4-2 幽体離脱の仕方
浩一郎は、まず淳一に、
「淳一、そのマットを敷いて、
半跏趺坐、はんかふざを知ってるか、知ってるならやってみろ」
「そのぐらい、知ってるよ。
簡単簡単」
淳一は、病室の床にマットを敷いて、両足を重ねて座り、半跏趺坐をした。
「う〜む、なるほどな。
では、結跏趺坐、けっかふざはどうだ」
「えっへー、最近、やっと出来るようになったんだ」
淳一は、なんとか両足を両モモの上にのせて、座った。
浩一郎は、それを見て、
「なら、シャバアーサナ、しかばねのポーズ、は」
淳一はまた急に、なんだなんだと思いながら、マットの上で仰向けになった。
しばらくそれを見ていた浩一郎は、
「もういい分かった、ありがとう淳一」
淳一は、マットの上であぐらかいて、浩一郎の話しの続きを待った。
浩一郎は、説明を始めた。
「幽体離脱は、色々な姿勢で出来る。
極端な話し、歩いていても、立っていてもだ。
しかし、それらの姿勢では、長時間はムリだ。
となると、必然的に座るか寝るかだ。
座るには、椅子に座るか、今淳一がしたように、半跏趺坐か、結跏趺坐かだ。
それに座り方として、正座、あぐらなどがある。
長時間安定して座れるのは、
半跏趺坐か、
結跏趺坐だ。
ちなみに、今の淳一のなんとか出来た結跏趺坐は問題外として、半跏趺坐も一見キチンと座れているようだが、半跏趺坐になってない」
半跏趺坐には自信があった淳一は、少しムッとして、
「なんで、どこが出来てないんだよ。
左右の足を重ねて座るだけだろう、こんなの誰でも簡単に出来るじゃない」
「なら、淳一、半跏趺坐をして、腰から下が床と一体になり、まるで、上半身が床からはえているような感覚になったことあるか?」
淳一は、思い出そうと考えて、
「いいや、そんなことない。
そんなこと出来るの、そんな座り方があるの」
「あぁ、ちょっとしたコツと言うか、口伝みたいのがある。
その座り方が出来るようになったら、3〜4時間座っていても、足はシビレなくて、上半身が安定して座っていられる」
「へぇ〜、すごいや。
父さん、知ってるなら教えてよ」
「いや、興味があるなら、後で教えるよ。
今の淳一でも数週間、こっちの洋子と斉藤先生なら、もっとかかるだろう。
だから、もっとも簡単な方法を教えることにする。
だいたいの方法は、ヨーガをちょっとして、身体の集中と脱力の方法の感覚を覚える。
次に自律訓練法の第一段階をマスターする。
それから幽体離脱をする具体的な方法を教える。
そして、異次元世界、あの世に行くことになる」
浩一郎と淳一のやり取りを聞いていた洋子が、父の浩一郎に聞いた。
「父さん、ちょっ、ちょっと待って。
幽体離脱したら、また自分の肉体と離れて、自分の身体を見下ろしたり出来るんでしょ。
それは分かるけど、それからどうやって異次元世界に行くのよ」
「その心配はいらない、ちゃんと旅行の添乗員を頼むことにしてるから」
「あれ、父さんが案内してくれるんじゃないの」
「父さんは、旅行代理店の役目で、ツアーコンダクターは、添乗員に任せてる。心配しなくてもいいよ。
集合場所は、二人が幽体離脱したところだよ。
そこで待っていれば添乗員が来てくれるようになってるからね。
普通の旅行と同じだよ。
ただ、行く所がちょっと珍しい所かな」




