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俺だけ✨宝箱✨で殴るダンジョン生活  作者: |◉〻◉)双葉鳴
勝ち取れ、仲間の蘇生と友の信頼!
24/24

金の鍵を得るまで帰れま10! その6

 結構な光量が出たのだろう、全員が目を凝らして見た先にあったのは、何かの生物の卵だった。


<コメント>

:これは想定外

:これがレインボーボックスちゃんの中身ですか

:ハズレ? ハズレなんだよな? ハズレだと言ってよバーニィ

:【+1】でさえ卵なんだからお察し

:やたら落ちてる数が違うのだけに目を瞑れば

:詳細! 詳細を教えて!


「まずは私から」


 蓬莱さんが挙手をして、アイテム情報を語る。


「私が獲得したのは武神の卵。これは孵化した際、武神をモチーフにしたペットを獲得できるものと出ている。きっとこれから先の探索で、このペット達が我々に齎してくれる影響は大きいのだろう。少々イカついのが玉に瑕だが、こいつが私の新しい相棒だ!」


<コメント>

:ほへぇ、ペット枠か。想定したこともないわ

:武器は? 防具は? 専用装備はぁあああ?

:他の子は?


「僕のはマジックサークルモンキーの卵と出ている。これは魔法使いの詠唱速度上昇、威力上昇の効果を有しているのだと思う。言うなれば外付けの装備枠だな。その上で成長もするらしいので、成長する武器の様に思っておけば良さそうだ。ちなみに孵化したらアイテムの譲渡は出来ない。生まれた時に初めて見た相手を親と認識する様だ」


<コメント>

:猿なのに卵から出てくるのか?

:シッ、あまり突っ込むなよ

:きっと不思議生物なんだよ

:一気にファンタジー感出してきたな

:ペットなら俺はパスかな、餌代次第

:それも合わせて配信で明かされるやろ


「私のは天使の卵だったよ! 小さな天使が行動に聖属性を付与してくれるんだって! パーティメンバーにも効果が及ぶからこれからのアタックも安心だね?」


<コメント>

:こっちは天使か

:改めて武神の際物感よ

:シッ

:言うなよ、本人も可愛いやつの方が良かったって顔してるし

:お似合いなんだよなぁ

:逆に天使とか似合わなすぎる

:シッ


「おい、何で俺のは全部ラッキーラビットの卵なんだ? それも六個も」


<コメント>

:草

:幸運をこれ以上加速させるな!

:幸運祭りが始まる予感

:もう始まってるやろがい!

:また【+5】が暴れたのか

:たまげたなぁ

:一番雑魚そうなペット引いてるのに嫌な予感しかしないのが凄い

:今までやってた幸運特化によるゴリ押しがペットでさらにブーストされるんだぞ! 嫌な予感であってる


 俺が悲嘆に暮れる中、コメントだけは異常な伸びを見せた。

 一応金の鍵は神条さん経由でアイリーンさんの元へ。

 魂の定着は恙なく行われる事だろう。

 念のため虹の鍵を取っておいてるのは『やっぱりやめた』と言い出しかねないのでお土産としてだ。


 一応世話になってるのは事実だし、独り身だからこそペットの存在に救われる事もあるだろうとの配慮だ。


 まあ、あげるにしたってダブればの話だがな!


 そして前に進んでから神条さんのディメンジョンゲートで入口に戻り、何回もヒュドラゾンビ戦をやり直した。


 自分達の要望が通らずに泣き崩れるご遺族達。

 阿鼻叫喚の渦に叩き込まれるコメント欄。

 そして戦闘終了のたびに増えていく俺の金の鍵と虹の鍵とレインボーボックス達。


 50戦目くらいからレインボーボックスから出た卵が孵り、戦力増強! 餌は個体によって異なるが、うちのウサギ達は餌にシルバーボックスを要求。

 ムシャムシャしてたちまち巨大化していった。


 霊体なのでモンスターに殺されることはないのだが、俺の姿はもふもふに揉みくちゃにされてカメラから消えるなどのアクシデントもあった。


 至福の時間である。ウサギ、良いな。最初は邪魔者のように扱っていたが次第に愛くるしさが戦場の花となる。

 今じゃ可愛い盛りだ。

 デカいと言ったって四足歩行で軽自動車サイズだしな。


 十分デカいって? 多分ヒュドラゾンビを見慣れてて感覚バグってるんだと思う。そう言うことにしておいて。


 そしてこの子ら、一匹あたりの平均ステータスはゴミなんだけど、俺のステータスを反映してその1/5を飼い主に投影するって特殊技能で俺の幸運を底上げしてくれてるんだが、まぁよく餌を食う。


