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イケメン微チート勇者

速過ぎる気はしますが、王道的召喚で召喚された勇者を一人出します。

今の所はあまり絡みませんが、後々敵対半々合同攻略半々の予定

「……ん~、ここは?」


「あ、気が付きましたか?セイジ様。ここはサリナさんのお宅です。先ほどの戦闘は、まぁ予想通りセイジ様の敗北です。それで、今色々と筋肉痛になるであろう足の辺りのマッサージ中です。…痛かったら言ってくださいね?」


 目覚めたら目の前に美空の綺麗な顔が間近にあった。


 目覚めが良くて、マッサージ中だから体も気持ちいいが……


 そうか、俺はあのまま負けたのか。


 流石に実力に違いが有り過ぎて、悔しさも無いが、体の痛みは正直だな。


 そこいら中が痛い。


「あ、ああ。分かった」 


 取りあえず応えて於いて、今は身を任せるとしよう。


 時折覗く美空の巫女服の中身も眼福で良いし。


 しかし病的な白さだな。


 これで窓際に居て椅子に座って手を膝に乗せながら外を見ていたら、病弱な深窓の令嬢だ。


 ま、そんな事は今は良いか。


 まあ、痛みはマッサージをしてくれてるから、そこそこの痛みに留まってるみたいだから、それに耐えながら待つとしよう。


 っと、ステータスは?


 筋力    E→D


 スタミナ  F→E


 う~む、スタミナが増えたのは何度も風の壁に叩きつけられたり、オークに殴られたりしたからだとは思うが、筋力は何でだ?


 もしかして、攻撃を受ければ、その分肉が圧迫されて筋肉に成るのか、はたまた今のマッサージが効いているのか。


 …ああ~、それにしても気持ちいいな…。


 このまま美空を抱いて寝てしまおう…


 そう思い、マッサージ中の美空を手元に引き寄せる。


 そのドサクサで、色々と柔らかい感触も楽しむ。


 う~ん、気持ちいい~。


「きゃっ!…セイジ様…マッサージの途中です。抱えて寝るのは構いませんが、後から痛くなりますよ?」


「…それは嫌だな。分かった、もう少し頼む」


 抱きつかせた美空に耳元で囁かれ、止む無く柔らかい体を離し、マッサージを再開して貰う。


 しかし、こういう時に式神は使わないのだろうか?


「なあ、こういうマッサージに式神は使えないのか?」


「式神は所詮大雑把な使い魔程度の事しかできません。情報収集にナノサイズの式神を飛ばすにしても、その情報を処理する事自体は式神を操る私の処理能力ですので、私の能力以上の事は出来ませんし、マッサージにしても、場所を細かに伝えても、その時々の体の凝り方や痛みの見分け方の判断は私の感覚が頼りなので、実際には私がやった方が確実なんです。……式神が本来の威力を発揮するのは、主に戦闘面でしょうか?」


 ふ~ん、確かに大規模戦闘なら大雑把に出した命令でも相手に気の毒なだけで、術者には簡単で楽な作業だな。


 ある程度の魔力…式神の場合は巫力か、を注いでやっていれば後はセミオートで行動するんだから。


 更に美空には風の魔法…いや、スキルと言って良い物が有る。


 魔法と違って美空の風の操作は異質だ。


 自分はおろか、他の者まで簡単にその操作範囲に入ってしまう。


 例えば、情報にあるこの国の第一王女が攻略中という風神の塔にしても、美空が行けば、恐らく簡単に攻略できるだろう。


 なにせ、美空のは、風を現象として起こす(・・・)のではなく、風を操作・・するのだから。


 まあ、実際に攻略するのは未だ当分先に成るし、その頃には他の召喚体も出せる事だろうから、用途は幅広いが。


 っと、そろそろ終わりかな?


「そろそろ良い?」


「はい、この位で良いですが。どうしました?」


 俺はステータスを見た感想を美空に説明する。


 それを聞いた美空は


「……それなら、無闇に魔物とばかり戦っても意味が無いかもしれませんね。実際ステータスはレベルが上がって無くても増加していたのなら、今度は大型犬の様な走るタイプの、追いかけ回すタイプの魔物の方が効果的かも知れません。それに、今度の舞台は草原にして障害物の無い場所で特訓しましょう。その方が、多少上がったスタミナを存分に活かせる筈です」


「…わかった。…じゃあ、今から…って、今はどの位の時間?あれからどの位経ってる?」


「あれから大凡2時間弱。なので、今からもう一回位なら訓練程度の運動は出来るでしょう。…では、行きますか」


「ああ、よろしく」


 そうして、来ました草原!


