夢でも現実でもない
旧友と再会する機会の一つとして寝ている時に見る夢の中がある。昨夜も小学生の時に転入してきた男の子が出てきた。正確かは分からないけどとても具体的な顔立ちと仕草が鮮やかに現れる。ドッジボールが強かったよなと思い返しながら目を覚まして、成熟した身体を横に倒して時刻を確認する。あ、今日夢見たな、と改めて思い起こそうとすると、これまでの人生で会ったことのない人物を思い出す。忘れていた気がするけど、こんな人そもそもいたっけ。
懐かしくも、最初から居なかったであろうその人を、当たり前に居た人物として守りたい。思い出す感触と共に現れたその人と、一緒に改札を抜けたあの時を思い出してみる。私はICカードのタッチがうまく行われたか気にしながら通過するから、改札を抜ける時には視線が後方へ引っかかっるようにして通過する。すると、視界に後続のその人が入り込んでくる。1人で通過する時よりも少し長めに視線が後方へ伸びる。その人も無事に通過出来た時に初めて身体が改札と切り離される。あの時は、そのまま駅の出口に向かって歩いた。後ろから着いてきているか分からない時は、少し離れたところで立ち止まって振り返る。
この話を会社の同僚に話すと、「お前、危ないぞそれわ。もしその"何か"が先に改札を抜けていたら後を追うなよ?連れて行かれるぞ。」と言われた。どうやら、昼と夜の間にある夕方に幽霊が現れるように、夢と現実のあやふやな時間は異界と現実世界の境界が曖昧になるらしい。どうでもよかった
夢のその人と改札を抜けたことは今でも思い出せる。あまりにもスムーズだったから顔を目視しし忘れて、その人の顔はすっかり思い出せない。