初の戦闘
幼女に呼び出された俺は結婚を前提のお付き合いをさせt…魔王を倒す旅に出ることになった。
ユニの魔法?で異世界にやってきた。季節は夏だろうか?人の気配はしない。辺り一面見渡す限り山である。そして体は地中にある…なんで?
ユニを見ると舌を出している。可愛いけど早く助けろ。
「旦那様にはここで修行してもらいます。まずは脱出してみて下さい」
「え」
どうしたものか。とりあえずスキルを使う以外に選択肢はない。周りに生き物はいないかな…
いた。小さな蜥蜴が木の上にいる。
「パララリザですね。比較的弱い魔物です」
気付かれたか?こちらが動かないことをいいことに飛び掛かってきた。不思議とスキルの発動の仕方は自然と分かっていた。
「《跳躍》を習得しました」
よし!まず1つだ。
「お見事です!」
蜥蜴の《跳躍》に威力はなかった。…こいつ毒とかないよね?
「フラグですね」
え?あるの?見ると蜥蜴はこちらに牙を向け噛み付こうとしている。…毒ありそう。
《跳躍》で穴から抜けようとしたが抜けない。そりゃそうか。
蜥蜴は素早く動き、俺の手首に牙を突き立てた。痛い。
「《噛み付き》《麻痺毒》を習得しました」
これで3つ…なんだが噛まれた手首が痺れて動かない。
「麻痺毒です!気を付けて下さい」
仕方ないので再び噛もうとする蜥蜴に対しもう片方の手で咄嗟に近くの枝で応戦する。枝に蜥蜴の牙が刺さる。
「《解毒》《治癒》を習得しました」
枝とて植物の一部だ。一応生きている。思わぬ所でスキルをゲットできた。早速手首に解毒を掛ける。そして《麻痺毒》と《跳躍》を《合成》して《パラライズ・ショット》にする。
蜥蜴に《パラライズ・ショット》を撃つが、効かない。そりゃそうか。耐性くらいあるよな。
ちょこまかと動き回る蜥蜴にイライラしてきたので枝で殴り付けるがなかなか当たらない。が、そのうち蜥蜴は逃げてしまった。
一安心かと思いきや蜥蜴を影が被った。なんかの鳥かな?
「あれはロックバードですね」
そいつは蜥蜴を丸のみにして空中に留まっている。
「《滞空》を習得しました」
必ずしも技を食らわなくてはいけないわけではないようだ。観測しているだけでも習得出来る模様。
ここで《合成》を使う。《跳躍》と《滞空》で《ジェットパック》を習得した。試してみると穴から抜け出せた。そのまま鳥を殴ると倒すことが出来た。
「《殴打》を習得しました」
どうやら普通に習得もできるらしい。便利な世界である。
「やりましたね!流石です」
視界が反転して意識が落ち、ユニの声が遠退いていく。
気がつくとユニの膝の上に頭がある。そして口に出す。
「羽がないのに代償なしで飛べるわけないよな」
「その通りです。種固有のスキルを使うと魔力が消費されるのです。魔力が少なくなりすぎると、さっきみたいに失神しますので気を付けて下さいね。ところでさっき倒した経験値が入りましたよ。」
ステータスウィンドウっぽいものを出そうとして声を出す前に開いた。やっぱりあるのね。
東条要
レベル3
HP36/36
MP22/32
攻撃力19
防御力18
魔力5
スキル 《合成》《解析》(固有)
《噛み付き》《ジェットパック》《麻痺毒》《治癒》《パラライズ・ショット》《跳躍》《解毒》《滞空》《殴打》
ユニ曰く、魔力は魔法の火力と魔法に対する抵抗力に関する数値で、地球にはないので低いらしい。残念。
膝枕をやめ、ユニは立ち上がって夕食を作り始めたので聞いてみる。
「なんか手伝えることある?」
「火を起こして下さい」
どうしよう。
方法①原始人的なあれをやる
方法②そこらへんの魔物からスキルを頂戴する。
①はやりたくないな…
仕方なく周りを散策する。もう大分暗くなっているので結構怖いがここは男を見せねば。
山を歩いているとゴブリンらしきやつらが襲い掛かってきた。錆び付いた剣を振り上げている。斬りつけてくるが右に避ける。
「《斬撃》を習得しました。」
《斬撃》は得物がないから撃てない。とりあえず《パラライズ・ショット》から《殴打》で倒す。経験値が入った。ステータスウィンドウを見るとレベルが1だけ上がっていた。ゴブリンならこんなもんか。思い直して再び歩く。
それにしても防御力が薄いよなぁ。魔法関連の弱さは仕方ないとしても防御力は死活問題である。《鉄壁》とかありそうだよね。ないんかな。脱線してしまった。今は火を起こすためのスキルを探さねば。
10分ほど山を歩いていると、小さなドラゴンがいた……名前が分からないのは不便である。さっきは戦闘中で忘れていたがユニから《鑑定》を頂戴しておくべきだった。ドラゴンに気付いた気配はなく、ロックバードに火を吹きかけていた。
「《火炎放射》を習得しました。」
よし、これで目的は達成したので離脱する。ドラゴンと戦わないのかって?馬鹿言っちゃいけない。あんなのと初見で戦おうとするのは物語の勇者だけだ。
拠点に戻るとユニが切り分けたロックバードの肉を鉄板に乗せていた。
「おかえりなさい旦那様。夕食は焼き鳥です。さぁ焼いてください!」
よし、焼くぞ。《火炎放射》を撃つ……手から出るんだねこれ……あっ
焦げた。
「旦那様拗ねないで!肉はまだありますから!」