 しかし、どうやら先客がいたらしい。


 俺と美空はその先客の近くにゴーレムの式神作ってその中に隠れ、状況を見守っていた。


 片や俺の知識上ではエルフの美人の女性とイケメンの男。


 そして、槍を持っている女の子とローブを纏っているいかにも魔法使いですって感じの女の子のハーレムパーティー。


 エルフの方は民族衣装みたいな様相だが、イケメン男の方は明らかに質が、否、物が違う。


 どう見てもあれは何かしらの魔法具だ。


 その証拠に鎧の前面に一つ、小手の甲の部分に一つ、後ベストに一つ。


 合計4つの蒼い宝石が埋め込まれている。


 あれは何かのアニメで見た魔力増幅用の魔法具だ。


 それを男は大事そうに撫で、片方の魔物の集団をゴキブリでも見るかのように見やる。


 そして、他の面々はイケメンの男の一挙手一刀足に釘づけだ。


 …エルフ以外は…だが。


 対して、片や魔物の方は数十の大型犬の群れ。


 どうやら、美空が集めた魔物がこいつ等に横取りされたようだ。


「コウタ殿?この程度の雑魚は我々が引き受けるが?貴方にはこの後、夜に控える村の異変の為に魔力を残していて貰わないと困るのだが?」


 エルフの言葉に、他の2人も頷いている。


 それに対し、イケメンは慌てることなく諭す様に説明する。


「まあまあ、焦らないでいいよ、レディ達?この位の魔物、俺様のチートな固有スキルを使えばかるーく捻れるよ。…見てな?」


 ?あの声、どっかで聞き覚えがあるな?


 何処だったっけ?


 しかも、チートって言ったか?


 なら、アイツが俺と同じように召喚された勇者って事か?


 確か、会って早々我儘王女に求婚したって言うお盛んなプレイボーイだったな。


 って考えてる間に、あの男、イキナリ大きいなかます心算だぞ?


 ココからでもアイツを…否、アイツの持つ宝石を中心に大気が唸りを上げて上昇してるのが解かる。


 アイツも何かしらのチートが有るみたいだが、何のチートか分からん。


 この犬の群れで見定める事が出来るか分からんが、美空も見てるんだ、俺が気付かんでも美空なら気付く可能性は有る。


「美空?アイツがどういう攻撃をしようとしてるか分かる?」


「いえ、しかしあの男よりも、あの男が持つあの魔法具が問題の様です。あの魔法具の宝石から大量の魔力があの男に集約して行ってます。見た感じ、あの男の力は、際限なく魔力を一時的に吸収する物の様です。それが一時的か、半永久的かは分かりませんが、使い方によっては恐ろしく驚異的な力です。そして、その集めた力を如何使えるかによってその実力が分かります。…まあ、言ってみればお手並み拝見…ですね」


 なるほどね?


 しかし、アイツの声ホントどっかで聞いたことあるんだが…


 って、んな事考えてる間に、イケメンが腰の剣を抜いて構えた。


 しかも、またあれは何かしらの魔法具だな。


 今度のは刀身に魔法文字が刻まれてる。


 馬の鎖に書かれていたのと同じ原理だな。


 しかも、あれは見た感じ、己の集めた魔力を、己では利用できないから、あの魔法具を利用して現象を起こす感じだ。


「…あの剣はセイジ様も気付いていると思いますが、魔法具ですね。あの剣を出した直後から、辺りの魔力が急激にあの剣に吸い寄せられてます。…が、これであの男の力が、一時的な物の可能性が高くなりました。しかも、今の段階では扱えない物だというオマケつきです」


 やはりか、しかしどの位の威力かは見ないと分からんから、必見だな。


 そして、とうとうその一撃が放たれる。


「行くぜ!俺の闇の属性スキル【魔力喰らい】と【魔力付与】を掛けあわせた物に、このチート魔法具【エクスカリバー】の魔力放出能力を使った攻撃に耐えられる魔物なんてどこにも居ない!…喰らえ!正義の鉄槌!≪ホワイトブラスト≫!」


 イケメンの言葉と共に、魔法具のエクスカリバーから放たれた魔力が光の光線に成り、前方の魔物を一瞬で灰にする。


 その威力は想像以上の物だ。


 しかし、この世界でもどうやら俺の知るゲームの世界同様幾ら闇といっても、人が持つ属性に関しては忌避感は無い様だ。


 しかも、何気に光の魔法具と闇のスキルがコラボってる。


 個人、否自分が使えるとすれば嬉しい限りだが、他人が其れを使えるってのを見るとムカつくのは何故だろう。


 しかし、一つ疑問がある。


 ココまで魔法具に頼った戦いをしなくてはならんほど、勇者のスキルは低いのか?


