『ちびくろサンボ』で!?
『ちびくろサンボ』
黒人差別を理由に日本では一斉絶版にされ、のちに復刊にこぎつけた絵本です。実際にはインドが舞台だったのだそうですが、海賊版が出回って黒人が主人公の話になったらしいと聞きました。
リアル知人のネット小説書きであった女性は、軽蔑をこめて吐き捨てたものです。
「ああ、“チビ”と“黒”が悪いんでしょ? 要するに言葉狩り?」
「え?」
そういう説は、この時初めて知りました。
「そんな単純なものじゃないらしいよ。この本が大嫌いだっていうアメリカの黒人が書いたものを読んだけど、“黒人は体力的には異常なほどに優れているけど、知性的ではない”っていうステレオタイプが許せないんだって。特に最後で百何十枚もホットケーキを食べるところが決定的にNGで、これを読んだ子供達が、“黒人ってやっぱり体力勝負なんだな”って印象を持つだろうと思ったらしくて、そこががまんできないって書いてあったよ」
けれど彼女は、こちらの話を全く聞いていないようでした。横を向いたままで繰り返すばかり。
「要するに、“チビ”と“黒”が悪いわけでしょ」
ちょっと極端な態度だなぁ……。
その表現のどこが、どういう理由で当事者達を傷つけたのか? をきちんと知っておくのって、大事なことだと思うんです。
「差別用語だから悪いんだ。書かなきゃいい」
で終わってしまったら、書き手としての幅は広がらないんじゃないかな。
「なんで広げなきゃいけないんだ」
そう思ってる人はそれでいいと思います。
私だって、
「世界中の全ての人達に配慮するべく立ち上がろう!」
なんて言われても無理。世の中には知らないことが多過ぎます。