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第2王女ティアと【火の玉騎士団】

少し他の話が煮詰まり過ぎてこっちに逃げました。

しかも、かなり短めです。

サブタイを始めに設定したら、中途半端に成ってしまったので、幼馴染第2弾は次に成ります。

口調は美空と、次の召喚体ミレイの中間の予定。

「じゃあ、早速訓練をしますが、先ずは獣を呼ばないといけませんね。【変化】≪ナノバット≫」


 はぁ~、美空の巫力による式神生成は何時みても不思議だな~


 どうやってか、魔力?を巫力に変えて符を作り、その符を式神に変えるって工程だが、その過程が素人には殆ど意味が分からない。


 まぁ、分かった所でどうしたって感じだから、あまり意味は無いが。


「…行きなさい」


 美空の命令で式神?が恐らく(ナノサイズだから判別不能)敵を誘導しに行った様だ。


 それから、数十分後……


 遠くから地鳴りと共に頭に一本角の生えた馬が2頭ほどこちらに向かって来ていた。


「今度は1体1ではありませんから、あの決闘システムは有りませんね。まあ、あんな物が無くても死ぬような事には成りませんから、別に構いませんが。…では、存分に逃げ回りながら筋力を上げてくださいね?」


 そう言って美空は、オークの時と同じように、しかし3倍位の大きさの壁を作ると、上空に飛んで戦いの行方を見守る体制になった。


 仕方ない、鍛えるしかないのは決まっているんだから、こうなったら早くステータスが上がるように逃げ回ってやるか。…逃げ回る事が出来たら…だが。


 考えても見れば、普通に人より早い馬に人間が逃げて追いつかれないことなどあるのだろうか?


 そんな風に考えて居る間も、馬は猛スピードで向かってくる。


 そして、その姿が見えた直後、俺は逃げの体制に移った…が


 いきなり尻を角で突かれた。


 ぎゃー!!


 痛てぇー!


 これが、俗に言う掘られたって奴かー?!


 これは逃げねば、ステータスがどうのより、尻が割れる!


「ひぃっひぃっ!…け…あ痛!けど、如何して…こんなに…ギリギリの…間合いなんだ?…痛いっつってんだろが!」


 ドカっ!と、振り返りもせずに蹴った足が運よく?馬にヒット。


 しかし、それが逆に馬の怒りを買い…


「ブルル……」

「ブルル…」


 こ…殺される!!


「セイジ様?そんなに焦らなくても馬は逃げませんよ?」


「馬は逃げなくても俺が逃げるわ!」


 しかし、このままではマジでヤバイ。


 何がヤバいって…ケツが割れるんだよ!


 …誰に言ってんだ?俺は。


「さあさあ、まだまだこれからですよ?態々馬のスピードのみ少し落しているのですから、キチンと足を使って逃げてくださいね?」


 な、何だとーー!?


 どうりで俺の足で何時まで経っても尻を突かれるだけだと思った。


 これで謎が解けた。


 真実は何時も一つ!(何が真実か今一つ分からんが…)


 って、馬鹿な事を考えてるより、早く逃げねば。


 幾ら美空が抑えてると言っても、何かの手違いってのは十分にある。(勿論ワザトも) 


「けど、美空?今考えれば…態々魔物相手に…ってーな!逃げる練習の…様な…ステータス…アップの訓練を…やらなくても…、サリナちゃんの家で…痛いっつってんだろ!…ひっ!ごめんなさい!美空の風で重くした重力下での特訓でも良いんじゃないか?」


 俺が馬に突かれながら逃げて、その間にもツンツンされているのを微笑みながら見ている美空は、俺の質問にも平然と答える。


「…もしかして、セイジ様は昔のアニメとか言う物で知った重力下の修行の事を言ってるのかも知れませんが、それは体の負担が大きすぎます。仮にそれをやったとして、恐らく成れないその修行をやることによって、無闇に足や首の筋を痛めたり、腹が出ている物を更に下に落す事になります。私はセイジ様から聞いた物しか知りませんが、それは主人公の体が有る程度の過負荷に慣れていて、尚且つそれを上回る身体能力を持って居た事による修行法です。セイジ様では、出来たとしても腕立てや腹筋時に少し重くする位が限界でしょう。勿論、夜の特訓にはそのメニューは取入れる予定ですので、今は走ってください」


「分かったけど…結構…痛いぞ?少し…休憩は…無いのか!?」


「……まあ、少しなら良いでしょう」


 ほっ…漸く休憩か…


 もう尻が割れてるぞ?


 しっかし、美空も簡単にあんなデカい馬を空中で制止させておけるよな?


 俺の召喚体は無駄に高性能だな…


「……そこで見ている人は何者ですか?」


 ?いきなり低い声を出して。何が有ったんだ?


