潜水艦の活躍
潜水艦の活躍
高射砲で試されていた、索敵・命中技能の試みは、最終微調整と発砲操作を技能持ちが行えば命中した。
高射砲なので敵機に直接命中させる必要はないのだが、技能の特性上高射砲弾は命中した。
かといって技能持ちが最終微調整を行わなければ、通常の高射砲の性能と変わらなかった。
この事から潜水艦においても、最終的な微調整と発射操作を技能持ちが行えば、必中の長距離雷撃が行えると考えられ試された。
結果は高射砲と同じで、必中。
逆に、目標の正確な未来位置が分かっていたとしても、技能持ちが最終微調整と発射操作を行わなければ通常雷撃と変わらなかった。
つまり手順としては、技能持ちが索敵結果を詳細に報告し、それを元に艦長が攻撃方法を選択。
攻撃方法に従い数値を出し、攻撃位置に艦を移動。
索敵技能により目標に変化が無ければ、数値を元に魚雷を調整。
魚雷発射命令後、技能持ちが最終微調整と発射操作を行う。
という流れになった。
酸素魚雷の最大射程での雷撃も命中できたが、到達するまでに目標の予想外の変針や速度の増減が起こる可能性があり、実戦で行うには現実的ではなかった。
1945年1月。索敵・命中の技能持ちを乗せた潜水艦隊は、フィリピン方面に展開した。
目標は米空母である。
索敵技能で艦の形状は把握できるので、確実に仕留める事になった。
索敵の技能により、潜航中でも上空の航空機の有無がわかり、米対潜哨戒機をかわしつつ速やかにフィリピン方面へ展開。
ルソン島を攻撃している、米機動部隊を捜索した。
フィリピン近海に展開していた米機動部隊を捕捉後、潜水艦隊による一斉雷撃が行われた。
潜望鏡を上げず潜航したまま発射された酸素魚雷は、直前まで米艦隊に発見される事なく突き進み、狙い通り米空母に命中していった。
雷撃により一挙に空母を失った米艦隊は、爆雷を無秩序に放ち混乱していた。
襲撃した潜水艦隊は、通常の雷撃距離からすると遠距離から発射しており、米艦隊に察知される事なく一旦距離をとった。
空母を失い航空戦力の低下した米艦隊に対し、台湾を出撃した一式陸攻による桜花の攻撃が行われた。
とはいえ、まだ索敵・命中技能持ちの搭乗員は少なく、一式陸攻の数は多くは無かった。
零戦がどうにか米直掩機から一式陸攻を護衛し、射程に入った艦に向け選り好みはせず桜花を発射。
一式陸攻はすぐに引き上げ、戦果は索敵の技能で確認する事になった。
故障した桜花以外は命中し、複数の駆逐艦を大破または撃沈した。
特攻兵器として製造されたものを改造しているので、見た目がそのままで、米海軍は特攻兵器を使われたと誤認。
空母を沈めた魚雷も、新型の特攻兵器なのではと誤解された。
桜花の攻撃が戦果を上げた事から、反復攻撃が可能な限り行われた。
また、潜水艦も再び襲撃し、今度は戦艦に多数の魚雷を命中させ、撃沈する事に成功した。
潜水艦と技能の組み合わせは、とてつもない戦果をもたらした。
桜花に関しては、護衛の戦闘機に技能持ちがまだ少なく、大物を狙う余裕が無かった。
技能を活用した攻撃は米輸送船団にも移り、徐々に補給を滞らせていき、1945年1月半ばにはフィリピンの米陸軍は孤立する事になった。
孤立した米陸軍を救うための増援と補給の船団は、技能持ちの乗った潜水艦が中心となって、ことごとく沈めていた。
技能持ちの乗る潜水艦が護衛の艦艇を沈め、通常の潜水艦が輸送船を沈めるといった分担を行い、技能持ちが乗る潜水艦が少なくても戦果を上げていった。
命中・索敵技能持ちが乗る潜水艦は、徐々に増えてはいるのだが、活躍の場が多すぎてまだまだ数が足りなかった。
1月後半にスマトラ島でイギリス軍による攻撃を受ける事になったが、通信解析から察知しており、技能持ちを乗せた潜水艦隊が派遣され、イギリス艦隊を撃退している。
パレンバンの製油所に被害を出しながらも、潜水艦隊は英機動部隊を捜索、再度パレンバン攻撃のため補給中の英艦隊を発見。
英空母に向け、一斉雷撃を行い撃沈。さらに戦艦にも攻撃を加え、これも撃沈している。
Uボートと戦い続けていたイギリス海軍だったが、日本の謎の命中力を発揮する遠距離からの酸素魚雷攻撃には、Uボート戦の戦訓が通用せず抗う事ができなかったようだ。
日本では度重なる潜水艦の大戦果に、急ぎ全ての潜水艦に技能持ちを乗せるべきだとの結論に至り、最優先事項となった。
索敵・命中技能持ちの乗った潜水艦は、潜望鏡を上げる必要が無く、敵哨戒機を潜航したままやり過ごせ、索敵で安全確認ができるので悠々浮上航行ができた。
さらに潜航中の敵潜水艦も撃沈可能であり、雷撃は今までより遠距離から行うため爆雷で沈められる危険も減っており、攻撃力と生存率が極めて高くなったのである。
ちなみに、特攻の必要性がなくなったため、特攻隊員や特攻兵器乗りは原隊に復帰する事になった。
しかし、やり場のない思いを抱えた者達が多く、そんな者達は硫黄島謎の地下空間へと送られた。
位階を上げ技能を取得し身体能力を向上させ、来るべき時のために備えるよう命じられた。
来たるべき時とは、マリアナ奪還作戦の事を指した。
それは方便ではあったが、元特攻隊員たちに使命を与える事で生きる目標を持たせた。
軍としては謎の地下空間で、兵士がどこまで強くなるのかという興味もあったのだった。
お読みいただきありがとうございます。
評価・リアクション嬉しいです。ありがとうございます。
どこの後世世界日本の潜水艦だよ!と言いたくなる潜水艦の戦果でしたw
桜花は一式陸攻が打たれ弱いため、なかなか思うように活躍できないです。
台湾は空襲は受けていましたが、技能持ちによる迎撃も増えていました。索敵で空襲を察知できるので、空中退避などしていたかもしれません。




