失礼なやつじゃ
* 2022/11/19
白狐の会話の括弧が間違っていたので修正しました。
合わせて、言い回しを少しだけ修正しました。
ぼーっとしていると、目の前に徐々に狐の姿が浮かび上がるように現れる。
妖狐改め、白狐だ。
私はどうやら、夢の中にいるらしい。
その白狐が、
<<どうした、小童。
変な顔をしておるのぅ。>>
といい笑顔で話しかけて来た。
私は挨拶もせず、
「白狐なのだそうですね。」
と言うと、白狐は、
<<何を今更。
小童も、妾の姿を見ておるじゃろうが。>>
と呆れたように返してきた。
私は、
「確かに、姿は白く見えますが・・・。」
と眉を顰めると、白狐は、
<<少しは、敬う気になったか?>>
と悪戯っぽっく聞いてきた。
だが、何となく私には、この白狐を敬わなければならないという実感がない。
一先ず私は、
「黒竜帝は知っていたので?」
と話を逸らすと、白狐は、
<<当然じゃ。>>
と答えた。
なんとなく、裏切られた気持ちになる。
白狐が、
<<さっきも、言っておったじゃろう?
小童が勘違いするよう、巫女が仕向けたのじゃ。
ゆえに妾も、一概に小童の責任とする気はない。>>
と寛大気な事を言ってきた。私は、
「それは、有り難いですが。」
と返し、
「そもそも私は、ずっと妖狐と呼んでいました。
どうして、訂正しなかったので?」
と聞いてみた。すると白狐は、
<<黒竜帝が、小童に悪乗りして妖狐と呼んでおったじゃろう?
妾も、それに乗っかったまで。
小童が、どこで気付くか楽しみに待っておったのじゃ。>>
と答えた。そして、
<<今思えば、巫女は、こうなる事も見越しておった節がある。
文句は全て、巫女に言うが良いぞ。>>
と付け加える。
私は、
「念の為、確認しますが、単に白い妖狐という事はないですよね?」
と聞いてみた。すると、白狐は、
<<神使じゃぞ?
妖狐が、神と話せる訳がなかろうが。>>
と呆れた目つきで答えた。だが、白狐が神様と話をしている所を、私は見た事がない。
私は、
「神様と話せるという、証拠はありますので?」
と尋ねてみた。白狐は微妙な顔をして、
<<ここでは無理じゃが、手順を踏めば、一応、出来るぞ。>>
と返事をした。私は、
「そうなので?」
ともう一度聞くと、白狐は、
<<小童が、社に籠もればのぅ。>>
と条件を教えてくれた。社でないと、話が出来ないという事なのだろうか?
私は念押しで、
「本当に、籠れば話せるので?」
と聞くと、白狐は、
<<疑り深い小童じゃ。>>
と面倒臭そうに溜息を着いた。そして、
<<そうじゃ。
妾は、神に伝えねばならなぬ事があったのじゃった。
小童よ。
明日にも社に出向くと、清川にでも伝えよ。>>
と言い出した。私は、
「それは、私に神社に行けという事で?」
と聞くと、白狐は、
<<当然じゃ。>>
と返した。私は好奇心で、
「では、神様と話している所を見ることが出来るので?」
と確認した所、白狐は、
<<それは、どうかのぅ。
小童は、小童。
神使ではないからのぅ。>>
と否定的。私は、
「ならば、私はどうやって、神様と白狐が話をしたと確認出来るので?」
と質問してみた。すると、白狐は、
<<そうじゃのぅ・・・。
巫女にでも頼めば、教えてくれるのではないか?>>
と答えた。私は、
「分かりました。
後で、確認してみます。」
と返した。
白狐は小声で、
<<全くもって、失礼な奴じゃ。>>
と呟いていた。
一先ず、連絡事項は終わったが、これから起きるまでの間、やることがない。
仕方がないので私はまた、魔法を玉にして、お手玉の練習を始める事にした。
早速3個、重さ魔法の玉を作る。
だが、白狐から、
<<小童よ。
異なる魔法を出し、2個で練習するが良いぞ。
組み合わせによって、色々あるからのぅ。>>
と助言をもらった。私は、
「効果があるので?」
と確認すると、白狐は、
<<心掛け次第かのぅ。>>
と曖昧な返事。私は訝しく思い、
「心掛けで変わるので?」
と質問すると、白狐は、
<<変わるぞ。
ここは夢の中じゃ。
出来ると思う事こそ、肝要。
ここで自信をつければ、現実でも良い影響が出る。>>
と持論を展開する。私は眉唾物に感じたが、3個でやって進展がないよりもましかと思い直し、
「分かりました。
今日は、2個で修行する事にします。」
と返事をした。
前に重さ魔法と雷魔法をやったので、今回は重さ魔法と赤魔法で試してみる。
思った通り、あっさりと成功。
私が、
「出来ました。」
と報告すると、白狐は、
<<では、雷魔法と赤魔法では、どうかの?>>
と次の指示を出す。
私は、またすぐに出来るだろうと思いながら、
「分かりました。」
と軽く返事をした。
右手に雷魔法の玉、左手に赤魔法の玉を作る。
1周目まずは、雷魔法を飛ばし、左手の赤魔法を右手に渡す。
落ちてきた雷魔法を左手で受け、次に、赤魔法を飛ばす。
雷魔法を右手に渡したものの、赤魔法が綺麗に上がらなかったので、左手を伸ばして取りに行く。
そして、雷魔法を投げたところ、明らかに明々後日の方向に飛んでいった。
白狐が、
<<ほれ。
難しいじゃろうが。>>
と少しだけ笑う。私は、馬鹿にされたような気がして、
「もう一度やります。」
と宣言。この組み合わせで、何度も挑戦した。
漸く何回か回せるようになった頃、白狐が、
<<外から、呼ばれておるようじゃのぅ。>>
と上の方を見上げた。
私も釣られて見上げると、体が揺れているのに気が付く。
何事だろうと思って目を開けると、更科さんと目があった。
更科さんが、
「起きた?」
と声を掛けてくる。
更科さんの後ろには、行灯の明かりに照らされた、見知らぬ天井がある。
私が、
「・・・ここは?」
と聞くと、更科さんは、
「お店の端で寝たの、覚えていない?」
と教えてくれた。寝る前の事を思い出す。
そういえば、前回は道端で意識が戻ったのだったななどと思いながら、私は、
「すみません。
そうでした。」
と言って、一つ、大きな欠伸をしたのだった。
本日は、江戸ネタはお休みです。
普段使いしていたRaspberry Piの起動ディスク(SDカード)が、不調というか認識しなくなってしまいました。(T_T)
暫定で他のを使って文章を作っているものの、(辞書登録していた人名等がなくなったので)漢字変換が誤変換しまくっています・・・。




