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お前!私と結婚しろ!

「なんだこれ?」

この物語はある一冊の本を見つけたところから始まる。


年末。今は2011年最後の日だ。それは、神火流衣(しんかるい)も例外ではない。大掃除。何故最後の日までやらなかったか不思議だが。日付変更まで後14時間。時間的には余裕で掃除は終わり、午後のティータイムを楽しむこともできるが......

「おっ!このマンガ!ここにあったのか。どれどれ」

こうゆう男だ。しかしそれでも徐々に部屋は片付いていく。そして、それは見つかった。仏壇の裏に。

「なんだこれ?」

そこには「狐と俺」と書かれていた

「こんなもんあったかぁ?」

外見はただの......いや、ボロボロの本だ。中身は日記、だった。だが

「2012年1月1日?」

それは未来のことが書かれた日記だった。しかしそれは未来と言うには近すぎるものだった。流衣は日記を読み進める。

「1月1日。俺は一匹の狐と出会う。そして結婚した。」

その日記の一ページ目にはその二行。しかも

「この字、俺か?俺の字か?」

そう。その日記は流衣の手によって書かれた日記だった。何故、未来のことがこの日記に書かれているのか。そして、何故これを流衣が書いたのか。まだ、誰も知らない。

「ま、俺が寝ぼけて書いたんだろ」

そう解釈し、再び本来の目的に手を動かす。これから何が起きるかも知らずに。


夜。無事に大掃除は2011年の内に終わり、テレビでは毎年恒例の紅と白の歌合戦がやっている。

「2011年も終わりか」

昼間の日記のことなどとうに頭から抜け落ち、そんなことを思っていた。そうこうしてるうちにカウントダウンだ。

「さん。にー。いち。」

明けた。年は明けた。新たな年の始まり。

「一人で何やってんだ。寝よ」

流衣は寝床へ向かう。寝室にたどり着いた流衣はそこで衝撃的な光景を目の当たりにする。

「お、お、女ぁ?」

そう。流衣のベッドには一人の女がいた。それがベッドのシーツに丸まっているのだ。彼女は可憐とも思うがどこか一本芯が通っており凜としていた。容姿はそうまさに「美少女」だ。美少女は男の夢......なのだが、それが突然、自分のベッドにいたらどうだろか。動転する事間違いなしだ。流衣も例外ではない。

「おっ、おま、お前!ど、ど、どこからはいった!」

流衣はそう尋ねた。まぁ当たり前だ。

「どこ......か。愚問だな。お前はドアを知っているか?」

彼女は当たり前のことを問う。

「当たり前だ!」

「ならわかるだろ?ドアから入ったんだ。」

ドアから入った。そう主張する彼女。

「鍵が掛かっていたはずだぞ!」

「ま、私の前では鍵など無意味。はっはっはっ」

高らかに笑う彼女。

「......何しにきた。」

かすれた声で絞り出した一言。

「お前を、助けにきた、とでも言おうか。」

「は?」

流衣には意味が解らなかった。流衣には別に助けて貰うことなんて一つも見当たらないからだ。

「神火流衣!私と結婚しろ!」

「はい?」

結婚。流衣はそのキワードを聞いた瞬間、ふと思いだす。日記のことを。

「お前、狐、か?」

流衣が尋ねた瞬間!彼女は驚きつつも唖然とした顔をした。

「な、な、何故だ!何故知っている!わ、わ、私が狐であると!」

図星だったようだ。流衣は

「俺もわかんねぇよ。だけど、日記があったんだ。その日記に、1月1日に狐と会って結婚するって書いてあったんだ」

「なんだと!一体」

彼女は考え込んでしまう。

「おい、それより、俺を助けに来たってどうゆうことだよ」

「あぁ、それか。単刀直入に言う。このままだと、お前は1月1日中に死ぬ。」

なにをわけの分からないようことを、と流衣は思ったが......

「どう言うことだ?」

「お前は今日が寿命なのだ」

「へぇーってバカ野郎!なわけあるか」

そう言う流衣の顔は青ざめていた。

「まて。そう真っ向から否定するな。お前を死なせないために私は来たのだ。」

「ど、どう言うことだ?」

「私とお前が、自然界の結婚をすれば、お前は助かる。」

「自然界の、結婚?」

流衣の顔は疑問の嵐でみるみる歪んで行く。

「そうだ。自然界の神に祈りそして、自然の命を分けて貰うんだ。だが、自然界の結婚をするには自然界の者が必要だ」

「それがお前?」

彼女はコクりと頷く。

「でも、なんで?なんで俺を助けてくれるんだ?」

「それは、そのーだな、やっぱり覚えてないか?その、14年前のこと」

14年前。流衣は3才だ。

「14年前?」

彼女は恥ずかしそうに言った。

「そのだな。お前は私を助けてくれたのだ。野良犬に襲われているところを」

「......それだけ?」

「へっ?」

彼女は気の抜けた返事をした。しかし流衣は構わずに

「それだけで、俺の命を助けてくれんのか?」

「あ、いやその、それだけではないんだが」

彼女はなにか口がごもってゆく。その時、

「ぐぅ!胸が!」

流衣はその場に倒れこんでしまった。

「おい!」

ベッドの上にいた彼女は流衣の元に駆け寄る。

「おい!しっかりしろ!」

心臓が痛む流衣。だか、それは一時的なもので数分すると落ち着いてきた。

「ハァハァハァ」

息の荒い流衣。

「大丈夫か?もう発作が」

「発作?俺は心臓の病気か」

「取り敢えず早く、自然界の神の下に行こう。急がなければ」

「あ、あぁ」

二人は駆け出した。


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