メイ・アルマは幸せを知らない。

「今期も業績1位はメイかよ…」
「あははっみたいだね〜」
　メイ・アルマは嬉しそうにそう答えた。

　メイは人間を幸せにする仕事を担当する「幸福指数上昇部門」に在籍している天使である

「お前ぶっちぎりだったぜ…幸福指数プラス5700って。どんな裏技使ってんだよ」
同僚のエリィ・ライメルは若干引き気味に尋ねる。

「裏技なんてないよ〜僕はただ人間を幸せにしてるだけさ！簡単な仕事だよ〜」

「それができねぇからみんな苦労してんだっつーの…」
　メイは幸福指数上昇部の中でもずば抜けて優秀だった。人間の「幸せ」などという漠然としたものは天使ですら容易に理解できるものではない。

「さて、僕はそろそろ行くよ〜今日も不幸な人間が待ってるからね」

「お前ほんと仕事熱心だよな…」

「まぁね！僕好きなんだ〜この仕事」
「じゃあね〜エリー」
　そう言って颯爽とメイは下界に降りて行った。

「はぁ…あいつどんな事してんだか…」
　そう呟きエリィもしぶしぶ下界へと向かう。

　今日も天使達は人々に幸せを与える。