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いっとう(1・10)
「かけっこ」
かけっこはやいぞ
いっとうしょう
めざしてはしるよ
いっとうしょう
パーンととびだす
ぼくだけど
とちゅうでころんで
ざんねんしょう
ないたりしないよ
いたくない
それでもあそこで
ころばなければ
そういうもしもを
かんがえてもみる
「かえりみち」
夕暮れ空に背を向けて
たどる家路の寂しさは
今日もまた
一日が終わってしまうことへの
ささやかな抵抗
地面には
細く細く伸びた影
彼もまた
寂しさに独り揺れていた
お家恋しい
お家が恋しい
影が帰ろと急かしてる
ならば帰ろう
お家へ帰ろう
”でん、でん、でんぐりがえしで”
”ばい、ばい、ばい”
夕日も笑って手を振っていた