 要石さんがペットに置き換えられた感じだ。

 それも【+5】のおかげで無駄に6匹いるし、倒すのがヒュドラゾンビなのでレベルは爆上がりするしで大変なことに。

 気が付けば幸運以外のステータスもそこそこ伸びていた。

 やはり幸運はその中では別格だが、見慣れすぎて麻痺しちまってるな。



 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 飯狗頼忠

 レベル:80

 称号 :死に抗う者、クレイジープレゼンター

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 筋力:80  【+96】  176

 知識:70  【+84】  154

 耐久:90  【+108】 198

 精神:120 【+144】 264

 器用:130 【+156】 286

 敏捷:100 【+120】 220

 幸運:8000【+9600】17600

 

 物  攻(筋力+器用÷2):231【+8800】

 物  防(耐久+筋力÷2):187

 魔  攻(知識+精神÷2):209

 魔  防(精神+耐久÷2):231

 投  擲(器用+幸運÷2):8931

 回  避(敏捷+幸運÷2):8910

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 <スキル>

【+1】発動確率50%×幸運補正

【+2】発動確率25%×幸運補正

【+3】発動確率10%×幸運補正

【+5】発動確率0.1%×幸運補正

 ◎行動回数、ドロップ再抽選に大きく影響する

 

【レベル+1】発動率1%×幸運補正

【レベル+2】発動率0.01%×幸運補正

 ◎レベル上昇時、確率でレベルアップ

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 <装備>

 ラックアクセルボウ

 ラックアクセルの矢×40000【物攻+8800】

 虹の盾

 ゴールドボックス×1

 レインボーボックス×1

 マジックポーチ×2

 マジックバッグ×7

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 <アイテム>

 ゴールドボックス×370

 レインボーボックス×69

 金の鍵×370

 虹の鍵×70

 ポーション×9999

 マナポーション×9999

 高級非常食×9999

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 <霊獣:ラッキーラビット>

 ピョン吉、ピョン次、ピョン美、ピョン子、ピョン奈、ピョン太

 【位階:壱】

 主人のステータスを参照し、1/5を主人に還元【個体別】

 一日一回、即死判定を無効化してくれる【個体別】

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 まぁ、いつものことだ。見慣れた景色だな。

 あとはこれは裏技だと思うんだが、俺から吸ったステータスを5で割って6を掛ける事で倍以上になってるのが嬉しい。

 それでも低いって言うな。気にしてんだよ!


 それよりもこの子達の意外な性能は即死判定無効の方にある。

 これは結構な当たりなのでは?

 って思うが、そう思うのは俺が幸運極振りで他のステが低い故だろう。

 まぁダンジョンにおいて即死無効は強すぎる。これは俺だけに限った話じゃないはずだ。


 それってつまり鍵なしで宝箱を開けてもノーダメって事だもんな。

 そう言う意味では俺とは相性が良すぎた。

 鍵はあくまで死なないための保険だから、死なないなら鍵の価値も死ぬわけだ。

 ま、この情報をバラす必要はない。

 コメントじゃ一番雑魚みたいな扱われ方だし、逆にバレたらそれこそ殺人が起きそうだ。そう言う意味でも秘匿でいいだろ。


 ◇


 そして迎えた100戦目。

 ようやく勝負勘を掴んだシンが金の鍵を獲得した。


 時間経過にして俺が金の鍵をゲットしてから二時間後のことである。


 え、一戦二分しかないのかって?

 コツを掴んだらあとは流れ作業よ。

 ダメージ分配を考慮して俺のスキルが発動しすぎないようにするのがコツかな?


 要石さんの神経覚醒アタックもパーティー全員に付与できたのがでかい。これで他人のライフコアもあらかた出たんじゃないかってくらいだもん。

 いやーお疲れお疲れ。深層まで行かずに済んで良かったよな!


