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幼女天使と異世界新婚旅行  作者: サワガニ
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ダンジョン①

三人(二人と一匹)で昼食を摂る。俺達二人は薫製肉を食べる。なかなかいける。よい出来映えである。

シリウスは焼いたロックバードをモグモグと噛み締めている。

おいしいのだが俺達二人がなんとなく考えていることは同じであろう。

「肉飽きた(ました)!!」

(贅沢を言うもんじゃないぞ)

いや君はいいよね。肉食だもんね。それ以前に獣だもんね?

(そ、そんなに怒らんでも)


てなわけで肉でない食料を探すことにした。色々案が出た末、役割分担することになった。

ユニは野草、木の実類を集める。

シリウスと俺は近くの川で魚を狩ることになった。

最初は釣りをしようかと思ったが、切れないような糸や竿が作れる気がしなかったし、面倒なのでズボンを膝上までたくしあげて捕まえることにした。…が、ヌルヌルしていて掴みづらく、意外に捕まえることが出来ない。そうだ。スキルを使おう。どれにするかな…《火炎放射》…はダメだ。論外すぎる。個別に攻撃するのも面倒だからなぁ…いい考えを思い付いたぞ。効くかどうかは分からないが水面に《静電気》を放ってみる。すると魚がぷかぷかと浮かんで来た。アユ、ウグイ、イワナのような小魚が大半である。

(おい、今のはどうやったんだ?)

魚をくわえたシリウスが尋ねてきた。企業秘密と言ったら飛び掛かられたので白状する。

「水面に静電気を流したんだよ」

(静電気とはなんぞや)

「静電気ってのは…何て言えばいいのかなビリビリする弱い電気のことだよ。」

(して、それがなんで魚を気絶させられるんだ?)

「俺も原理はよくわからないけどね。魚がショックを受けるんだよ」

(ほー便利だな)

「あんま興味なさそうだな」

ま、いいけど。



二人で魚をまとめて運び終えたときには夜になっていたので、枝に刺して焚き火で焼いている。これやってみたかったんだよな。シリウスにも食わせてみたが意外とおいしかったらしく、おかわりを要求してきた。うちのペットが段々グルメになってきたな。


野草の方は果実系統の物が多かったので食後に食べてみた。まあまあおいしいものからちょっとキツいものまであった。


結局炭水化物が足らないということだろう。人里が恋しいものである。


食後シリウスを寝かせ、12時くらいになるまで俺が見張り番をする。というのも、寝ようとしたら慌てた様子の彼が

(吾、いつ寝ればいいの?)

と言って来たので気が付いたが、昼は移動手段、夜は見張り番をやらせたら寝る時間がなくなってしまう。

「いや、気付かなかった俺が悪かった。今日は見張り番は交代にしよう。寝てていいよ。」

(感謝する。)

そうしてユニの寝顔を見ながら夜は更けていき、見張り番を交代して朝起きた。見張り番は疲れたがなかなか役得だった。荷造りして、出発した。異世界生活3日目になる。シリウスに乗り移動しながらユニに聞いてみる。

「そういえば俺は昨日魚集めついでに川で体綺麗に出来たけど風呂とか入らなくていいのか?」

別にやましい気持ちがあったわけではない。断じてないのである。

「心配してくれてありがとうございます。でも天使は半霊体なのであんまり汚れないんです。勿論入って欲しいなら入りますけどね」

笑いながら返された。思わず焦ってしまうのは男の悲しい部分だろうか。

(あの、背中であんまりイチャつかないで欲しい)

シリウスの念話は二人には伝わっていなかったのであった。


山を幾つか越えて暫く進んだ後、山の麓に洞窟を見つけた。

「このあからさまに入れというようなアピールしてくる洞窟はなんだ?もしかしてダンジョンとかそういう類いのアレ?」

「その通りです。では早速行きましょう」

「ちょっと待った」

「なんですか?」

「うちにはたくさん食べるペットがいる」「そうですね」

「もしダンジョンの中で食料が尽きたら…」

俺とユニが虚ろな目で涎を垂らしながらシリウスをじっと見つめ、シリウスが震えている。そして…

「何てことになるかもしれないじゃん?」

(冗談でもそういうこと言わない。てかそれペットというより家畜だよね?しかも狼って食べられるような動物じゃないよね?)

