3-2 見える洋子の対処法
「色々なものが見える件は、
要するに腹式呼吸をして、見えないフリをすればいいんでしょ」
「そうだ、やっぱり洋子は優秀だな」
「でも、毎回毎回それをするのは面倒だなぁ」
「心配しなくても、その内に見えても
自然に無視できゆるようになるし、
それに自分が、見える状態か見えない状態かを意識的に切り替えることができるようになるよ。
その内に、慣れるよ」
「そんなものなの」
「そんなものだよ」
「なんとなく分かったわ。
でも、食事が怖くて摂れないことは、どうやったらいいの」
「これも今さっき話した腹式呼吸をすれば良いよ。たぶん、その内にそんなことしなくても、食べられるようになるよ。」
「分かったわ。
でもなぜ突然、飛び降りたり、変なものが見えたり、食事が怖くなったの。
飛び降りる理由なんか、心当たりないもん。
これからも、突然そんな変なことがあったら、困るし、怖いわ」
「斉藤先生の考えは、どうですか」
「そうですね〜。
まずは、十分に時間をかけて、カウンセリングをしたいですね〜。
その中で、ゲシュタルト療法やフォーカシングの要素を取り入れて、洋子ちゃんの過去や感情を探って、洋子ちゃん自身の気付きを下に、今後そのようなことがないようにしたいですね」
「そうですね。
それに関しては、宜しくお願いします。
ちなみに、洋子はあの花屋さんから、精神状態が変わったと思います。
洋子は、恐らくあの時から、見える世界が少し変わったのではと思ってます」
「それは、どう言うことですか」
「おそらく何かのキッカケで、あの花屋さんのところから、薄紫色のサングラスをかけているように見えたのではと思います」
「そんな〜。
洋子ちゃん、覚えている」
「覚えてないわ。
花屋さん辺りから記憶がないの。
歩道を歩いていたのは、覚えているけど……。
それに次に覚えているのは、今は自分を見下ろしていたこと。
それだけよ!」
「ショックで、覚えてないのもムリもないわ。
こんな話をするのは、もう少し時間が経って、落ち着いてからの方がいいわ」
と裕子が言うと。
「そうですよ。
あなたは、ちょっと急ぎ過ぎですよ。
ただでさえ、洋子はまだあちこちに打撲の痛みがある状態ですからね」
「ただね、洋子にその感覚が残っている内に、斉藤先生に合わせたかった。
その特殊な感覚がある内にね。
たぶん、もうその感覚はないと思うよ。
もう、変なものを見ないだろうし、
食事も自然に摂れると思う。
おそらく、今残っているのは、
突然、
飛び降りたこと、
変なものが見えたこと、
食事が摂れなくなったことが、
また、急に起こるのではないかと言う、恐怖感と不安感だろうね。
どう、洋子は。」
「そうね、少なくとも今は、変なものは見えないわ。
食事については、まだ分からないけど。」
「なぜ突然、色々なことが起こったかと、
今後のことについて、
斉藤先生にカウンセリングをしてもらうのが一つ。
それと、
さっきの死後の世界と輪廻転生から、洋子が産まれてきた目的が分かると言ったね。
その目的は、ある程度論理的に推察できる。
これに関しては、心理学の分野では分からないと思うから、その話をしたいと思う」
「あなた、今日はもう充分ではないかしら。
洋子も疲れているようだし。
それに斉藤先生、裕子さんも急に来て頂いてたから、他の用もあるだろうし」
その時、ドアを
コン、コン、と、たたく音がした。
洋子が
「ハイ、どうぞ」と言うと。
四人は、そろってドアの方を見た。