「?誰かいるのか?」


「ええ、その岩場の影に隠れて先ほどからこちら、主にセイジ様を見てます」


 ふ~ん?誰だ?


「出て来ないなら…「よくわらわが見ていたと分かったな?豚の仲間にしてはやるではないか?」


 美空が言い終る前に、その人物は姿を現した。


 その姿は、一言で言えばお色気たっぷりの巨乳少女。


 そして、周りを何かしらの騎士団っぽい者たちに囲まれた姿は、どこぞのお姫様を思わせる。


 …お姫様で、巨乳?


 まさか、この国の第2王女のティアか?


 それにしては馬鹿丸出しのいい方だったが?


「…私には貴女の頭の中が豚の様に膿が溜まって見えますが?確かにセイジ様は太っておられますが、痩せる努力をしてます。その努力を見ずに、見た目で何時までもアホな事を言う貴女の方がお馬鹿さんですよ?」


 美空も本当の事を迷いなく言う奴だ。


 まあ、俺の気も晴れて良い感じだが。



「な!?貴様!言い残す事はそれだけか!火の玉騎士団!火炎魔法用意!この雌豚の手足を丸焼きにして胴体と顔のみの状態で、国民の前で極刑じゃ!!」


 美空の言葉でもう気が狂ったのか?


 お姫様がそんな短気じゃ駄目だろ?


「悪いな、少年?まさか遠くへ逃げずに、あんな森に隠れていたとは思わなかったよ。てっきり闘技場で少しレベルを上げた後は、何処か遠くへ避難すると思って、姫様に助言を出してしまったよ。…何で逃げなかったんだい?」


 ?あれ?この声は門番のオッチャンか?


「おい、お主が逃がしたのは逃走経路を先読みした功績でチャラにしたが、その言い方では逃げ切って欲しかったように聞こえるぞ?」


「そう言いましたが?第一、姫様のやることは短気過ぎるんですよ。それだから、あの男性も最初こそ迫ってましたが、姫の性格を判れば解かる程引いてたでしょ?女の子にしてもそうですし。だいいち…」


「もう良い!お前のお小言は耳タコじゃ。それより、あの森の事はキチンとしたんじゃろうな?」


「ええ、ハルカ殿に任せましたよ?今頃は交渉中でしょう」


「な!?妾は目障りじゃから焼き払えと言ったではないか?!何故言った通りにせんのじゃ!?」


 な!?森ってサリナちゃんが居る、あの森か?


 しかも、この話し合いの様子だと、オッチャンが森の炎上は回避してくれたようだが、一体オッチャンは俺の味方か敵か、どっちなんだ?


「なあ、オッチャン?」


「何だ?少年?今は姫が居るからあまり長話は出来んぞ?」


 牢やの話で長話だったのか?


「いや、その馬鹿姫の言い方だと、俺が逃げた後の経路をオッチャンが追いかけさせたみたいだが?どうやって俺の嘘が分かった?」


「そんなの簡単だ。闘技場の者に聞いた時間から、探す時間と、試合が終わる時間とを考えたら、如何もドックタイプの食事の時間が合わない。それに聞いた話の服と、その履いてる下着の残りが何処にも見当たらない。異世界人がこの世界の人の様に粒子となるのか、そのままの状態で餌になるのかは知らないが、どちらにしても、態々下着を脱いで食べられる事はしないだろ?だから、町の青年に聞いた情報が嘘で、君が逃げた事に対する裏付になったんだ。因みに、もう調べたかもしれないが、この世界のステータスはレベルでは上がらないよ?キチンと裏付けの取れた鍛練法でやらないと苦労するよ?説明は…姫がご立腹だから、また次の機会って事で」


 あ、なるほど?


 確かにガキみたいに膨れっ面してるな。


 完璧にガキだな。


 性格もガキそのものだし。


「もう良いであろう。さっさとその雌豚を焼き豚にするのじゃ!」


「分かりました。火炎魔法騎士団!前へ!う…「あ、この子にそんな弱い魔法は効かないよ?オッチャン?」

「え?どういう?…って、ちょっと待った!!」


 オッチャンがそう言うがもう遅い。


 火の玉?騎士団の放った魔法は、巨大な業火となって、美空へと向けられる……が


「セイジ様?お馬鹿さんと、騎士団、どっちに向ければ良いですか?」


「…お馬鹿さんで!」


「畏まり!」


 美空の問いかけに答えた俺の言葉通り、美空へと向けて放たれた業火は、風を操る美空のコントロール下に治まり、途端に方向転換し、火の玉騎士団…ではなく、ティア姫の方へと向かって行った。


