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簡易鑑定結果を取り違えた

* 2019/09/09

 誤記を修正しました。

 今日は飲み会の日だ。

 私は休日だったので日中はゆっくり体を休めた。

 田中先輩と集荷場で落ち合ったのだが、まだ業務中の冒険者組合に出かけることになった。

 私は、


「少し早い時間ですが、まだ業務中なのでご迷惑なのでは?」


と聞いたのだが、田中先輩は、


「日中、お前がだらけている間に、今日の軍資金を得るために山で一狩りしてきたんだ。

 獲物を売ったらちょうど定時になるはずだ。」


と答えた。なるほど、冒険者組合では獲物を買い取ってくれるのでそれで帳尻が合うのかと思った。

 私は田中先輩に、


「山で何を狩ってきたのでしょうか?」


と聞いた所、田中先輩は、


「冒険者組合でのお楽しみだ。」


と言って、笑いをかみ殺すような顔をするばかりだった。



 冒険者組合に着くと、田中先輩は受付に行った。

 今日は山瀬さんが窓口をやっているようだ。

 田中先輩は山瀬さんの所に行き、持ってきた箱を机の上に置きながら、


「今日はこいつを狩ってきたんだが、買い取っちゃくれないか?」


と言った。山瀬さんは、


「これは田中様。

 鑑定するので箱から出していただいても良いですか?」


と返した。田中先輩は持ってきた箱の中から、何やら弾力性のある赤茶色の袋(?)の両端を紐で縛ったものを取り出していた。

 すると山瀬さんは目を見開いて、


「これは珍しい。

 火狐(ひぎつね)の油肝じゃないですか。

 奥で鑑定をしますので、来ていただけないでしょうか。」


と言って、田中先輩と私を奥の部屋に連れて行った。肝は内臓一般のことで、本当の部位名は別のあるのだろうが、通称「火狐の油肝」ということなのだろう。


「まずは目方(めかた)を出します。」


山瀬さんは火狐の油肝を上皿自動秤(うわざらじどうばかり)に乗ると、


「2.4貫。

 やはり大きいですね。

 これなら銀96(もんめ)で買いとりますよ。」


と言った。

 私は知らなかったのだが、火狐の油肝の中にある油は、ランプに使うと少量でも明るくて長く燃えるので高級油として取引されているそうだ。また、皮の方は、内側の皮が高温になっても、外側は40度くらいまでしか上がらないので、革に加工した後で火を吐く魔物向けの盾や防具に使われる事が多いとのこと。あと、アルコールに強く弾力性もあることから、酒作りにも使われるそうで、中に母酒と蒸した米、水、(こうじ)を入れて両端を紐で縛った後、よく振り、後はじっくり低温で寝かせて作るらしいのだが、火狐の油肝がなかなか手に入らないので驚くほど高価だと言っていた。

 田中先輩は、


「金も入ったし、せっかくだから今日飲んでみるか?

