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4-19 宿題の解答方法


 浩一郎が、

「う〜ん、その結論はあまり良くないなぁ〜。

 自分の性格にある不具合なところ、自分は楽しくない、あるいは、するのに抵抗があることで、相手は楽しいこと。

 これは、一般的にみれば、自分の性格の良くないところかな」


 貴子がクビをひねりながら、

「なら、楽しいって何。

楽しい意味は、色々あるわ」


浩一郎は、言い替えて、

「そうだな〜、確かに色々ある。

 なら、楽しいってことは、嬉しいことかな。

 相手が喜んだり、感謝することかな」


それを理解した貴子は、

「それなら、だいぶ良く分かるわ。

 相手から感謝される、要はありがとうって言われることね。


 自分がしたことで、相手にありがとうって言われたら、もちろん、自分も嬉しいし楽しいわね。


そんなの簡単だわ」


 意地悪を言うように、浩一郎は、

「ただ、それが普段からイヤな相手でも出来るか。

 何となく馬が合わない人でも」


 困ってしまった貴子は、

「う〜ん、そう言われると…… 」


 浩一郎は、それに応えて、

「イヤな人とか、馬が合わない人は、おうおうにして、自分の対応にも問題があるケースもある。

 そう言うところを出来るだけ治すことが、産まれてきた理由かな」


 淳一が腑に落ちないように、

「そんなこと、あの世の村でも出来るんじゃないかなぁ」


 浩一郎が諭すように、

「それが、なかなか難しいんだ。

村には、同じような人ばかりだからな。

 村には、馬が合わないような人は居ないような気がするな。

 もちろん、他の村に行くと言う方法もあると思うが、それで解決するなら、もうその方法を試している可能性もあるが、それでもダメなんだろな。

 しかし、この世は様々な人がいる。

 だから、自分の宿題をこなすケース、チャンスが沢山あると言うことだな」


 淳一が納得したように、

「なるほどね〜」


 浩一郎は、続けて、

「自分がありがとうって言うことは、簡単なことだが。

 しかし、周りの人から"ありがとう"って言われることは、難しい」


 貴子が同意して、

「そうだよね〜、それはなかなか難しいし、大変だわ」


 浩一郎が、

「しかし、誰にでも出来て、しかも周りから、いや相手からもありがとうって、言われる。

 もしくは相手の気持ちを和ませる。

そして、自分も嬉しくなる簡単な方法がある」


 貴子が驚いて、

「えっ、そんな誰にでも出来きて簡単な方法があるの」


 浩一郎は、

「そうだ、その方法は簡単で、基本的には誰でも出来るけど、

いや、実際は誰でも出来ないかな」


「それ、僕でも出来るの。

 貴子姉ちゃんも」


 じらすように、浩一郎は、

「そうだ。

 すること自身は簡単だ、けれど、いつもすることは難しい」


 貴子が、

「ならそんな、もったいぶらないで、教えてよ」


「仏教用語では、和顔施 と言う。

 これは、笑顔を施すと言うことだ。

 相手に笑顔で接するでもいいかな。

 笑顔で相手に接したら、相手もいい気分になるだろう。


 例えば、病気で苦しんでいる人に、笑顔で優しく言葉をかけたり接したらその人はホッとしたりするだろう。

 笑顔で人に挨拶したりすれば、その人もいい気分になり、挨拶を返したり、状況によってはありがたい気分になるだろう。

 それが、和顔施だ。

 この笑顔で接するっと言う行為自身は、簡単なことである。

 しかも誰でも出来る。

 最低限、いつも笑顔であればよい。

 しかし、実際にはこれが難しく、なかなか出来ない。

第一、自分の機嫌が悪かったら、笑顔なんか出来んだろう。

 だから、簡単に誰でも出来るが、実際には誰でもできないことになる。


 これを常に出来るように心掛ける。

 出来なかった時は、反省して、出来るように努力する。

 この繰り返しを通して、いつも出来るように、性格を出来るだけ治す。

 ならば、自分の宿題にとらわれないで、最終的に宿題を解決することが出来る一般的な方法である。


 本来の宿題は、個人によって異なり、それを特定するのが難しく、また、解決するのも難しい。

 そう言う人にとっては、この和顔施は一般的で誰でも、その気になったら出来ることである」


「う〜ん、そっちも難しそうだなぁ〜。

 そんなの実際に、出来る人いるのかなぁ〜。

 姉ちゃん、出来る」


「何だか、私も出来そうにないわ」


 浩一郎が、

「何を言っておる、目の前にそんな人がいるではないか」


 淳一が、

「それって、今、目の前って父さんのこと。

 な〜にを、父さん言ってるの」


貴子が、

「そうよ、淳一の言う通りだわ。父さんはいつも難しそうな顔をしてるクセに」


 浩一郎が。

「お前達、何を言ってるんだ。

父さんのことじゃない。

 いつも、今も、目の前にいるだろう」


 貴子が、何っと思い、

「えっ」


 淳一が、やっと気づいて、

「あっ、母さんだ。

 母さんは、いつもニコニコしてる、確かに」


 それを聞いて、浩一郎は、

「母さんも人間だ、だから、たまには笑顔でない時もある。

 しかし、たいてい笑顔だろう。


 今回の洋子の時も、笑顔で接して、優しい言葉をかけていただろう。

 お前達は、そう出来たか」


 淳一は、

「そう言えば、出来てないなぁ〜」


 貴子も、

「そうね、私だって、心配そうな顔をしてたと思うわね」


 礼子が、恥ずかしそうに、

「なに言ってるんですか、三人とも。

 母さんは、いつものようにしてるだけですよ」


 浩一郎が、

「なっ、言っただろう。

 母さんは、自然に出来てるんだ。

 そして、洋子は母さんの笑顔と優しさに励まされた。

 洋子はきっと、嬉しくもありありがたかったことでもあると思うぞ。

 二人とも、母さんをもっと見習うことだな」


 顔を赤くした礼子が、

「あなた、なにを言ってるんですか。

 そんなに、子供達の前で誉めて、照れるじゃないですか」

 それは、三人の注目をあびた礼子の恥ずかしながらの発言であった。

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