「…え?…って!何で妾の方へ向けるのじゃ!誰か!妾を護れ!…ぎゃーーー!!」


「ひ、姫様!?皆!火炎魔法中止!延焼効率を下げながら水魔法を…って、火の玉騎士団に水魔法の使い手いないよ!…如何しよう…」


 …如何しようって言う前に、魔法具は無いのか?ミレイを呼んでも良いが、一々この馬鹿にそこまでしてやる義理も無いし…


「美空?馬鹿は兎も角、このままじゃー騎士団の人達が、後で何か言われそうだから、風で酸素を何処かに持って行って火を消してやって?あれだけ焦げたら死なないまでも、当分治療が必要だと思うから」


「この状態の仕返しを防ぐなら、このまま殺すのも一つの方策ですが?後々厄介に成りますよ?」


 …う~ん、それなんだよな?


 俺の邪魔をしてくるようなら、今この場で始末するのも良い考えではあるが…


 けど、そうなったらオッチャンらが困るだろうし。


「なあ、オッチャン?」


「…早く、けど、徐々に火を抑えて行け!…なんだい?少年?今鎮火に忙しいんだが?」


「いや、俺の召喚体なら風を操って鎮火出来るけど?交渉次第では、火傷も治せるし、これから俺に危害を加える様な事をしないって姫さんが約束出来るなら…だけど?どうする?」


「では、鎮火のみお願いしよう。俺の発言力では姫の我儘を留めきる事が出来ない。フィア様が戻られれば俺の意見を尊重してくれるし、国王陛下も君の実力次第では、魔法具による契約もしてくれそうだが、運悪く今は二人とも塔の攻略だ。従って、簡単に重大な約束は出来ない。…頼む」


「OK~。美空?火を消すだけお願い。それと、他のお偉いさんが帰るまでにはレベルも上がってると思うけど、もし上がってなかったら、一旦ミレイと交代するからね?」


「分かりました。流石に私では治療は専門外ですから、あの子を呼ばないと無理という事は分かってます。…では、早速消しますね?」


 ……おお!!


 早い早い。やっぱり燃える物が無くなったら、火なんて一瞬で消えるな。


 これは美空がやるまでも無かったか?


「……これほど簡単に消える物なのかい?俺には原理が理解できない」


「一応、この世界の技術を以ってすれば、この程度の事は簡単に出来る筈だよ?要はそういう機械を作る奴が居るかって事でしょ。俺の今までこの世界で見た技術はかなり発展した物だと思うけど、所々おかしい物もあるからな」


「ほー、それは興味深い。…っと、火が完全に鎮火したので、我らはこれから姫を城の治療師達に預けに行く。もし、それでも治らなかったら、その時はフィア様か国王が戻り次第相談して君に連絡するよ。言伝はあの森の少女にでも伝えればいいだろう?」


「ああ、それで良い。って言っても、俺もどれだけあそこにいるか分からないし、場合に由れば、俺達の方が塔に行く方が早いと思うから、その時はそれっぽい人を見つけたら交渉してみるよ。…オッチャンの名前は?」


「ああ、名乗ってなかったな。俺の名はジョン。今はティア姫のお目付け役だが、本来はフィア様に仕える火炎魔法士、ジョン・ハリスだ。国では【煉獄のジョン】で通ってる。…じゃあ、後日会えるなら会おう。…よし、皆城に引き上げるぞ!一刻も早く姫を回復させるのだ!」


「「「「は!」」」」


 ……行ったな。


 しかも、スッカリ遅くなったな。


 もう眼を懲らさないと馬が見えんが、続きやるのか?


「なあ、美空?この位の暗さでは…「いえ、この暗さが一番神経が研ぎ澄まされるので、後壁3周ほど走って貰います。その位して丁度良い暗さに成るでしょう」


「…はい、分かりました…」


 って事で鍛練再開か…


 そうして、以後はさっきまでの通り…


「うぎゃ!!尻が!!」


「もうだめ!止めて!!」


「いやーー!!お婿に行けないーーー」


 等と、俺の悲鳴を薄ら笑いを浮かべながら聞き流す美空監修の元、夜が更けるまで続けられた。


「…ううー、本当にこんな事で早く成れるのか?」


「一日や二日では結果は出ません。最低でも一週間は続けて貰います。…あと、これから風を操作しながらの低酸素状態でのスタミナ増強や、先ほど言った空気の重い状態での腕立てなどもメニューに入ってますから、頑張ってください」


「うへ~。鍛える為とはいえ、キツイ物はきついよ~」


「ガンバです。セイジ様!」


 サリナちゃんの森まで行く間、美空とそんな風に会話をしながら、俺達はサリナちゃん宅に帰り着いた。


 そして、その中にはオッチャンの言ってたように、俺の顔見知りがまた一人俺の到着を待っていた。






 

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