支那事変解決
支那事変解決
1944年12月に日本軍は大陸打通作戦を終え、占領地を広げていたが、その維持に苦慮する事になっていた。
そこへ、硫黄島謎の地下空間から技能を取得しに行っていた兵士達が戻り、精密な砲爆撃が可能になった。
特に精密な爆撃は重宝され、中国軍の要所を的確に破壊していった。
技能持ちの更なる増員がかなえば、支那事変を終わらせる事が出来るかもしれないと期待された。
硫黄島の戦いが終わり、謎の地下空間の探索が再開した。
守備隊外の兵士も大勢訪れ、技能を取得していった。
また硫黄島の防衛に成功し、当分の間は米軍の上陸作戦が無いと見られた事から、守備隊は大いに労をねぎらわれ休息を許された。
元特攻隊員達は再び最深部の探索に戻り、程なく16層に到達する事になる。16層は平原だった。
16層では、2足歩行の大きな豚のような生物が現れた。
その豚頭は武器を操り、人狼程素早くは無いが膂力はあり、その身体は弾力があって打撃に強く、斬撃や刺突も効果が薄かった。
豚頭を倒すには、魔法を使うか急所を狙うしかなかった。
火魔法で攻撃したところ、非常に香ばしい匂いがして食欲を刺激された。
豚頭を討伐した後、鑑定するまでもなく食えると確信し味見をしてみると、大変美味である事が判明。鑑定結果はもちろん食用可能だった。
豚頭の美味さに触発された兵士達は、16層を目指し探索を進めていくことになった。
素早い人狼が厄介ではあったが、食への熱意が勝った。
豚頭からは回復薬は出なかったが、肉が美味過ぎたため気にならなかった。
鹵獲された武器は、性能は大鬼の武器より上だったため活用されていく事になる。
17層、大豚頭。18層、猪頭。19層、大猪頭。20層、黒豚頭と現れていき、徐々に強くもなっていったが美味くもなっていった。
21層では牛頭が現れ、人狼は出るも豚頭は出てこなくなった。
そしてやはり草原だった事から、牧場なのではと揶揄される事になる。
1945年3月。この頃、大量に討伐される大鬼の皮を使い、なめし革を作り軍服が作られていた。
さすがに12.7mm機関砲は貫通したが、小銃弾や榴弾の破片から兵士を守る事ができた。
一般兵がこれを着用すれば、それだけで戦力強化といえたが、さすがに供給が追いつかなかった。
大鬼革の軍服はともかく、技能を取得した兵達は続々と前線へ送られていった。
特に大陸での支那事変解決のため、陸軍兵は優先的に技能が取得された。
同3月、マリアナ諸島の米軍による、大規模な東京空襲が実行された。
しかし、硫黄島の索敵がこれを捉え、万全の体制で迎え撃ち撃退した。
技能持ちが乗る、二式複座戦闘機屠龍が相当数投入され活躍した。
大陸では、1945年4月になる頃には必勝の型が出来上がっていた。
まず、百式司令部偵察機に索敵技能持ちが乗り、詳細に偵察を行い敵情を把握。
詳細な情報を元に、空襲で中国軍の前線司令部や要所を正確に破壊。
必中の狙撃により現場指揮官を退場させ、命令系統が混乱しているところを攻撃し潰走させるというものだった。
兵站は輜重の技能持ちが担い、どんどん前線を押し上げ、重慶を包囲するまでにいたった。
あまりに早い進軍のため、通常の兵站は追いつく事が出来ず、輜重技能持ちを三式指揮連絡機に乗せて往復させる事で補給を行った。
そのまま中華民国を降伏させるかと思いきや、講和する事になる。
折りしも、ソ連が日ソ中立条約を延長しないと通達してきたため、中国大陸を占領する余裕が無かったというのもあるが、妙な噂話も原因だった。
日本が占領した地域において、まことしやかに語られていたのが、「中国は日本に占領され、新しい国家が誕生する。その国家は大東亜共栄圏に組み込まれる。つまり、大東亜共栄圏は中華になり、東アジア・東南アジアは中華になる。よって日本も中華になるのだ
」というものだった。
事実、将校の取り込みが始まっており、接待を受けた者達が多くいた。
中国を占領し取り込むことの恐ろしさを、まざまざと見せ付けられる事になった。
中華民国は存続させ、日本の要求を呑んではもらうが譲歩も行い、講和にいたったのだった。
ソ連が中立条約の延長をしないと通達して来た事から、満州の備えを整える必要に迫られた。
日本は中国と講和後、速やかに軍を引き上げていった。
これで長年続いた支那事変が、ようやく片付いたのであった。
日本が戦争をしていた根本的な原因が解決した事から、米英との講和を本格的に模索していく事になった。
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元や清のような征服王朝は、中国に飲み込まれていったと思います。日本がもし中国を占領していたら、支那事変とは違った沼にはまっていたかもしれませんね。