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4-6 なぜ、美味しい食事が


 一夜明け、また通常の洋子の入院生活となった。


 3時過ぎに、母の礼子とカウセラーの裕子が病室に入って来た。

 礼子はカウンセリングが始まると思い、出て行こうとしたが、洋子がそれをとめ、同席を願い、病室は三人となった。


 礼子は、裕子によるカウンセリングが始まると思いきあ、口火を切ったのは洋子で、もっぱら礼子と裕子は、昨日の話しを聞くことになった。


 洋子が、昨日の一連の三途の川までの様子を話して、そして、裕子が同じものを見たかの確認をとった。

 その結果、少なくとも二人は同じものを見たことが分かった。


 洋子が、

「裕子お姉さんは戻って来た後、何か体調に変化がありませんでしたか」


 裕子がそれに答えるように、

「それはあまり感じなかったけど、ここから出て廊下を歩いている時に、何だかまだフワフワ浮いているような感じがして、まだあっちの世界に半分いるような気がしたわ。

 洋子ちゃんは」


 洋子がそれに応じて、

「私は歩いてないせいか、それはよく分かりませんが、食事のあと一人になった時、こっちの世界にいるって実感したので、帰って来た直後は、まだあっちの世界の影を引きずっていたと思いました」


 洋子が、

「母さんは、私達が戻ってきた時、何か感じなかった」


 礼子が二人が戻って来た時の感じを、説明しだした。

「母さんは、二人が戻って来たらすぐに、二人がちょっとうつろで、ボーッとしていることに気付いたわ。

 だから、裕子ちゃんをこのまま一人で居させることに、何だか心配になって、父さんの強引な誘いに反対しなかったわ。

 それに、よく昔話なんかにあるでしょう。

 その世界のものを食べたら、元の世界に戻れないって。

 だから、ちょっと違うけど、今のこの世界のものを食べれば、シャンとするかなって思ったわ。

 それは、父さんもそう感じて、考えて、裕子ちゃんをなかば強引に食事に誘っていると思った。

 裕子ちゃんのフラフラ浮いている感じは、食事の後には、もうなかったんじゃないかしら」


 裕子がそれに応えて、

「そうですね、食事後はそんなことをサッパリサッパリ忘れてましたね。

 あ〜、美味しかったなぁ〜、てっ思いがいっぱいで、フワフワ感はなんか感じることも、そんな余裕もなかったと思います。

 ただ、なぜか非常に疲れていることに気付きました」


 洋子が同調することように、

「そう、それよ。

 私もなぜかとっても疲れてたのよね」


 礼子が二人に対して、

「あなた方二人は、初めての異世界旅行で、ズーと緊張していたようね。

 だから、戻って来ても、まだ緊張覚めやらずで、フワフワしていてまだあっちの世界の思いや緊張があったのではないかな。

 それに、初めての異世界旅行の経験だから、疲れてて当然よ」


 洋子が、礼子に応じて、

「なら、母さん、異世界から帰ってきた時は、毎回何か美味しいものお腹一杯食べないといけないの」 


 礼子が、今の話しまとめ、大切な話題に話しを切り替えた。

「そうね、もし本当に毎回そうすると、気が付いたら、洋服は全部買い直しね。

 洋子ちゃんは、父さんが一番最初に話したこと覚えてる」


 まず洋子が、

「えぇっ、一番最初の話しって」


 こんどは、裕子が、

「ひょっとして、礼子おばさん、

何があっても、それにとらわれないこと、ってことですか。

 確か一番大切なことって、篠田先生はおっしゃってましたね〜」


 洋子も思い出して、

「そう言えば、父さんそんなこと言ってたね〜。

 な〜んだ、そんなこと簡単じゃないって思ったわね」


 礼子が二人に対して、

「それで、今回帰って来て、二人ともどうだった」


 始めに洋子が、

「そんなこと、思いもつかないし、キレイに忘れてわ」


 次に裕子が、

「私も、それに気付きませんでしたわ。

 ひょっとして、それは日常いつも、常日頃そうでないといけないって、ことですかね〜」


 礼子が念をおすように、

「私は、お父さんの言ったことは、裕子ちゃんと同じように思ったわね。

 でないと、いつ変なものが見えたり、変な経験するか、分からないでしょ。

 まぁ、今回は意識して、異世界に行ったんだけどね。


 二人とも、戻った直後はまだ異世界の思いが残ってて、その思いにとらわれてフラフかラなんかして、いつもと調子が違っていたんじゃないかしら。


 それに、とらわれないってことは、日常生活を送る上でとても大切なことだと思うのよね〜。


 何かにとらわれ過ぎると、大切なものを見逃したり、気付かなかったりするんじゃないかしらね〜」


 同意するよう

、裕子が、

「そうですね、とらわれ過ぎると重要なカードの手筋に気付きそうもありませんからね〜」


 こんどは、それを受けて礼子が、

「父さんは、何か変なものを見たりして、それに気がいった時、

え〜と、何だったかなぁ、

そうそう、

臍下丹田に気を向けて、腹式呼吸をすればいい、みたいなこと言ってたじゃない。

 だから、今回も、戻って何かおかしいなって気付いた時、それをやれば良かったんじゃない」


 洋子の疑問が、

「でも、母さん、今回父さんは、何か美味しいものを食べさせようとしたじゃない。

 お腹に気を向けて呼吸しろなんて、言わなかったのは、なぜかしら」


 洋子の疑問に、礼子の考えは、

「それは、あなた達がちょっと疲れ気味でボーっとしていたので、疲労回復の意味もあったのでは。

 それに、夕食の時間だったしね、初めての体験を無事に帰ってきたお祝いの意味もあったのではね。

 腹式呼吸をしないと行けないほどのことではないって、思ったのかもね。

 これからも二人で、また旅行に行くんでしょ。

 なら、あの腹式呼吸をちゃんとマスターするべきね」


 洋子が礼子に感心して、

「お母さん、すごーい。

なんで」


 礼子はお惚気をちょっと口に出で、

「伊達や水郷で、父さんと何十年も一緒に暮らしているわけじゃないわよ。

 そのくらいのこと、分かるわよ」


 そんな話しをしているところに、父の浩一郎がやって来た。

「おっ、皆んなそろってるな。」


 洋子が浩一郎に、

「あれ、淳一は、一緒じゃないの。

 淳一はどうしたの」


 浩一郎の考えは、

「淳一は、まだ授業が終わってないようだ。

 それに、もう二人には必要ないだろう」


 洋子は、納得するように、

「ふ〜ん、そうなんだ」


浩一郎は、二人に聞いた、

「それで、今日はどうするんだ。

 また、行くのか」


 洋子と礼子は、互いに顔を見合わせて頷いた。

 二人とも、三途の川の向こうがどうなっているのか、興味シンシンだったのだ。


 洋子の考えは、

「うん、私も裕子お姉さんもまた一緒に、今から行きたいなと思う。

 裕子お姉さんもそうでしょう」


 裕子が、洋子の考えに同意して、

「はい、私も是非、今からでも一緒に参りたいと思ってます。」


 浩一郎が、二人の同意を得て、

「よし、分かった、じゃあ準備を始めよう」と。


 三人は、異世界旅行の準備を始め、礼子はそれを黙って見守っていた。

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