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農家さんがデスゲームを解放した件について  作者: 夏南
狩人さんによる話
5/22

農家さん、料理する

 っと、話がそれたわね。

農家さんの着替えと家への招待だけで1時間ちかくかかったわね。

飲み物のお替りを頼んでいい?

え、経費で落ちるの?なら、ケーキも頼んでいいかしら!

ここのモンブラン、お気に入りなのよ!!

すみませーん!注文お願いしまーす!


 …そういえば、あの世界でも栗拾いしたなぁ~。

って話がまたそれるところだったわ!

あ、モンブランセット一つ。飲み物はミルクティーで!

記者さんはどうする?…すみません、アイスコーヒーも追加で。


 さて、話を進めるわ。

農家さんのプレイヤーハウスで、ちゃぶ台の前に座って、竹でできたコップで水を飲みながら、倉庫が出来た経緯を聞いていたわ。

最初出会ったときは、正直、このデスゲームを解放する戦力にはならないだろうなって思ってた。

けれども、倉庫に入れられていた種類の増えた農具や工具、私の家よりも多い家具を見て、この人の方が稼いでるかもしれないって考えを改めたわ。


「結構、納品クエストって稼ぎがいいんですね」


「いや、収入はそんなによくない。ただ、食べ物や飲み物は自分で手に入れられるから、生活費を安く抑えられているだけだ」


 あれは不思議だったんだけど、ゲーム内なのに、なぜか食欲や睡魔があったのよ。

私たちの体は病院で横たわっているし、栄養は点滴で補っているのに不思議よね。

村には一軒、レストランがあって、そこで簡単な食事を食べられるわ。

プレイヤーハウスにもキッチンはあるけど、『料理』スキルを取得するほど枠に余裕はなかったしね。


 そうそう、スキルの説明を忘れてたわね。

スキルっていうのは、特定の行為を行う、もしくは補助するのに、必要なものよ。

私の場合、『索敵』のスキルをもつことで、動物やモンスターの居場所を探したり、『弓』のスキルを持つことで、弓矢の軌道を自分の視界に表示させていたわ。


 最初に与えられるスキル枠は3つ。

一定のレベルを超えると、その数は増えて、行動しやすくなっていくわ。

その設定レベルが、気が遠くなるほど高いのなんのって。

モンスターを倒していれば、ストレスなく上がるのかしらね?


 これまでの話から、農家さんは『農業』――畑を耕したり、管理したりするのを補助するスキル――、『加工』――トンカチといった工具を使うのに必要なスキル――、『伐採』――斧や鉈で木を切るのに必要なスキル――、を持っているのだと思っていたわ。

でも、食べ物を自分で手に入れて、食べるには、『料理』、キッチンを使うのに必要なスキルがないと無理だもの。

もうすでに、私よりもレベルが高いんじゃ…。

そう思ったけど、そういうのを聞くのはマナー違反だから、当たり障りのないことを言ったの。


「農家さんの手料理、食べてみたいです」


「手料理と言っても、野菜を皿にのっけただけだけどな」


 ヤサイヲサラニノッケタダケダケドナ。

一瞬、理解できなかったわ。

もう一度言うけど、農家さんに再会したのは、ゲーム開始から数か月後。

農家さんは、数か月もの間、野菜、しかも生の状態ででしか胃を満たしていない。


 確かに、ゲームだからそれで胃は満足かもしれない。

でも、このゲームの味覚エンジンは優秀で、ちゃんと食べた品物の味がする。

トマトからお肉の味がするわけないのよ。

まぁ、栄養に関しても、偏ったとしていても、それでアバターの動きに支障をきたすわけでもないし…


「ただ、栄養のことを考えて、大豆を増やしたんだ」


「問題はそっちじゃない!そっちじゃないわよ、農家さん!!!」


 確かに、大豆は畑のお肉だと言われている。けど!!

大豆なんて、出来ても生のままだと味は美味しくないじゃない!!!

私は慌てて、農家さんに『料理』スキルを教えてあげると、農家さんはすぐに取得して、使えなくてお蔵入りしていた(実際に倉庫に放置されていた)まな板と包丁を使って、大根を切って目を丸くしていたわ。


「切れた…。何度試しても、切れなかったのに…」


「『料理スキルを取得してください』ってメッセージが出てたと思うんですけど…」


「あぁ、あれはそういう意味だったのか…」


 それ以外にどういう意味が?

そんなことを思いながら、水をすすっていると、農家さんはお茶請け代わりにと言って、切った大根とトマトを出してきたわ。

そこで、遅かれながらに私は気づいたの。




 農家さんの食糧事情、全く変わってない!!!!



農家さんのやることが、作者である私にも意味不明すぎて思ったより先に進めません。

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