 俺が言うのも何だが、魔力が仮にAとか、早さがAとか、どれかがAであるなら、一々あんな魔法具に頼らずともあの位の魔物、簡単に無双出来るとは思うが?


 俺の考えが届いたのか、はたまた別の要因か、俺達が岩のゴーレムの影に隠れている事がイケメンに気付かれたようだ。


「そこに隠れてる奴、出て来い!姿は隠していても、魔力は隠せてないぞ?俺様の、姫様から頂いたこの魔力認識魔法具が、人の発する魔力を全て知らせてくれる。…分かったら出て来い!此方の人数が多くて一人で出て来れないって言うなら、レディーたちには動かない様に言ってやる。…どうした!」


 ……一人?もしかして、召喚体は人数にカウントされないのか?


 けど、サリナちゃんは気を掴んで美空の存在に気付いたが?


 意味が分からんな…、まあ出て行ってやるか。


 美空が居れば、命の危険は無いし。


「美空?一応ココに居て何かあった時に備えてて。相手はこちらが一人だと思ってるから、その方が油断すると思う」


「……はい、分かりました。…お気を付けて」


 美空がそう言って俺に頭を垂れる。


 まあ、主である俺の心配をするのは当然かな?


 よし、行くか!


「はいはい、分かったから攻撃はするなよ?唯でさえこっちは武器1つ無いんだ。人数が多い上に武装までした奴らが相手じゃ、死ぬ心配が先だからな」


 俺はそう言いながら岩ゴーレムの影から相手側に姿を見せる……が、お約束と言うべきか


「ぬっ!オークだった?皆下がってろ!俺様がやる」


「いえ、ここは私の経験値にさせて貰います。コウタ様はお下がりください」


「…ここは、わたしの出番…」


 ……やっぱりダイエットは必要だな。


 こう毎回オークに間違えられる体格だと、説明の時間の無駄だ。


「おい、ちょっと待て!素直に出て来たのに、いきなりそれは無いだろう!」


「な!オークが…って、よく見たら人間か。…この魔法具は人間の魔力も魔物の魔力も感知するから、結構神経を使うんだよな~?……で?お前は何者だ?ココにいた魔物が目当てなら、今しがた俺様が華麗に魔素に還してやった所だが?」


 魔素?そういや、情報誌でそんな事も書いてあったな。


 生きてくのにどうでも良いから忘れてた。


 しっかし、コイツは何処かであったけな~。


 声に聞き覚えはあるんだが。


「おい、何とか……って、あれ?!良く見たら俺と遥ちゃんの序に、巻き込まれた形で召喚されたデブに成っちまった清二じゃないか!しかも死んだ筈じゃなかったのか?!俺は姫に犬に殺されたって聞いたぞ?」


 ?向こうは覚えてたようだが、俺の名前まで知ってるってどういう事だ?


 それに、遥って言えば、俺の幼馴染の事か?


 けど、俺がゲームの中に引きこもり出して長いこと会ってないな。


 今元気かな~って!


 序に召喚って事は、コイツの言う遥が幼馴染の事ならアイツもこのゲームやってるって事か?!


 それなら会って情報交換したいな。


 アイツは昔から優等生の分析マニアだから、犬に食われて死んだって言っても素直に信じてるかどうか疑問だし、会いさえすれば冷静に判断しそうだ。……俺のこの姿をどう見るかは分からんが……


 まあ、コイツにも説明はしておくか。


 曲がりなりにも俺と同じ世界の出身なら、こういうゲーム的な世界のルールは同じくらいの知識が有る筈だし。


「いや、それは俺が処刑を逃れるために吐いた嘘だ。考えても見ろ?何処の誰が呼び出して於いて勝手に牢獄に入れた奴の都合に従わねばいかんのだ。まあ、牢番の人が良い人だったんで出られた部分が多分にあるが。…まあ、そこはどうでも良いが、さっき遥ちゃんって言ってたし、俺の事を知ってるような口ぶりだが……何処かで会ったか?声は何となく覚えてるが、俺にはさっぱり思い出せん」


 俺がそう言うと、コイツは額に手を当てながら天を仰ぎ、説明しだした。


「…まあいいか。確かに俺とお前が会わなくなって久しいし、遥ちゃんが俺にお前の事で相談にきだして随分なるしな。しかも、俺たちも改めて思い出さなきゃ、お前だって分からなかったし。…ゲーム同好会って言えば解かるか?平良清二。いや、エロエロ大魔神清二って方が通じるか?」


 ・・・・なに?!


