重要度が増していく硫黄島
重要度が増していく硫黄島
1944年12月半ば、硫黄島の謎の地下空間は6層に達し、石碑を発見する。
意味ありげであったため、すぐに鑑定の技能持ちに鑑定させたところ、石碑に手を触れると1層の入り口へと繋がるとの事だった。
意味が分からないが、謎空間だから仕方がないとして、その場の責任者が実際に試してみる事にした。
あっさりと、1層の入り口近くの壁の前に出る事になった。
その何の変哲もない壁に触れると、また石碑の前に戻れた。
再び1層に戻り、その入り口近くの壁を鑑定したところ、石碑と繋がる出入り口だと分かった。
ただし、出入りできるのは6層の石碑に触れた事のある者だけであった。
これまで謎空間の壁を鑑定したことは無く、こんな物が隠されていたとは予想だにしていなかった。
そしてこれを機に、1層から5層までの壁を鑑定で調査する事が決まった。
調査の結果、驚愕の事実が判明した。
各種鉱物資源の宝庫だったのである。
純度の高い鉄鉱石を始め、戦略資源が眠っていたのである。
宝石も埋蔵されており、不足していた工業用ダイヤモンドが産出した。
硫黄島の謎空間は鉱山としての重要度も加わった事で、硫黄島は最重要拠点となった。
ますます米軍の手に硫黄島が渡るわけにはいかなくなったのである。
6層で新たに現れた生物は、小鬼だった。
小鬼といっても身長が140cm程度なだけで、角が生え筋骨隆々としており、やはり好戦的で兵士を見ると襲い掛かってきた。
小鬼は武器を操り、複数で戦闘を仕掛けてくる事もあった。
小鬼が持つ武器は、棍棒、小型剣、短槍、弓、杖であり、杖を持った小鬼は火を飛ばしてきた。火魔法と思われる。
治癒魔法があるのなら、それ以外の魔法もあるだろうとは予想されていた。
それがついに現れたのである。
しかし、それは大した脅威ではなく、簡単にかわす事が出来た。
小鬼が持つ技能が少なく、技能の段階が低いのだろうと考えられた。
飛んでくる火の速度がもっと早ければ、そして大きければ脅威度は上がっていた事だろう。
複数の小鬼と交戦する場合、弓や火魔法は邪魔であるため、優先して討伐していった。
ちなみに小鬼は食えないと鑑定された。
硫黄島の師団司令部では、これ以降の階層の探索が必要か議論が起きた。
現状で、十分有用な技能や食料が手に入る事から、さらなる探索に懐疑的な意見が出てきた。
そんな折、中級回復薬が手に入ったのである。
小鬼を多数討伐していた際、出現したと報告された。
骨折や深い傷等を癒せる回復薬で、軍にとって非常に有用な薬といえた。
空襲で負傷していた兵士で試したところ、見事に骨折が治癒された。
しかし、6層ではその入手は困難と判断された。
それは、低級回復薬の出現頻度から予測できた。
最初、角兎から出た低級回復薬だが、角兎からはほとんど出ず、大猪、大牛、大熊と順に、薬の出現頻度は増していった。
よって、中級回復薬も階層が進むにしたがって出現頻度が増すと考えられた。
これにより、さらなる階層探索が決定した。
6層では銃剣で戦うよりも、小鬼から鹵獲した武器で戦うほうが効率が良いと判明した。
見てくれは悪いが、性能は銃剣よりも良かった。
杖に関しては弱かった。
しかし、杖でどうにか討伐を続けたところ、火魔法の技能を取得できた。
武器を得た事で狩りの効率が上がり、1から5層は主に鉱山として、6層は狩りの場となっていき、程なく7層への通路が見つかった。
7層では、小鬼の指揮を執る少し大きな小鬼が出てきた。
150cm程で小鬼達を統率し、小鬼よりも強かった。
持っている武器も、少し長めだった。
この頃の硫黄島は、守備隊以外の兵士が多数来訪しており、謎の地下空間で技能取得に励んでいた。
短期間で目標に達するため、最適な手順が見出され、効率よく技能を取得し位階を上げる事が出来るようになっていた。
地下陣地構築作業や訓練にも参加せず、ひたすら技能取得を目指し、目標に達したら原隊に復帰していった。
硫黄島外の兵士で技能持ちが徐々に増えていき、技能の活用が増えていくと共に、日本の損害が減っていいく事になった。
お読みいただきありがとうございます。評価してくださりありがとうございます。
小鬼はおなじみゴブリンですw少し大きいのはゴブリンリーダーでしょうか。