5歳男子の行く末がちょみっと不安
5歳男子の母、葉室ゆうかです。『ハム』と名乗っていますが、ボン○スではありません。(体型は近いですが)
前作をお読み戴いた方には今回は軽いので安心してお読み戴けると確信しております。
また、お初の方にもすんなり入って戴けるよう親切設計をしております。ご安心下さいませ。
この話には、①5歳男子、黒曜(仮名)②逆子・筋腫・妊娠糖尿病を抱えて高齢出産を果たした母、葉室ゆうか(作者)③『普通の人そう』と思って結婚したら、とんでもない曲者だった旦那(以下パパ)の③人が主だった登場人物です。
「パンツ一丁ゲェええムっ‼︎」
──────それは突如、始まった黒曜主催の謎ゲーム。
パパが大きな声で何か変な事を言い出した…。
「パンツ一丁は誰だッ(パパ)」
「──────俺だ!(黒曜)」
「お前かっ⁉︎」
…………突っ込んだ処で二人が振り返る。
「「どう?」」(バカ親子)
「…何が?」(ハム)
「黒曜がママが楽しく参加出来る遊びを考えたんだよ〜〜」(パパ)
「…それが、か?」(ハム)
『俺だ!』───── 一位。
『……(突っ込まない)』二位。
『お前かっ⁉︎』─────三位。
どうしよう。この男達、渾身の力で殴りてぇ。
「…ふぅ、ママはワガママだなぁ。じゃ、黒ォ何か別のヤツやったげて」
「んじゃ、【お尻早出しゲェーム】っ!」
生暖かい眼差しで見つめる私。
出してるよ、お尻。
どうしよう…コメントが何にも浮かばない。
キラキラした目で此方を見つめてくる親子。
「…いや、出さんし」
寧ろ何故それを敢えて今選んだ。
「「ママは「ワガママじゃねえ」」」
今日も母は元気に突っ込む。
ある日も──────
「ママ、『さいげつ』って知ってる?」
さ、歳月、ですか…?
「黒は、知ってんの?」
したり顔の息子が頷いて、
「さいげつ。────それは普通の日がお休みになると言う「それは『祭日』」」
母のツッコミは秒速だ。
「そうとも言う」
いや、寧ろそうとしか言わん。
5歳男子、何を突然言い出す…?
「ママ、お酒をお爺ちゃんがお酒を飲むのは駄目だよね…」
朝、8時半です。
「…?(お酒?)ん?ジィジは大人だからさ〜。いいんじゃない?飲んでも」(ウチの爺ちゃんは飲む人)
神妙な顔の息子が、
「──────○○君(同じきく組)のお爺ちゃんは飲み過ぎて死んじゃったんだって」
重い。
朝の8時半だぞ、息子よ。
お前ら保育園でナニ話してんだよ…。
「…まあ、飲み過ぎたらダメかな…程々に飲むのはいいらしいよ」
「そうだね(何故か悟った風)」
トイレに入っている母にドア前で不穏な動きをする息子。
『うふふふ』と笑いながら、かちかちカチカチとスイッチをオンオフしている。
但し、【換気扇】の。
ああ…やっぱアイツ、ちょっぴり残念なパパの血を見事に引いていやがる。
アレだ、電気のスイッチと間違えたんだな単に。
そう、思っていたのに…
「ママ、いい匂いがしたりしなかったりするでしょう!」←得意そう
え?まさかの確信犯?
そして、やっぱりバカ?
そこは臭かったり臭くなかったりじゃねぇの?
そして息子は母が何故か己の仕打ちに堪えないと眉を顰め、遠慮がちに一回、電気のスイッチをカチ、とやり雷を落とされてシオシオと自分がトイレに行かされて、母の電気カチカチの報復に合うのだ。
5歳男子はまだまだ子供。
『すーぐハタチになって独り立ちしちゃうんだよ』とか、『反抗期が来たら返事もしないからイライラしちゃう』とか言われて、この先に戦々恐々としながらも、母はついつい安心してしまう。
子供はいつか大人になるもの。
分かってはいるけど、あの子がいくつになっても『私の子供』な事には変わりはないのだ。
たとえ、車のパンクをスタンドで修理している間に洗車待ちの美女をナンパして数分で名前まで聞き出す妙義に顔が楳図かず○の漫画みたく固まっても。
『ねこね○日本史』のオープニングテーマで、テレビの前を陣取って創作ダンスを踊っている馬鹿な子供は間違えようもなく私の息子なのだ。
変な二親を持ったせいなのか、はたまた本人の資質なのか、顔を見つめるだけで『ちゅーしたい人〜〜?』と聞いて自分が手を上げてしまう可愛らしい愛すべき人。
貴方がいつか大人になって、ママをババァと呼ぶ日が来ても。
友達の弟みたいに戯れて鼻フックを笑顔で掛ける青年に育っても。
保育園で送迎の愛車に水筒を忘れて、呼び止めるも他の園児の声に紛れて気付かない私に、
「ママ!ママ!─────俺のママ‼︎」
と、必死に叫んで呼ぶ声を母は一生忘れる事は無いでしょう。
ちょっとこの先が心配だけど、貴方よりヘンな貴方のパパが『男の子はみんなあんなモンだから』って言うから。
きっと変なまま大きくなっても、いつかママみたいなオタクなモノ好きが貴方に寄り添ってくれるでしょう。
パパとママの子なんだから、きっとどんな貴方でも全然気にしないヨメが来てくれると信じています(希望)。
5歳男子は野望に満ちている。
5歳男子は魔法の杖を持っている。
どうか、それを失わないでほしい。
母が、父が、いつか『お写真』になる日が来ても。
草葉の陰に噛り付いても、お迎えを蹴り飛ばして貴方の行く末を見守り隊。
そうして、母は老化と日々戦いながら、『残念』な方向に導こうとするパパと今日も一戦交えるのです。
そんな息子はドライブ中の昼食だっちゅーに籠にお菓子を入れている。
「ゴハン買うって言ったでしょ?」
「あのね、ママ。これは隠し味です」
それは決して昼食の隠し味ではない。
「──────目を瞑って、手で隠しながら食うお菓子を『隠し味』とは呼ばん!」
後ろでニヤリとパパが笑う。(仕込んだのはお前か)
ローソ○の店員さんの肩が震えている。
るーるるるるっるー今日もいい天気ィ〜〜。
…『残念だ』なんて思っていません…。