 なんで俺の不名誉な通り名を知ってるんだ?


 って、こんな事を知ってるのはこの世界にはいないか。


 そして、この名を浸透させやがった奴は悪友のアイツだ。


 顔は正直うろ覚えだが、この話し方は覚えがある。


「…お前は、記憶が確かなら、イケメンの癖にナンパ癖のある浩太、鈴木浩太…だったか?」


「あんなにつるんでた俺を忘れる位何をしてたんだ?遥ちゃんが情報提供の為とはいえ、俺とのデートを承諾する気も分かる気がするぞ?……ああ、勘違いするなよ?俺は巨乳が好みなんだ。確かに誰もが認める学園のアイドルだが遥ちゃんみたいな貧乳は好みじゃないから、デートは情報提供の一環でしかない。手は出してないから安心しろ?…まあ、それにお前の事も情報が来るまで姫と一緒に探してたが、今は城で編成して貰った俺のパーティーの様なアドバイザー兼護衛兼秘書って感じの仲間とこの異世界から返してもらうための攻略に向かってるよ。…いや、異世界って言うよりここは最早ログアウト不能なオンラインゲームって感じだけどな?お前もそれは気付いてんじゃないのか?俺以上のゲームオタクのお前なら」


「ああ、なんでか知らんがログアウト出来ないわ。普通の生活スタイルで無いとステータスが上がらんわ。おまけに変な決闘システムが有るわで訳が分からんが、取りあえず普通じゃないって事は分かる」


「な!お前何言ってんだ?異世界でログアウトできる訳ないだろ!?ゲームのし過ぎで現実と妄想の区別も付かなくなったのか?」


 俺のログアウト出来ないって言葉に露骨に反応してきた。


 こいつもこの反応なら、試にやった可能性が有るな?


「まあ、話はきた経緯に入るけど、俺らはデート中に急に足元が光ってそのままこの世界に来たんだが?お前は寝たまま副作用で召喚されたんじゃないのか?」


 …?浩太の意見が俺と微妙に違うな?


 いや、全く違うのか?


 こいつの話が本当なら、コイツは小説なんかで見る、典型的な異世界召喚で来たって事になる。


 その点俺はゲームの世界から恐らく迷い込んだトリップだ。


 しかし、コイツも急に呼ばれたにしては場に馴染んでるな。


 …今結構思い出したが、コイツって俺と結構つるんでいる癖に矢鱈理解が早いやつだったんだっけ?


 しかも、頭も良いし。


 ムカつくナルシストだが女の子受けも良い。


 生まれながらの主人公タイプだ。


 まあ、それだけに特定の彼女が出来ない残念な奴ではあるが。


「しかっし、なんでお前だけ服が無かったんだ?下着一枚だったのはその体を見れば大体の想像は付くが、装備は指輪に入ってただろ?今の俺の様な戦闘用の装備が。あまりの事に遥ちゃんも俺もお姫様の行動を止める事が出来なかったぞ?…まあ、その時はお前って分からなかったから、どちらにしても止めてないかもしれないがな?」


「いや?それ以前に俺は本当にゲームをやってる心算だったぞ?妹から機械を取り付けて貰って、寝て。起きたら牢屋だ。何が何だかサッパリだ。装備もない、アイテムも無い。解かるのはチートな職業とチートな魔力を貰ったってだけだな」


「チートな職業ってなんだ?俺見たいな闇の魔法剣士って奴みたいなもんか?それとも遥ちゃんの光の魔法師って奴か?これもすげえ職業だよな?最初こそ物足りないが、レベルが上がると俺には魔力に応じた亜空間フィールドが作れるし、遥ちゃんのは昼に魔力補正のある全属性使える魔法師って奴なんだから。しかも、魔法具はそれぞれ問題なく使えると来てる。全くどうなってんのか分からん世界だ」


「俺のは召喚師だ。まあ、これもチートだが、魔力が一番のチートだな。しかも、そのチートな魔力に合わせたレベルの召喚獣が召喚できるってチートだ。しかも最初から魔力がSSだ」


「はあ!!?SSだって?」


 流石の浩太もあまりのチートっぷりに大声になったな。


 まあ、無理もないが。


 そして、今度は少し声量を抑えて言って来た


「何だそれ!?チートにも程が有るだろ。俺なんか魔力に関してはEで、他が何とか一般国民平均より高いCだぞ?遥ちゃんは流石と言うべきか、筋力がD以外は全てCだが」


 ほ~、他の奴はそれ位のモンか。


 …って待てよ?


