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三人寄れば

本日二度目の更新です。

「で?お前はどうしたいんだよ?」

明の言葉に、司は小さく溜息を付いた。


「見合いなんて真っ平御免だ。結婚にも興味ない。従って現状維持を望む。」

「あーそれは無理だと思うよ、お兄ちゃん。」


咲の言葉に、司は「…だろうな。」と力なく答えた。


「だって三年前、私が結婚する時に、散々その話してたじゃない。お兄ちゃんが何とか宥めすかして、三十になるまでは…って話になっていたと思うけど?」

「俺は了承した覚えはない。母さんが勝手に言っただけだ。」


事実その通りである。話し合いの最中、「三十になるまでには結婚しなさいよ!」と怒鳴る母に対し、「お断りだ!」ときちんと自分は返答した。だが母は「言いましたからね!三十までですからね!」と喚き続け、いい加減面倒くさくなった司はそれ以降は無視を決め込んでいたのだった。


「お兄ちゃんがそう思っていても、お母さんはずっとそのつもりだったと思うよ?三十目前にしても一向にお兄ちゃんが変わらないから、仕方なくお見合いしてでも、って考えたんでしょ。お兄ちゃんの跡継ぎが欲しいって言うのもあるんだろうけど、それ以前にお兄ちゃんずっと仕事仕事で生活習慣滅茶苦茶だし、結婚したら少しはましになるだろうって、お父さんとお母さんなりにお兄ちゃんの事心配しているんだと思うよ?」

「そんな心配は有難迷惑だ。俺はちゃんと自己管理できている。跡継ぎとしてずっと親の期待に応えられるよう努力し続けてきたんだから、結婚するしないくらい俺の自由にさせて欲しいね。」

「…お母さんだけならともかく、お父さんまで出てきた以上は無理だって事くらい、お兄ちゃんも分かっているんでしょ?」

「…だから今回は真剣に悩んでいるんだろうが…。」


母が喚く程度ならいつもの事なので、かわす術は身に着けてある。だが父もとなると話は別だ。父から最後通告を受けた以上、このままあと三ヶ月、手をこまねいているだけだと本当に見合いをさせられる。


「思ったんだけどさ、何でお前、そんなに見合いを嫌がるんだ?」

明の問いに、司は本日何度目になるか分からない溜息を付いた。


「母さんが用意する見合い相手とやらが、俺の苦手な性格の女そのものである事が目に見えているからだよ。我が儘で感情的で話長くて優柔不断で金遣い荒くて見た目磨く事しか考えていない、何か問題が起こったらすぐヒス起こしてこっちに丸投げしてくる女…ってな。」

「…つまり、我が儘じゃなくて理知的で、話も要点抑えて簡潔に話せて、決断が早くて金銭感覚もしっかりしていて見た目より中身、何か問題が起こっても冷静で自分で解決できるだけの能力を備えている子…だったら、結婚してもいいって事か?」

明が指折り数えて問いかける。


流石は明、これだけの要因をよく覚えてスラスラと言えるな…と、司は妙な所で感心してしまった。


「…そうだな。そんな女が本当に居ればな。…ついでに言うと、どうせなら会社の役に立つ女性であれば尚望ましい。」

「贅沢な奴だな。向こうにも選ぶ権利があるんだぞ。…で、居なかったのか?今までお前の周りに。」


明に訊かれ、司は過去を振り返ってみる。

だが思い出されるのは、母や妹、その類友達、確約された跡継ぎの地位や金目当てで告白してきた女達。そもそも彼女らの影響で女性に興味を持つ事ができず、また自分の苦手な要素が一つでも垣間見えたが最後、生理的に受け付けなくなってしまっていたため、そんな女性がいた記憶は一向に出てこなかった。


「…分からん。居たかもしれないし居なかったかもしれない。そもそもそこまで興味持って女性を見た事がない。」

「お前な…。」


呆れ返る明の隣で、咲は何やらブツブツ呟いている。

「…我が儘じゃなくて理知的で、話は要点を抑えていて、決断が早くて金銭感覚もあって…あと何だっけ?問題が起こっても自分で解決できて、会社の役に立てる子…?」

咲は暫く考え込んでいたが、やがてはっとしたように兄を見上げた。


「お兄ちゃん、あるわ!心当たり!」

急に大声を上げた咲に、司と明は揃って振り返った。


「マジか?咲!司に紹介してやれよ!」

「紹介するも何も、お兄ちゃんの知っている人だよ。」

咲の言葉に、司は眉根を寄せた。知っている人、と言われてもこっちは心当たりがない。


「お兄ちゃんの秘書の人だよ。確か…雪原ゆきはらさん!」

その名前を聞いた瞬間、司は目を見開いた。

アクセス数なるものをついさっき初めて知りました(汗)

思っていたより多くの方に読んで頂けてるみたいで光栄です…!

もっと勉強しなければ(汗)

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