朝、目を覚ますと
下のお話ですので、すみませんが、苦手な人は退避をお願いします。
私達は、交代の時間になったので、蒼竜様の天幕まで行って声をかけた。
「蒼竜様、そろそろ交代の時間です。」
しかし、天幕からは返事がない。
私は蒼竜様たちは寝ているのだろうと思い、天幕の入り口をめくって声をかけようとした。
すると更科さんが、
「和人、待って。
ひょっとしたら、寝ているかもしれないから。」
と止められた。私は不思議に思いながら、
「寝ているのなら、起こさないといけませんよね?」
と返した。しかし、更科さんは、
「いいから。
もう少し、大きめの声で呼んでみて。」
と言った。私は、
「それでは、雫様まで目を覚ましてしまいますよ?」
と返したのだが、更科さんは、
「大丈夫だから。」
と言った。私は、何が大丈夫なのか分からなかったが、
「蒼竜様、交代の時間です。」
と、少し大きな声で言った。しかし、中からは返事がない。
私は、やはり中に入って起こそうと思い、天幕に入ろうとしたのだが、更科さんが、
「待って!
まずは、魔法を使っていないか見てみて?
ひょっとしたら防音の魔法を使っているかもしれないから。」
と言った。私は言われるままに魔法で確認したところ、更科さんが言うとおり、私の知らない魔法が使われているようだった。
私は、
「確かに、薫の言うとおり、何か魔法を使っているようです。
これは、どうしましょうかね。」
と聞いた。すると更科さんが二〜三個小石を拾って、
「これを投げてみるね。」
と言ったかと思うと、天幕に向かって拾った石を放り投げた。
布に当たり、パラパラと音がなった。
天幕に明かりが灯り、魔法が解かれた。中から蒼竜様が、
「支度をするゆえ、少々待て。」
と言った。暫くしてから蒼竜様が出てくると、更科さんが、
「蒼竜様、見張りの交代の時間です。」
と告げた。蒼竜様は、
「ふむ。」
と返事をしたあと、
「ところで、小石を投げたのは、奥方の方か?」
と聞いてきた。私は怒られると思ったのだが、更科さんは普通に、
「はい。
和人が魔法を使っていると言っていましたので。」
と返した。すると蒼竜様は、
「なるほど、余計な気を使わせて、悪かったな。」
と片手で軽く拝みながら言った。蒼竜様の表情は焚き火からは少し離れているので判らなかったが、怒ってはいないようで安心した。
それから私は、蒼竜様と一緒に鍋のところまで行った。昼間、大きい方の鍋に穴を空けられてしまったので、仕方がなく、小さい鍋に水を出してもらう。
今日は、昨晩のように水が霧散することはなかった。
鍋に出してもらった水で米を研ぎ、飯盒に入れて水に浸しておく。
次に、また同じ鍋に水を出してもらうと、今度は昆布を入れておいた。
私は蒼竜様に、
「後は安塚さんがやってくれると思いますが、念の為、飯盒は火にかければ炊けることと、鍋に出汁を取ってあることを伝えてもらっても良いでしょうか。」
とお願いした。蒼竜様は、
「ふむ。
分かっておる。」
と返事をした後、私達を見て、
「お前らも、明日も早いゆえ、やる事はとっとと済ませて早く寝ろよ。」
と意味ありげに言った。更科さんは、
「はい。
今も、和人が分かっていなさそうなのが不安ですが・・・、なんとかします。」
と私をチラ見しながら話した。蒼竜様は、
「奥方殿、山上も疲れているであろうから、程々にしてやれよ?」
と、やや呆れた口調で言った。更科さんは、
「はい。
気をつけます。」
とだけ返して、私の腕にしなだれかかってきた。なんとなく、照れくさい。
が、この話の流れだと、これから私は疲れることをさせられるらしい。
私は、できることなら按摩的な事か神聖魔法で回復でもやってもらいたいと思った。
この後、更科さんと私は直ぐに同じ天幕に入った。
これで今日も一日が終わったと思うと、急激に眠気が襲ってきた。
私はかろうじて、自分の寝袋の中に入ったのだが、横になった瞬間、瞼に漬物石でも乗せたかのように重くなり、目を瞑ってしまった。眠気が一気に押し寄せ、目の前がぐらりと揺れた。
私は更科さんに、
「すみません、もう・・・、限界・・・寝ます・・・。」
となんとか言ったものの、そのまま頭がぐるぐる回ったかのようになって意識が遠のいていった。
朝、私の意識がぼんやりと戻ってくると、更科さんが、私の腰回りで神聖魔法を使っていた。
私はぼんやりと、昨日の疲れを取ってくれているのだろうと思ったが、なんとなく更科さんに、
「何をしているのですか?」
と聞いてみた。すると、更科さんは体をビクッとさせたのが下半身から伝わってきた。
更科さんは、
「和人、その・・・、早起きね。」
と恐る恐るといった感じで返事をした。私は、
「毎朝、日の出前に起きるのが習慣づいていますもので・・・。」
と返した。なぜか、下半身がスウスウすることに気がついた。昨日、寝袋に入ったはずなのに、いつの間にか外に出てしまったようだ。が、しかし、そのくらいでこの開放感は普通はありえない。
不思議だなと思って見ると、ふんどしが視界に入った。更科さんが、
「もう、結婚しているんだし、いいのよ?」
と言った。私は更科さんが何を言っているのかさっぱり分からなかったが、寒かったので、なぜか外れていたふんどしに手をかけた。すると更科さんが、
「えっと・・・、ひょっとして、私が何を意図しているか、分かっていなかったりする?」
と聞いてきた。なので、私は、
「その・・・。
正直良くわかりません。」
と答えた。まだ日が昇っていないので更科さんの表情は分からなかったが、一つため息をついた後、
「普通、こういうのは男の人が郭とかで覚えて、手近な女で試すものなのよ?