 なら、美空の奴あんな美味しい条件出してるけど、どんなに頑張ってもBなんて当分先じゃないか!


 こうなったら当分触れる時に触りまくってやる!


「しかし、お前もこれからどうすんだ?攻撃に関したら筋力を上げる以外では武器に頼らざるを得ないと思うが、お前は顔がまだしばらくは出回ってるから、町での調達は無理だぞ?それに金も無いだろ?俺らはこれから少しばかりレベル上げがてらに国からの依頼を熟しながら塔に行って、主な活動場所は塔内の合衆国で色々と行う心算だ。恐らく遥ちゃんも同じだと思う」


 ふ~ん?塔内にそんな場所が有るのか。


 しかし、俺は未だ無理だな。


「悪いな、俺は召喚体に痩せろって言われてるから、頑張って素早さをBに上げるつもりだ。…そういや、紹介しとくか。…美空?出て来て良いぞ?」


「はい、セイジ様」


 俺の呼び出しに応じ、直ぐに美空が姿を見せた


「此奴が俺の召喚体の一人、美空だ。今の所は一人だが、それでもさっき言った条件の結果、コイツだけでも既にこの世界を征服できる位の戦力だと俺は思ってる。だから、俺は焦らずに痩せようって事にした」


「……何って言えば良いのか、お前って矢鱈と美人に縁が有るよな?遥ちゃんにしろ、この美空って子にしろ。俺の範囲外だから、襲う心算は無いが、俺が顔で選ぶ奴なら、お前を殺してでも物にする位の美人だぞ?彼女」


「それは同感だな。けど、俺も他のゲームで苦労して仲間にしたキャラだからな。その苦労に見合う報酬って感じだ。この美空の他にも大勢いるが、皆を揃えるのに数年の月日を引きこもって過ごしたからな。報酬としては有りだろ?」


「その熱意を現実の女の子にもぶつけろ!俺みたいに!」


「お前だって人の事言えるか!巨乳にしか興味が無いくせに!」


「巨乳の何が悪い!ウッカリ手が当たると柔らかくて気持ちいんだぞ?」


「それは貧乳でも同じだ!」


「あの~?胸の好みの話は後にして、取りあえずセイジ様の訓練をさせてくれませんか?あまり遅くなると暗く成りすぎてよろしくありません」


「式神が居るから大丈夫だろ?」


「それはそうですが、やはり昼と夜では正確性が違います。なるべくなら、ミレイを呼び出し、光の出る魔法を使える者を召喚した方が良いですが、それでは明るすぎて訓練に成りません。やはり暗くなる間際の頃が一番集中力的には美味しい経験になるのです」


 なるほど、確かに神経が張り詰めるのはその頃だな。


 明るすぎたら目に頼るし、暗く成り過ぎれば諦めて終わりにしかねない。


 その中間が一番いいって訳だ。


「何かお前の健康を管理してくれてるようだが。…しかし、Bは流石に無茶だと思うぞ?なんせ、この国で【俊足のヴァルキュリア】の異名が有るらしい女性がそのB何だから。お前では何年かかるか分からんぞ」


 何だと!?


 しかし、壁は高ければ高い程到達したときの感動がデカいのだ!


 …っと、そろそろホントに時間が無くなりそうだな。


「じゃあ、俺達は行くわ。まあ、程々に頑張れ。それと、遥ちゃんには俺から会ったら言っといてやる。会わなかったら1発貰う覚悟はしとけよ?」


 げ、それは嫌だな。


「何とか成らんのか?」


「生憎連絡を取り合う魔法具は貰ってないんだ。この世界、何かと便利なんだが、何故だか離れた個人と対話する系統の道具は発達してないから、連絡が取れん。移動手段にしても、早くなる道具は有っても瞬間移動の道具はない。いや、あるにはあるが個人が魔法を篭めるタイプしかないから代金が高すぎる。異世界初心者には無理だ」


「ふ~ん?けど、この国ってって大国なんだろ?」


「まあ、そうなんだが。どうやら大国と言っても人間の国ではあまり扱ってないらしい。って事で無理だから。…じゃあな?」


「ああ」


 それから、他のパーティーの紹介もして貰えず浩太と別れた俺は、再び美空と特訓を開始した。


 

 

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