクリームをなめとり、

パクパクと食い進める。


無論、僕も食べ進める。


「……旨いな、これ」


モカ・ビタークリームを食べながら正児さんは言う。


並んでいたわりに座るベンチの近くに人はいなく、

背にする遊園地がまるで僕らとは別次元に在るような感覚を感じさせる。


「賑わってますね」


僕はアトラクションに振り向くことなく正児さんに言う。


「いや、空いてるぞ?」

「平日だし、10組もいないな」


「そうですか、まあ確かに子供は居ませんしね」

「………?」

「アル?」


さっきから無反応な彼女を僕は見る。

すると彼女はじっと青い空を眺めている。

そして全てのクレープを急ぎ食べ終え天を指す。


「………?」


「空を見て」


彼女は言った。

そこには無雲の青空を邪魔する白い影。


「鳥……?」


「飛行機か……?」


「いいえ……」


「「怪物だっ!?」」


3人条件反射のように横に飛ぶ。

その瞬間、ベンチは爆音と共に蜂の巣となる。


突っ込んで来たのは人の身の丈ほどの飛行機……

というかドローン型の怪物。


横に倒れたような状態で凄まじい速度で突進し、

二丁のガトリングで僕を殺そうとしたのだ。


辺りに悲鳴が響く。


「早太!」

「客の誘導と本部への連絡は俺がする!」

「お前は客のいない場所であいつを引きつけてくれ!」

「アルドナープ!お前も手伝ってくれ!」


「了解!」

「はい!」


とりあえず僕は指示通り人のいない方に走る。

幸い怪物は大きく旋回してこちらに向き直ろうとしており銃撃は───っと!?


十数発の連射、

僕は壁の裏に転がり込み、

本体にフィルムをセットする。


『Please set』


現れたベルトにセット!

変わり響く旋律!


「変動!」

『Take, change Natural by Electric』


銀の姿となり僕は壁から飛び出した。


さすが正児さん、誘導が早い。

もう人はいない。


だが……


(どこだ……?)


敵の姿が……


「ぐあっ!?」


背中が突如斬られる。

痛い……が、大丈夫だ、

いくら痛くても本当に斬れているわけじゃない。

とにかく敵を見失わぬため振り向く。


(変形している……!?)


そこにいたのは二股の足……

いや、ジェットで床から数センチに浮かび、

ブレードとジェットのついた左右の腕、

握って開いてを繰り返す人の手。

ガトリングは肩に付いているがこちらを向いてない。

そして、ターボのような上下のパーツの間には黒い何かといかにも敵風な赤いモノアイが除いている。


(ジェット……もしくは……)


「危なっ!?」


思考を妨げるように、

急加速の切りかかりをとっさに後ろに飛んで避ける。


想像以上に速い、

背にもいくつか付いているのか、


止まることのない斬撃、

回避を予想しているかのような左右の刃での攻撃、

一撃目を避ければ二撃目が避けきれなくなるいやらしい攻撃。

いかな剣豪も、

天才も、

人であるならば回避不能な攻撃。


しかし……


(11、3、7、9、1……)


見える、

動ける、

避けきれる。


正児さんから習った技術と、

研究者さん達が解明してくれた電気の能力なら……


(回避できる!)


僕の習った技術、

それは方向でなく時計で考えることによる、

思考の最適化。

これによって、

四方向で考えるよりも細かく、

それでいて馴染み深いが故に起動が想定しやすい。


そして、

体内電気の操作による、

思考と反射速度の超加速。


これはスペック測定のとき判明した能力だ。

100メートル走測定時、全てのレースでフライングとなったことが判明の理由だった。


よく調べてみるとどうやら僕はこの姿の間、

自身に流れる電気系の速度は人だったら脳が焼けきれるほどの速度に上昇しているということがわかった。


これにより僕は人の限界0.10秒を破り行動ができている。


それは動体視力にまで及ぶ!


そしてさんざん練習した自己強化、

足のみを強化することでエネルギーの消費を抑え、

大きく避けることなく、

最小限で()わしきる。


「ふぅ~っ」


僕は息を吐く。

避けた数は優に25を超え、その斬撃が一度止まる。


(だめだ、完全には避けきれないな)


軽くかすりながらもほとんどダメージは無い。


(……ん、胸のメーターが動いてる)


じっと敵を観察し止まった理由を考察する。

無茶に攻撃しない。


……まあ、もう数発カウンター打ち込んで一切ダメージが入らなかったからだけどね。


あいつ金属の身体が硬すぎんだよな……

でも、叩いたとき音が響いたな、

多分中身が何かあるなたぶん。

顔の黒いの狙ったら蓋されたしな……


思考を加速させ、

フィクションの知恵を借り、

考察する。


さてあのメーターは何を意味している……?


