表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/31

マクマノアクマ

 こうして僕は、友達件お世話係の職を得た。


 素敵なパンケーキの香りに誘われて来たら、素晴らしい出会いあったというものだ。


 雇用関係は『友達』なので対等。

 最短でも1年の滞在ができ業務内外でも自由に『食事』や美食巡りができる。


 庇護対象以外は食べ放題。遊び放題。


 そして、何よりあの薫り高くて、甘美なる食の体験『ゲル』の発見だ。


 傷んだレバーのような暗朱色のねっとりとした濃厚な味わいの『苺ゲル』

 ツンと鼻にくる刺激的な香りと強烈な酸味の『カビ落としゲル』

 爽やかな清涼感とクリアで澄んだコクのある『衣類漂白ゲル』


 どれもこれも、不思議な程に満たされる、あの加工物。

 まさに珍味の中の珍味。実に味わい深いものだった。


 むしろ、こちらが対価を払いたい程の、好条件の契約ではないか。夢のようだ。



 あぁレインちゃん、君は最高だ。まさに理想そのものだ。


 僕は食べることと、食べさせること、そして育むことに、愉悦を感じるんだ。これは本能でもある。


 肉体的重量を増やすのも良い。精神的欲求をさらに肥大させるのもいい。


 肉体や体液、魂を貪ったり、性的に貪るのでは、欠損してしまう。


 それはもったいない。

 大事に大事に、育てよう。


 ガリガリで弱弱しい、むき出しの原石。これからどんなスパイスで彩ってあげようか。


 おバカ過ぎて、ゆるっゆるだから、さすがにNOだけは言えるようにしてあげた。


 チョロ過ぎて、ルール無用と変わらないのはつまらないんだ。

 隙をつきたくなる規制がないと、悪魔は楽しめないんだよ。


 かわいいい、かわいい新しい主のことを考えると、うっとりしてしまう。



 僕が『暴食業者』としての嗜むのは、印象、思い込み、甘言などを贅沢に使用した『欺瞞』だ。


 分かっていても我慢できず、誘惑に負け、ストレスに負け、ご褒美という言い訳を作っては、太らな

さそうという印象に押され、空腹感に流され、己自身を騙す。


 欲望に吞まれる様こそが、味わい深いのだ。


 ありのままに手の内を晒すこともないが、絶対的な妄信も物足りない。


 ひと匙への躊躇いや疑惑という、丁寧な仕込みの課程があってこそ、抗えず堕ちる様が、上質な美味と化すのだから。


 そういう意味でも、レインちゃんは、とってもとっても愛らしい。

 あの子は、本当に『お世話』の甲斐が、ありそうだ。



◆◆◆◆



 それから、予言牛のいう『少女マンガ』か。

 さまざまな()()との出会いがありそうな、言葉通り、飯のタネになりそうな、良い話だ。


 

 自称元『お世話係』の勘違い小僧と召喚電波女の二人も、面白そうだな。

 

 その時々の、本人らの成長状況に適した()()()な戦闘で、更なる力や希少なアイテムを入手し続ける。


 単純な努力や才能を超えた、何かがあるんだろうね。

 同級生を殺して、火事場泥棒をやってのけ、何の疑問も抱かないなんて、妙な話だよね。

 何の捜査もなされずに、全く批判を受けないなんて。

 あり得ないことだろう。


 実に気持ち悪いな。

 行き過ぎたえこひいきの匂いを、感じる。


 おそらく何らかの加護が付いているのだろうが、()()()()()に、大層な大盤振る舞いをするものだね。まったく。


 ()()()()()()()()は、こちらの介入にはいちいち文句を垂れるくせに、身内のやり過ぎには、とことん無自覚なのだ。


 過剰過ぎるスパイスなど、料理への冒涜以外の何物でもない。

 本当に、頭だけでなく、味覚も嗅覚も悪い連中だ。まったくもって、趣味が合わない。


 ならば僕は『暴食業』の紳士として、誠実な対応を心掛けるとしよう。



 あ、まずは予言牛のお取り寄せの注文を、しなくちゃ。


 肉は寝かせるものだけど、あの品種の牛肉は死に立てが一番美味いんだとか。

 話には聞いてはいたけど、まだ試したことが無かったんだよ。あぁ出荷の日が楽しみだな。


やっと悪魔の目線まで来ました。

こういう溺愛・似非グルメものです。


感想、ブックマーク、レビューをいただけたら幸いです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