 一杯ぐらいなら(おご)ってやるぞ?」


と話したあと、口をもぐつかせていた。田中先輩は、酒の味を思い出しているのかもしれない。ちょうど田中先輩の話が終わる頃、部屋に野辺山さんが入ってきて、


「油肝の酒か。

 あれは滅多に飲めんがうまいよな。」


と言った。私は、


「冒険者組合のお偉いさんも滅多に飲めないのに、私がおこがましいですよね。」


と恐縮して言ったところ、田中先輩は、


「たしかに酒は飲まれるべき人物を選ぶ。

 だがな、身分ではなく金で選ぶ。

 俺が飲ませてやると言っているんだ。

 お前も酒に選ばれたということだろう。」


と言った。すると野辺山さんの後から部屋に入ってきた横山さんが、


「要するに、金さえ出せば誰でも飲めるんだから、飲むのに肩書きなんていらないと言いたいのね。」


と言った。田中先輩は少し()()()を作って、


「その通りだ。

 山上は堂々と飲めばいいのさ。」


と言った。さっきまでの声とトーンが違うので、私は若干口元もひくつかせながら、


「解りました。

 でも、滅多に飲めないことには違いないのでじっくり味わわせていただきます。」


と返した。私は内心、話を聞く限り結構貴重な酒なのに、今日行く店に置いているのだろうかと思ったが、口には出さなかった。

 山瀬さんが、


「お金の準備が出来ましたので、ご確認下さい。」


と言って、銀96匁を持ってきた。田中先輩は10匁づつに分けた9個の塊と残りの銀6匁の塊に分け、


「確かに銀96匁、受けとった。」


と言って、受領書にサインと判を押した。


 これで冒険者組合での用事も終わり、出席するメンバーも全員揃ったのだが、冒険者組合の定時まで少し間があった。そこで、時間つぶしなのだと思うのだが、横山さんが、


「これから田中さんを鑑定しますね。

 とりあえず返事は『はい』でお願いします。」


と言ってニコニコしていた。田中先輩は横山さんの手を取ろうとしてやんわり避けられながら、


「わかりました。

 ちょうど来週、会社のスキルシートにレベルやら何やらを書いて提出しないといけないので、山上と一緒に簡易鑑定をお願いします。

 一人銀1匁でしたっけ?」


と、私の鑑定も含めて横山さんに依頼した。

 今回は正式な鑑定依頼になるので、鑑定書を出してくれた。

 横山さんは私に、


「まずは山上くんの分ね。」


と言いながら簡易鑑定書を渡してくれた。


────────────────────────────────────────


 名前     :田中 厳吉

 年齢     :四十四歳

 性別     :厳吉

 職業     :ポーター(歩荷)

 物理攻撃レベル:二十四(第一武器:杖) 三十二(第二武器:小刀)

 持久力    :八十七

 物理耐性レベル:九十四

 魔法レベル  :百十九

 魔法属性レベル:闇→六十八、火→三十二、風→十二、淫→七

 魔法耐性レベル:九十八

 保有魔法属性 :闇、火、風、淫、水、錬金、幻、重さ、土、光、植物、神聖

 スキル    :早食い、大食い、水面走行、幻影破り、植物鑑定、鉱物鑑定

         安全地帯感知、安全地帯形成、水源感知、音響探査、振動探査

         ステータス隠蔽、気配隠蔽、魔法隠蔽、

         アルコール耐性、毒耐性、石化耐性、

         <秘技>3秒落とし


────────────────────────────────────────


思わずしっかり見てしまった。いろいろと突っ込みたい所があるが、途中で見てはいけないものを見てしまったことに気がつき、ヤバいと思って紙を伏せた。続けて、


「次に、田中さんね。」


そう言って鑑定書を横山さんが田中さんに渡そうとした所で、私は、


「すみません。

 こっちが田中先輩のです。」


と言って横山さんに鑑定書を返した。すると、横山さんは田中先輩に猛烈に謝りながら鑑定書を渡した。田中先輩は、またいい声を作って、


「こういうのは普通は罰金ですが、横山さんも悪気があった分けではないでしょうし、仕方ないですね。」


と話して、横山さんに笑いかけた。野辺山さんも、


「本人が問題にしないと言っているのだからいいんじゃないかな。」


と話して落着となった。私は


「それにしても、性別厳吉(ごんきち)ってなんですか。

 今日も横山さんは平常運転ですね。」


とうっかり言ってしまい、横山さんは、


「よく判りません。

 相性が悪いんですよ。

 きっとそうですよ。」


と眉の間にシワを寄せて苦笑いしながら返してきた。

 これから一緒に飲みにいくのだが、横山さんはそこでも何かやらかすにちがいないと思った。


この世界の一般的な冒険者は、狩る獲物によって武器や防具を変えます。


あと、1貫は3.75kgなので、2.4貫はだいたい9kgとなります。

通貨については「副組合長の野辺山さん」の後書きに説明を載せていますが、銀96匁はだいたい19万2千円くらいの価値になります。


次回、山上くんに突然系の出会いが訪れ嫁(仮)ができます。

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