カルマ値
気がつくと俺は自分の部屋にいた。
ただし、俺はベットの上で事切れている自分を天井に
ふわふわ浮かんで見ていた。
「やっぱりあれは夢じゃなかった?」
この状態が現実なら、俺は明らかに死んだという事になる。さっき体験した審判も本当のことだったということだ。
真相を確かめるため、俺は外に行く事にする。
どうやら、この体は意識する方向に自在に動けるようだ。
「幽霊だったら壁を抜けられるよな…南無三!」
思いっきり壁に向かって動き出す。差し迫った壁に目を
瞑るが、ぶつかる事はなかった。目を開けると家の外に
出ていた。
という事は…。俺は邪な考えを抱き、暗くなりかけた空
へ飛び立っていった。
〆 〆 〆
「どういう事だ…?」
俺は邪な欲望を満たし、ホクホク顔で家に戻った後、
ある事に気がついた。幽霊の状態になっていた時に
視界の隅に映っていた「カルマ値」が-1000になっていた
のだ。
(驚いたか?)
「!?」
頭の中に急に声が響く。
(私は監察者アルダフォン。オマエの監視役だ。
さっきのオマエの悪行、全て見せて貰っていたぞ?
まさか覗きをするとはな)
「バ、バレてたのか」
(そりゃバれるさ。最初からこの調子じゃ先が思いやら
れるな。)
「………ッ!」
何も言い返せない。俺は押し黙ることしかできなかった。
(せいぜい色々足掻け。この与えられた状況を考え、お前なりの答えを見つけてみろ。そうすれば次の生を受ける事ができる。)
そうアルダフォンは言い残すと、それ以降俺に話かけて
くることをやめた。
俺は全部見られていたという事実に数分間動く事ができ
無かったが、なんとか気を持ち直し動き出した。