朝焼けの
朝焼けの赤が見えるその前に
夜の冷たさが消えるその前に
しんと澄んだ透明を吸って
吐いたその息の存外暖かく
あぁ、この日のコントラストを
私は覚えているだろうか
舟を漕いでたゆたいながら
フレンチトーストの余韻がすうっと浮かび
溶けたチーズが染み込んでいく空
段々と眩しくなっていくにつれ
やはり、この日のグラデーションを
私は忘れるのだろうと思う
けれど
毎日何かを捨てながら
わずかに掴んだ色ガラスや
目を細めた逆光に揺蕩う煙が
あの日の陽光を僅かに留めていれば
きっと十分に違いない
コップ1滴残った水が
夕焼けを写すその日まで
ご覧頂きありがとうございました。