公爵家令嬢は求婚される
皇子との出会いから
約十年もの時が経ち
皇子の婚約者として
公爵家の令嬢として
相応しい仕草を身につけた
今 私は慈善活動の一部として
村にやってきていた
「せいじょさまー あそぼー」
「聖女さま 野菜採れたで 持っててくれ」
「聖女様 いつもありがとうございます」
「だから 私は聖女ではないですって」
最初はだいぶ警戒されていたが
足を運ぶにつれ警戒は薄まっていった
今では大半の村人が気軽に声をかけてくれるようになった
「アリーチェ様ぁ!!!大変ですぅ!!」
「マリー!?どうしたの!!っていうかそこ滑りやすくなってるから…」
「ぶふぅ!!」
ずっこけた 凄く綺麗にずっこけた
あちゃー間に合わなかったかあ
「ううう なんでぇ …あっこんなことしてる場合じゃない
アリーチェ様っ 殿下が王宮に来るようにと!!」
なにかあったのかしら
「分かった 今すぐ向かうわ」
ガチャ
部屋に入ると既に殿下と殿下の護衛のフスティスがいた
「すまないね アリーチェ 突然呼び出してしまって」
「いえ とんでもないです 待たせてしまい申し訳ございません」
この国の皇子であるジャル様
美しい金髪の持ち主
そしてその金髪に負けない整った顔立ち
皇子の立場でありながら剣 魔法の腕を磨き
民に絶大の人気を誇っている
「いやそれは全然構わない …本題に入ろうか
我が国と帝国アリストロで戦争があったのは知っているね」
「はい」
我が国フリーデンは有数の大国である
しかし我が国に並ぶ大国として最近名を馳せているのが
暴君グリード率いる帝国アリストロである
帝国はここまで好戦的ではなかった
しかしグリードが謀反を起こし父親を殺して国王になってからは
メキメキと実力と土地を拡大させていった
「では帝国の将軍…無欲の英雄を知っているかい?」
「はい…帝国の数々の戦争の勝利に貢献し
しかし報酬を何も求めない ついた異名が…無欲の英雄」
「その無欲の英雄 ヘルト率いる帝国軍に…先日王国は降伏した」
「ッ!? 民は 民はどうなるんですか!!帝国側の要求は!?」
「ふふ それは大丈夫だよ」
良かった…敗戦国では民が奴隷にされることも少なくはない
「…しかし 当たり前だけど帝国側から要求はあった
一つ目は賠償金 大金ではあったが…まあ これは予想どうりだった」
戦争には賠償金はつきものだ それは仕方ない
「帝国側が出したもうひとつの要求 それは…君だ」
「え?」
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更新遅いかもしれませんが(´・ω・`;)