・・・って言っても、分かってないか。」
と言って、また一つため息をついた。
私はとりあえず、
「えっと、何がいけなかったのか分かっていなくて、本当にごめんなさい・・・。」
と謝った。が、なぜ私のふんどしが脱げていたのか気になったので、
「ところで、薫は私に何をしていたのですか?」
と改めて聞いた。すると更科さんが、
「えっと・・・。
あの、、、ね。」
と、何かモジモジしている。私が、
「えっと?」
と促すと、更科さんは観念したようで、
「えっとね。
神聖魔法って、成長期の人に使うと、体が成長するの。
でね。
蒼竜様に細胞が劣化しない神聖魔法を教わったでしょ?
そうするとね、その・・・。」
と言ったかと思うと、続きを早口で一気に、
「和人のを、好きな大きさまで成長させられるのよ。
もう、最後まで言わせないでよ、馬鹿!」
と言って、私の足をパンと叩いた後、両手で顔を隠してうずくまってしまった。私は、自分のが小さいと言われたのも同然なので動揺したが、更科さんを放って置くわけにも行かないので、頭を撫でながら、
「すみません。
最後まで言う前に、止めるべきでした。」
と謝った。そして、ふんどしを右手で握りしめ、天幕の隅に後ずさって、
「その・・・。
小さくてごめんなさい。」
と小さな声になってしまったが、謝った。なんだか、バツの悪さを感じる。
すると更科さんが、
「そんなつもりでは・・・。
その、小さいのは・・・。
まだ成長期だから、大丈夫よ。」
と言いながら、私にゆっくり迫ってきた。これだと、私のが小さいというのを肯定されてしまった形になる。これは、男としてはちょっと泣けてくる。
私は、
「もし大きくなれなくても、離婚しないでくださいね?」
と、少し震えながらお願いした。すると更科さんは、
「まだ、気にしなくても大丈夫よ。」
と言って、また一つため息をついた。そこははっきり肯定してくれないと、私としては辛い。
更科さんが、
「そろそろ、安塚さんが朝御飯を作り始めたか、見に行きましょう。」
と言って、身支度を始めた。私は、この話から逃げられると思いホッとしつつも、気まずさもまだ残っていた。私はいそいそと身支度を始めながら、
「はい、そうしましょう。」
と言ってふんどしを締めた後、冒険者用の履き慣れないズボンに足を通したのだった。
更科さん:(大きくなぁれ♪大きくなぁれ♪神聖魔法って便利よね♫大きくなぁれ♪大きくなぁれ♪いっぱい育ってば大満・・・)
山上くん:何をしているのですか?
更科さん:っ!!!
〜後日談
山上くん:そういえば、前に神聖魔法で成長させられるって言ってたよね。
更科さん:っ!!!(根に持ってる?)
山上くん:足とかにかけてもらったら、身長伸びたりしないかなぁ・・・。
更科さん:あはは・・・(一瞬、真ん中の足かと思ったわ)。(ヤバイわね、私。)はぁ。
山上くん:(ため息つかれちゃった・・・。呆れられたかなぁ。)
更科さん:やったことはないけど、多分、伸びるんじゃない?
後書きまで下のお話ですみません。(--;)
なお、この時点で山上くんはイタズラされているものの、まだ新品です。(何がとは言いませんが・・・。)