「やったぞ! 金の鍵だ!」

「おめでとうシン君!」

「良かったな、シン」

「良くぞ頑張ったね、漆戸君。君の頑張りは誰よりも全世界のみんなが認めてくれてるよ」

「ありがとうございます!」


<コメント>

:人ってここまで変われるんだなって正直思ってなかった

:殺人鬼から英雄の如き担がれ方で草

:実際人の命救ってんねんで?

:お前が金の鍵差し出せって言われて差し出せるかって話だよ

:俺なら依頼バッくれて自分に使うわ

:普通はそうよ

:俺も無理、他人の死より自分のパワーアップやんな

:ここの人達には失望しました!

:人の心とかないんですか!?

:実際、人が死ぬ場所ってダンジョンに限った話じゃないんすよ

:そうそう、ウチの両親も借金取りに追い込まれて身投げしましたし

:それとこれとは状況が違うでしょ!

:違わないんだよなぁ、連続通り魔事件に襲われて死んだって人もいるよ。もちろんその犠牲者の遺族達はどんなにお金を積んでも聖女達からは見向きもされなかった

:え……

:正直、今回は異例中の異例と思った方がいいよ?

:まず蘇生ってすごいお金かかるの

:時間もな? ウチの大統領が暗殺された時も大変だったよ。表向きは葬儀をしてたけど裏で蘇生を試みてた。高い金払って、何人も護衛雇って肉体の維持費でポーションアホみたいにつぎ込んで。でも復活出来なかったんだよ

:聖女もピンキリやから

:まず【特級聖女】が日本にわざわざ来ること自体が例外


「私が呼びました~」


:英雄の肩書き使ったんか

:納得

:蘇生の代金がアホかって思ったけど、忙しい中呼ばれたらそりゃこれくらいの悪ふざけも当然

:なんて言っても世界のアイリーン嬢ぞ

:アイリーン嬢、腕はいいけど蘇生の相場が50億~の人だから

:そりゃ一般人が蘇生お願いするのは無理な話よ

:ところでご遺族さん達は蘇生後のポーション分の代金払えるんですかね?

:今のところプレゼントで飲み水みたいに扱われてるけどこれはここが特別なだけで相場は値上げ傾向にあるよ

:それは、飯狗君になんとかしてもらうことは出来ないんでしょうか?


「すいません、俺のスキルで出した品は天上天下の預かりとなりますので、俺の個人資産じゃないんですよね。なので個人的には渡してあげたいなとは思いつつ、ご自身の娘さんの蘇生維持費に関しましては。各家で持ち寄りでお願いしています。俺はあくまでも蘇生のお手伝いをしてるだけですね、はい」


<コメント>

:草

:そらそうよ

:個人参加してるわけじゃないもんな

:個人的には寄付したがってるけど、上が止めたんやろなぁ

:お友達なら、当然譲ってくれますよね!

:絶対言うと思った

:この乞食根性である

:あんたら各家に無償で5000万づつ入ったんじゃないんか?

:そんな話あったっけ?

:【+1】が金の鍵を無償提供して売れた代金を各家に分けるって話が出てたじゃん?

:ああ、じゃあポーション代は間に合うか

:そんなもんとっくにありませんよ!

:はぁ?

:なんでこの人逆ギレしてんの?

:金がないから持ってる人から無心するのが果たして正義かどうか

:これが全世界放送ってこと忘れてそう


「まぁご家族のお気持ちも分かりますよ。私もダンジョンブレイクで両親や弟を亡くしてますし。勿論、ダンジョンから溢れ出たモンスターによる被害です。当時はスキルの発現もまだ一般的ではなかったですし、死者蘇生なんて技術もなかったです。お酒に逃げたりしましたよ。だから私は遺族の方達が何にお金を消費したのか良くわかるんです」


<コメント>

:でしたら私達の心情、わかってくれますよね!?

:ね!? ポーションだってお譲りしてくれたって良いじゃないですか! こっちは娘を奪われたんですよ!


