日本軍の対潜・対空戦闘力の向上
日本軍の対潜・対空戦闘力の向上
1944年11月になり、硫黄島謎の地下空間で得られる技能について、おおよそだが判明してきた。
技能は、分かっているだけで5段階まで上がる。
技能の段階は、位階が上がると共に上がる。
位階が上がる時に、複数の技能を得る事もある。
5段階目になった技能は、極めて有用である。
技能を連続で使うと、疲労困憊となり使用不能となるが、休憩を挟めば問題なく使い続けられる。
位階が上がるにつれ、技能連続使用による疲労困憊までの時間が延びる。
軍として重要とみなした技能は、命中と索敵であった。
命中を5段階まで上げると、索敵と連動して射撃が可能であり、動く目標も見越し射撃で必ず命中した。
回避運動をする目標にも、予測できる範囲の回避運動であれば命中させられた。
当然だが、遮蔽物が無く射程内でなければ意味は無いが。
索敵を5段階目まで上げると、索敵範囲を絞る事で索敵距離を伸ばす事ができた。
単純に自身を中心に球形の範囲が広がる索敵が基本にあり、そこから様々な形に変えられた。
超広範囲を索敵する場合は、扇状または扇を閉じた状態のような形で、厚みはごく薄くした効果範囲を、自身を中心にぐるりと回転せせたり往復させることで電探以上の索敵範囲を実現した。
地形や人工物も大まかに認識でき、意識を集中させるとある程度の形状が把握できた。
地中や水中も索敵できることが分かり、対潜哨戒に利用できる事がわかった。
海軍は、索敵の技能さえあれば米潜水艦の跳梁を防げるとし、索敵の技能を取得させる事に注力した。
索敵の技能持ちが対潜哨戒機に乗っているだけで、米潜水艦に逃げ場はないといえた。見つければ確殺である。
陸軍は、命中と索敵の技能を優先的に取得させ、さしあたって対空戦闘に活用していった。
電探よりも遠くの敵機を感知し、迎撃機で逸早く対応できた。
迎撃機に乗る操縦者が命中の技能持ちであれば、撃墜率が跳ね上がる事になった。
高射砲は、技能持ち一人で操作は困難なため、技能持ちとの組み合わせはいまいちだった。要検討となった。
対して高射機関砲は、単装であれば技能持ち一人で操作でき、高い位階の身体能力と命中・索敵の技能で、射程内に入った敵機を撃ち落していった。
硫黄島の飛行場に、隠蔽された掩体壕が作られていき、一式戦闘機隼や二式単座戦闘機鍾馗などが操縦者・整備班と共に配備された。
硫黄島の防空戦闘力は上がっており、米軍の空襲を撃退とまではいかないまでも、相当な損害は与えていた。
これら航空戦力は、米軍の上陸作戦前には引き上げる予定になっていた。
飛行場の損害は、高い身体能力を持って人力ではありえない速度で修復していった。
これにより、輸送機による輜重技能持ちの移動や、技能取得を目的とした兵士の移動が問題なく行えた。
マリアナ諸島を占領した米軍は、B29による帝都空襲を開始した。
しかし、硫黄島の索敵技能に見つかり、多数の迎撃機に迎え撃たれることになった。
B29迎撃には、主に二式複座戦闘機屠龍が活躍した。
37mm機関砲ホ203を装備し、命中の技能を持った操縦者が操る屠龍は、相対速度が早く短い射撃機会にもかかわらず、次々と命中弾を与えB29を撃墜していった。
日本軍は、硫黄島を通るB29の帝都空襲は、ほぼ確実に撃退に成功していく事になる。
海軍はこの頃になると、日本近海から米潜水艦を駆逐する事に成功していた。
後は、南方からの資源輸送の確保と、機動部隊の建て直しが課題だった。
そのために、命中の技能持ちも増やしていく事になった。
1944年12月。硫黄島の謎の地下空間は、5層まで探索されていた。
4層からは巨大な牛が出現し、5層では、巨大な熊が現れた。
牛は美味しくいただかれ、熊も意外といけると食されていった。
ただし、通常の牛や熊の倍の大きさがあるため、相応に苦労する事にはなる。
5層まで来て分かった事は、技能は地下空間において最低限必要なものなのではないかという事だった。
身体能力の向上だけでは、とても大熊には勝てそうになかった。
そして、謎の地下空間はまだまだ奥深くまで続いていた。
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