(ジェットの使いすぎで熱が籠もったとか?)

(つまり……廃熱口がある)

(明らかにそれっぽいのは……あの腹の網)

(バイクになっても大丈夫そうな腹だな)

(あのライダーのあれは廃熱口だったっけ?)

(知らねー細かい能力とか調べなかったからな……)

(しかし……細い)

(何か……)


再び動き出す。

先ほどと変わらず振り下ろされる刃、

しかし、僕は見逃さない。


(手が、違う)


それは人の手じゃない。

というか、手じゃない。

ノズルだ、

何かだ。


とりあえず……


(何かが出る!)


強化を強め大きく右に避ける。


(炎!?)


剣筋をなぞるような赤い炎、

熱い揺らめき、

腕が火炎放射器となっているのだ。


(やばい!?)


先ほどと同じような斬撃。

これではギリギリで避けたら燃やされる。


とりあえず後ろに避け、大きく距離を取る。


もう屋上に誰もいない。

なら……この空間全てを使う!


とりあえず全力で走って逃げる。

これだけ距離を開ければ放射器では届かっ……


「がぁっ!?」


熱い、熱い!?痛いっ!!?


何で?

炎!?

弾丸……では無いよな、

これは……


肩越しに振り向く、


やはりこれは……

火炎弾!?


放たれるバスケットボールほどの炎の球。


……っ、


敵に背を向けることなく後ろに跳ぶように避け、


「うわっ!?」


着弾した瞬間それは燃え広がる。

こっちもギリギリで避けれないのかよっ!?


くそっ、考えろ……


そうだ、神座市さんが言っていた、

飛び道具を使う敵なら射程を測れって……

よしっ……






ふぅ~

だいたい……わかった、


射程が……20m

それ以上だと球形が保てなくてそこで燃え広がる。

弾速が遅いから撃たれたあと避けた方が確実だな。

連射はできるみたいだけど……

チャージか冷却か一発ごとに1秒の間、

しかも12発撃ったら15秒間の間……



だから何だ、

こっちには攻め手が無いんだぞ?

僕は店を盾にしながらため息を付く。


隠れても場所は探知されるし……

武器を探す暇もなく敵に見つかるし……


………ん?


んん?


あるじゃん、いいの。

さっき見たじゃないかちょうど良さげなの

僕は鍵のかかっていないあのお店の裏口を開く。


「………なんで?」


そこにいたのは1人の少女、

小学生くらいで胴体ほどのぬいぐるみを抱えている。


「……まずいっ!」


僕は振り向き身を広げる。


直撃する5発の炎。

店は……良かった燃えない。


(アル!)


(はい!)


(こっちこれるか!)


(できます!)

(誘導は完了、皆さんと4~1階に待機してます!)


(背から出てくれ!)

(あ、あと伝言!)



(───了解!)




背中から光の粒子として転移し、

アルが店内に現れる。


「君、一緒に来て!」


黙り続ける少女はアルに抱えられ店を出る。


(……良かった、標的はアルに向かない)


僕は走り去る彼女たちを確認した後店内を探す。

………よし!


あとは……


僕は15秒の冷却の間に探しだしそれを握りしめ、

敵を蹴っ飛ばして外に出る。


カラン、カラン、カラン、


───来た!


プシュゥゥゥゥ


無数に転がり込んでくる4、5個の缶々。

そして噴き出す白煙。


辺り一帯は煙に包まれ視界は塞がれる。


……が、3つ。

目に見えるものがある。


僕の胸と顔の青い光、

そして……


それをどかそうとしたのか、

それとも元からそうなのか一部だけ、





「煙の晴れている場所っ!」


「Uuuuuuuust!!?」


「くっ!?」


敵の初めて耳にするうなり声、

乱雑に振るわれた腕、

当たる僕。


そして廃熱口の薄い隙間に刺さる、

一本のあのクレープ屋のヘラ。


……良かった、刺さったぁ~


覚えていて良かった。

ありがとう、あの名前のわからない道具No.3


……しかし刺さりがあまい。


何かゲルのようなものに阻まれ刺しきれなかった。


でも……

何か硬いけど、刺せないほどじゃない何かの手応えが一瞬確かにあった。


先ほどと違いでたらめに振るわれる刃、


「刺されたとこ守らねぇと……」


僕は再び距離を詰める。


「BUuuuuuuuuust!!」


「がら空きだぞ傷口がぁっ!!」


刃をすんでで避わし、

全力の蹴りでヘラをねじ込む。


「Uuuuuuuu!」


「───何これ」


目前に現れる3重のゲート、

そして……


「嘘……」


放たれた火球は門を通るほど速く、大きくなり僕を襲う。


爆風が吹き、

気付けば僕は10階建ての屋上から地にめがけ、

落下していた。

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