 ご遺族の気持ちもわからんでもないアピールをし出した蓬莱さん。だから自分たちの発言を肯定してくれると思ったのか、ご遺族は矢継ぎ早に要望を継ぎ足した。


 自分たちの懐は痛まずに、可能な限り俺やシンに負債を負わせようと勢いづく。

 なので俺の方から少し釘を刺しておく。


「いやー、無理でしょ。蓬莱さんとあなた方では状況が何もかも違う。ライフコアが綺麗で蘇生の目があって、かつ加害者への復讐じみた依頼書、無理難題とも言える目的の設定。自分達の命はかけずに高みの見物。そして外野からのマナー違反の数々。残念ですけど俺はクラスメイトを復活させたいからこの依頼を受けたのであって、決してあなた達を調子づかせるためにここにいるわけじゃないんです。ポーションは供給してあげてもいいですが、お金はきちんと払ってくださいね?」


<コメント>

:そんな……

:お友達なら……


 お友達なら、借金まみれの友達の代金を肩代わりしてあげるのが普通とか、本気で思ってるのだろうか?

 んなわきゃねーじゃんよ。どれだけ他力本願なのよ。


「あー、と色々勘違いされてるようなので訂正させて貰いますね? 春日井さんと狭間さんは確かにクラスメイトではありますが、生前俺に対して嫌がらせ、イジメに近しい行為を働いておりました。俺からは別に彼女達に対して死んで欲しいまでの感情は抱いておりませんでしたが、まぁまぁ嫌な感じは持っていましたね。好きか嫌いかで言われたら顔はあまり見たくないです。クラスメイトのよしみで助けてやったって感じで、それ以上でもそれ以下の感情も持ち合わせてないです、はい」


<コメント>

:えっ


 驚くよなぁ。自分でも正直人が良すぎるって思ってるもん。

 でも、見過ごすのも飯が不味くなるし、俺の力が役に立つんなら、それを活かしたいとは思ってる。


 だからって全部が全部タダ乗りは感心しないぞ?

 

<コメント>

:釘刺されててくさ

:まぁレベル1の【+1】ならそりゃイジメられるよな

:自分より能力低いってそれだけで世間じゃマイナスだから

:世間一般の被害者だから【+1】は

:まさか自分たちの娘がいじめの加害者だと初めて知ったとか?

:あり得る


 俺の弁明に驚き戸惑うご遺族達。

 そりゃ、自分たちの娘がいじめに加担していたなんて世界放送でバラされたら色々と身動きは取りづらくなるもんな。

 

 会社でも色々と噂されるし、学校にも居場所は無くなるわけで。

 これは蘇生させた後の方が大変だったりしそう。

 知らんけど。


 そんな感じで、俺たちは仕事を全うして、さぁ帰るかと言う時。

 改めてシンに呼びかけられる。


「あの時はお前に辛く当たって悪かった。彼女達をそのように扇動したのも僕だ。深く反省している、もうこんなことはしないと誓うよ。ごめん、頼忠」

「おう」


<コメント>

:やっぱりこいつが主犯か

:罪を認めたって許すわけないやろ

:潔い土下座である

:形だけの謝罪に意味はないよ

:実際殺されかけたらなぁ

:その上で無理難題の依頼に抜擢

:俺だったらぶん殴ってる

:殺されたって文句言えねーよ

:その上で依頼達成しちまうところがすごいんだ!

:【+1】のファンは割と増えたよなー、この配信で

:増えたのは【+1】のファンじゃなくて飯狗頼忠本人のファンだろ

:草

:まぁこんだけプレゼントばら撒きゃファンもつく

:そのファン、乞食って肩書きついてない?

:言うなや、俺もお前も乞食。それでいいだろ?

:良くないんだよなぁ

:巻き込むな、お前一人で汚名を背負え


「あたしも、自分より弱くて役に立たないって勝手に決めつけて、酷いこといっぱい言ったよね? 最終的に助けてくれたのは頼っちで、だからこうして反省して役に立とうと体を張ってます。許してくれなんて到底言えないけど、でも、せめてお友達からやり直させてください!」


<コメント>

:おおっと、まさか【洗浄】ちゃんも加害者だった件

:全方位加害者とはたまげたなぁ

:世間一般の【+1】はステータス弱者で奴隷みたいなとこあるから

:被害者ぶってた加害者ご遺族はどこ行った?

