表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/76

4-24 二人目の訪問者


 淳一は、ドタドタを廊下を歩いて、父、浩一郎の書斎のドアをドンドンと大きく叩いた。


 浩一郎は、小さくため息をついて、

「はい、いいぞ」と返事をするとすぐに、淳一が入って来た。


「どうしたんだ、そんなに慌て」 


「父さんに至急の相談がある」


「至急、至急って何があったんだ」


 淳一が先程のことを話しだした。

「実は、今ベッドで寝ようとしたら、自分の意思に反して幽体離脱し、浴衣を着た爺さんと取っ組み合いのケンカをした。

 そして気が付いたら、よく知らない印を結び真言を唱えて、その爺さんと離れられたんだ。

 そして、首から上のない如来様が目の前に座っていて、そう思ったとたんに目が覚めたんだ。

 それに、ベッドで目が覚めた時、印を結んで真言を唱えてたんだ。


 もう、勝手に幽体離脱したり、変なものと喧嘩したりして、おまけに如来像は現れるはで、おちおち安心して寝れないよ。

 もう今は、あの部屋がなんだか怖いよ。

 冗談抜きで、寝るのが怖いよ。

 父さん、何とかして。

何かいい方法ない」


浩一郎は、詳細を聞いた、

「う〜ん、そうかぁ。

 印と真言は、どんなものだった。

覚えているか。

 もう一度、ここでやってみなさい」


淳一は、両手と色々と組みながら、うまくいかないみたいで、とうとう印を組むのを諦めた。

 先程、唱えていた真言をもう一度口ずさもうと、色々とブツブツ言っていたが、これももう忘れたみたいで、言うのを諦めた。


 淳一は、泣きそうに、

「父さん、ゼンゼン印も真言もダメだ」


それに対して、浩一郎は、

「分かった。

部屋が怖いか、

寝るのが怖いか、

その恐怖を何とかしたいか、

対処方法を知りたいんだな」


 神にもすがるように、淳一は、

「そうだよ、父さん。

 まだ、少し息切れして膝がガクガクしてるよ。

 何とか、助けて。

 助けて下さい。

 お願い」


 浩一郎は、冷静に、

「そう言う時の対処方法は、以前にも話したと思うが、


 まず、第一にその恐怖に囚われないことだ。


 せいぜい、自分をメタ認知して自分が怖がっているくらいかな。

 本当は、それでも囚われているから、それも無くならないといけない。


 そんなこと言っても、それが出来そうにないようなら、

第二に臍下丹田に集中して、ゆっくり腹式呼吸することだ。

 なかなか出来ないようなら、ヘソの下に手のひらを当てて、それを感じながら腹式呼吸をする。

 手が上下するのに意識を集中する。


 それでも、何か現れて難しいようなら、

第三段階として、自分でなく"父さんの所へ行け"と強く念じるのだ。

 それがなかなか出来ないようなら、声に出して叫べ。

 繰り返し繰り返し、出来るだけ大声でだ。


 それでもダメで助けが欲しいなら、

第4段階として、ご先祖様に助けを乞うのだ。

 ただ、ご先祖様と言っても漠然とするから、淳一のよく知ってて亡くなった人、父さんや母さんの両親はもう鬼籍に入っているから、この4人のうち淳一が一番好きだった人、もしくは頼りにしていた人、そう言われて頭に思い浮かんだ人に、


"おじいちゃん、助けて"

もしくは、

"おばあちゃん、助けて"と、

 助けを願え。


 きっと、お前のおじいちゃんか、おばあちゃんは助けてくれる。

 心配いらない。


 まあ、出来たら一人で第一段階か第二段階で解決できることを、父さんは祈ってるがな」


不安そうに、淳一が、

「父さんの所へ行けっていって、いいの。

父さんは大丈夫なの」


自信あるように、浩一郎は、

「あ〜ぁ、大丈夫だ。

いつ何時、父さんの所に来ても大丈夫だ。

心配はいらない」


ふぅっと一息ついた、淳一は、

「分かった。

でも、なぜじいちゃんか、ばあちゃんに助けを乞うの。

 助けてもらうなら、どこかの神様か仏様の方が、じいちゃん達より強いんじゃない」


「そんなことはない。

顔もよく知らない、縁もゆかりもない神様や仏様より、小さい頃から可愛がってもらって、一緒に遊んだり、世話をしてもらったじいちゃん達の方が、よっぽど淳一の力になってくれる。

これは、大切なことだよ。


 一般的に、

神社仏閣に行って、無闇にお願い事や助けをもとめるもんじゃない。


 神様や仏様によっては、願えを叶えたら、見返りを取る神様や仏様がいる。

 見返りを求める神様か仏様か、

見返りを求めない神様か仏様か、

見極めがつかないだろう。

 だからな。

それに、淳一ならじいちゃんやばあちゃんで十分だよ。


 分かったか、かな」


淳一は、

「うん、分かった。

 今、父さんが以前言ってた


 とらわれないってことの意味が、なんとなく。


 出来るかどうか分からないが、

順を踏んでやってみる」


「そうか、いい子だ。

 淳一なら絶対できる。

 だから、父さんは心配してない。

 心配ない」


 疑問に思って、淳一が、

「なぜ、父さんは僕が絶対できると思うの」


 それに浩一郎が答えた。

「そんなことも、分からないのか。

 それは、父さんと母さんの間に生まれ子供だからだよ。

 何を今更ながら、そよな迷いがあるんだ」


 淳一は、それを聞いて、ハァっと息を吐いき肩を落として脱力して一言、

「分かったよ」と。


 浩一郎は、淳一に

「もう遅いから、おやすみ」と。


 淳一は、

「父さん、ありがと。

おやすみなさい」


 淳一は、そっと父浩一郎の書斎のドアを閉めて、自室へ戻っていった。


 浩一郎は、頭を掻きながら、頭を後ろへ倒し、腕を組んで考え込んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