「まあそうならないように最後に食料を集めようかと思うんだが…どう?」

「あ、その心配は大丈夫です。ダンジョン内にも食べられるような魔物が居ることが大半ですし。」

「ですし?」

「万が一の時は…」

といいながらユニはちらっとシリウスを見る。シリウスの尻尾が股の間にしまわれている。あれ犬が怖いときにする行動だよな。

「それじゃ少し進んでから食料が足らなくなったら戻ることにしようか」

シリウスが目を潤ませながらこっちを見てきた。忠誠心が強くなったような気がする。まあ、とりあえずダンジョンに入ってみよう。



中は地球で言う所の鍾乳洞のような感じだろうか。少し進んでみるとスライムが出てきた。RPGの最初の洞窟みたいなノリだね。斧で試しに《斬撃》してみる。液体っぽいから吸収されるというオチが頭に過ったが、大丈夫だった。よかった。


スライム数体をそうやって倒しながら歩いていると顔が豚の魔物が出てきた。

「オーク?」

「オークですね。食べられます。」

オークに《斬撃》を撃つと錆び付いた得物で受け止めてきたので左手で《火炎放射》を浴びせる。あっさり倒せた。焼き豚のような匂いがしている。それを嗅ぎ付けたかゴブリンやスライム、オーク、が群がってきた。慌てず、三人背中合わせ(シリウスは出来ないが)にする。そして

「《火炎斬り》!」

「《パルスレーザー》!」

(《紺碧氷撃》!)

シリウスの攻撃初めてみたぞ。キラキラ輝氷の弾丸が大量に打ち出されている。俺がこのパーティーで火力ないということに気付いてしまったが仕方ない。スキルを地道に増やしていこう。


また進んでみると扉があった。開けて入ったが目に見えた違いはない。あったわ。色違いのゴブリンや色違いのオークが出てきた。

「あれはゴブリンメイジ、魔法が使えるゴブリンですね。あとあっちはオークの上位種のオークナイトです。」

ゴブリンメイジが杖で魔力を練っているような感じがする。と余所見していたらオークナイトが斬りかかってきたので左にジャンプして避ける。

「《ふり下ろし》を習得しました」

よし、また新しいスキルだ。油断していたらまた続けて攻撃してきたので少しイラっとする。

「しつこいんだよ」

《火炎斬り》で攻撃する。盾でガードされたが、火炎で溶けて意味がなかったようだった。オークナイトは盾があるから面倒なんだな。攻略法がわかってよかったぜ。

そしてそのままゴブリンメイジの方を見ると岩を空中に作成して、今まさに投げつけて来たところだった!

「《岩落とし》を習得しました」

避けられない!

(全く。世話が焼ける)

シリウスが突撃してきて岩を砕いた。いやー助かった。

「ありがとうシリウス!」

(次からは気を付けろよ)

ゴブリンメイジは邪魔をするなといったような感じでシリウスを睨んでいる。

「あ!私が助けようとしたのに!」と騒いでいるユニを視界の端で捉えながらゴブリンメイジに《斬撃》を撃つ。なるべくMPは温存したいからな。

ゴブリンメイジは杖で受け止めるも俺が優勢なようだった。焦った奴はグギャグギャと喚きながら何かを唱えた。

「《攻撃up》《魔力up》を習得しました」

バフを掛けたようである。押されたのでこちらもバフを掛けて押し返すとびっくりしたような顔でゴブリンメイジが倒れた。首を斧で切り落として戦闘は一先ず終わったが結構疲れた。

「いきなり魔物が強くなってないか?」

「おそらく前半と後半に分かれているダンジョンなのでしょう。」

三段階や四段階、それ以上に分かれたダンジョンもあるらしい。世界は広いね。


ここまでのスキルでスキルを作れないか試しながら歩く。幾つか試してみて、ようやく作れた。《静電気》《魔力up》《降りおろし》で《落雷》が出来た。とても強そうなので次の戦闘で使ってみるか。


出てきたオークナイトにいきなり《落雷》をぶっ放してみると視界が反転し、失神してしまった。


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