:ダンマリを決め込んでるよ

:特大なブーメラン投げてるってようやく気づいたか

:自分達の蘇生が好条件すぎたって普通は初見で見抜けんよ

:俺達の仲間を蘇生する際、アイリーン嬢が来てくれる可能性ときたら……

:ほぼ0%なんよなぁ


「別に、俺はコメントで言われるほどお前らに対してなんとも思ってねーけど。シンは親父さんを亡くした思い込みからの疎遠で、要石さんに至っては俺も同じくらい悪いことしたって思ってる。だからさ、誰が悪いとかはここでは関係ないと思うんだ。そりゃ、いじめられてる時はなんだこいつ!って思いもしたけど、結果シンがダンジョンに無理矢理にでも連れてきてくれて、要石さんがブーブー言いながらも囮役を引き受けてくれたおかげで今の俺がある。そう思うと全部が全部憎いって感情は湧かねーんだわ。だから俺からも言わせてもらう。誘ってくれてさんきゅな、シン。要石さんも改めて囮役助かってます。おかげで俺の汚名も返上出来たし、これもうwin-winで良くね?」


<コメント>

:ぐあーーー、こいつ懐深すぎんだろ!

:その懐の深さに甘えてたのが俺らだから

:乞食乙!

:まだたくさんボックス余ってるでしょ? 開けてプレゼントしよ?

:ほぼゴールドとレインボーな件

:配れるわけないんだよなぁ

:配ったら奪い合いだぞ!?

:殺しても奪い取るが現実に起きちゃう!


「勿論それらは天上天下預かりで、オークションでの入金のみ引き受けますんでプレゼントを期待してる方はごめんなさいね~? お金は頼忠君のお家に入りますが、桁が桁なので蓬莱バンクでの預かりになると思いまーす」


<コメント>

:この手の平の返しようである

:仕方ねーよ、この配信でレインボーの中身の性能確認はできたんだし、それ以上を求めるのはゴミ屑の所業

:ゴミ屑言うなし!

:人の物欲しがって集る奴にゴミ屑以外の名称が思いつかない

:成長する外付けの武器だもんなぁ、タダでくれるわけないわ!

:ゴールドだってまだ行き届いてないもんな

:ここの配信見てると脳がバグりそうになるが、別に供給が過多になったわけでもなんでもなかった!



 ◇


 そんなこんなで俺達は無事金の鍵を二本入手することに成功!

 アイリーンさんに提供することで蘇生の場に立ち会った。


「本当に、蘇生の瞬間を全世界に公開しちゃって良かったんですか?」

『いいのよ。実際にどれほどの作業がかかるかを見てもらわなきゃ、今後も無理難題なお仕事が舞い込んでくるもの。ポーションは結構使うけど平気よね?』

「シルバーボックスなら在庫ありますんで、足りなかったら言ってください」

『本当に、規格外なんだから。じゃあ、始めるわよ』


 カメラがライフコアから半分蘇生させた肉体へズームアップする。この状態ではまだ死体だ。

 だが、アイリーンさんが魔法を唱えながらポーションを振り掛けた場所が、みるみる肌の色が良くなっていく。もうここまできたら植物人間くらいの完治度だろう。


 しかし肝心の魂の定着がまだである。

 肉体だけが復活しても、どうしょうもないのだ。


<コメント>

:蘇生って、こんなに手間かかるもんなんや

:蘇生場面見せるのなんて世界初じゃね?

:グロいグロいグロい

:皮膚ついてる状態でグロいはないわ

:この子達、本当に死んでたんだな

:それ 遺族の被害妄想かと思ってたわ

:死んでなきゃあそこまで騒がないんよ

:仮に死んでたとしても、あれは酷いと思うが?

:ライフコアからの素性はマジでグロ耐性ないときついからな

:先に肉体復元してるのは助かる

:待って、もしかしてこれ、先にポーション使ってるから後から請求される系では?

:ありうる

:そこをなんとか

:なんとかならんよなぁ、大事な娘なら今からでも死ぬ気で働いてもろて

:肉体復元はマジで閲覧注意だから正解

:俺はライフコアの状態を見てるから言えるけど、マジで完治するのな

:ここからが難しいのよ

:そうそう、これで魂が定着しなかったら今までの苦労パァだからな

:シッ 始まるぞ


 アイリーンさんの子守唄のような詠唱。

 クラスメイト達の体の上に、眩いばかりの光が満ちる。

 コメント欄で、これが魂なのだと教えてもらった。

 そばにあるスキルコアが呼応するように色味を増した。


『宿ったわ』


 額の汗を拭うように、アイリーンさんはほっと一息つく。

 たった一人の施術で、寿命を数ヶ月分浪費したみたいな焦燥具合。コメント欄ではどれほどの消耗具合か、予測されてる。


 遺族達は立て続けに二名の組成が行われると思っていたのだろう。しかし見るからに倒れそうなほどの消耗具合に続行の声を上げる人はいなかった。


「お疲れ様です。ポーション飲みます?」

『いらないわ。私の疲労度まで引き継いで直しちゃうもの。この症状を治すのは、きっちり休んでメンタルケアをして、軽い運動をこなさないとダメなの。だからね、数日休むわ』


<コメント>

:蘇生ってマジで重労働なんだな

:施術するまでは、あんなに生気に満ち溢れていた人が、こんなに枯れるのか?

:27連勤したってあそこまで疲れ果てないぞ?

:むしろ寿命縮んだ?

:蘇生待ちしてる親御さん達は気が気じゃないだろうけど、これ、下手したら特急聖女を無理させたってことを理由に聖女教会から訴えられるんじゃね?

:あり得そう

:でもあの教会は、蘇生にここまで命懸けとか表に公開してないよな。なんでだ?

:そら、あまり大変アピールしたら仕事取りこぼすからでそ

:教会にとっては聖女は消耗品かな?

:聖女ェ……

:こりゃ、聖女人口増えないわけだわ


 コメント欄で並べられてる通り、この仕事は寿命を削って成り立っているように感じた。

 今回アイリーンさんが世界に向けて発表することで、バカげた蘇生依頼は回ってこないことを目論んだと思うが。

 俺の直感は告げている。


 自分勝手なやつは、自分さえ良ければいいので、今後この手の仕事は減らないだろうこと。

 そして……俺の今後ももっと真剣に考えなきゃいけないと思った。


 それから二週間後。

 もう一人のクラスメイトを蘇生して、アイリーンさんはオーストリアに帰って行った。

 見てられないくらいに憔悴していたので、お土産にレインボーボックスと虹の鍵を持たせたら咽び泣いていた。


 そんなちょっとした冒険を終えて……俺はというと。

 普通に高校生を続けている。


 理由は単純明快。

 親父の真似して探索者をやったところで、前回の配信と同じような乞食が絡んでくるのが目に見えているからだ。


 けど、俺と違ってシンは前向きに探索者として頑張っているらしい。今は俺の親父と一緒に自分の父親のライフコアを探し回っている。


 芸能事務所はやめて、また一からスタートしたらしい。

 一時期はCランクまで上げた地位だが、今は進んでDで止めていた。

 お金を稼ぐ以上のやり甲斐を見つけたらしい。


「頼忠! お前の親父さん、一体何者なんだ? なんであの実力でDなんだよ。果てしなく納得いかないんだが」


 そこに気づいちゃったか。

 なんだかんだ蓬莱さんが絶賛するぐらいの腕はあるんだよ。

 どこかの誰かを蘇生させるために必死なだけでさ。


「おはよう、シン。親父曰く、ランクで人は量れねぇらしいぞ?」

「なんだそれ」

「わからん。実際俺は探索者でもなんでもない一般人だ」

「本当にもったいないよ。頼忠強いのに」

「そうはいってもあのまま続けたらどうなるかわかるだろ?」

「まぁ、その場にいた僕ですらクレクレ死ねって思ったからね」


 実際にそう思っても、口に出すのはやめといた方がいいぞ?

 世の中どこでそれが自分の首を絞めるかわかんないからな。


 シンはあれから俺に対して厳しく当たることはしなくなった。

 どちらかと言えば、昔以上に俺にべったりな気がする。

 一時期嫌な奴だったが、今じゃ親友扱いに昇格だ。


 クラスの態度も俺に向ける不躾な視線はなくなり、嫌悪感も緩和されたように思う。

 そして、蘇生されたクラスメイト達も……


「おはよう、飯句君」

「狭間さん、おはよ。体調に変化はない?」

「今のところは。ただ、ずっと身体を動かしてなかったから、リハビリが必要みたいなの。運動苦手なのに」


 低血圧気味なのか、朝が弱い狭間さん。

 対してもう一人はというと。


「おはよー世界! あたしがきたぜー!」

「あたしもきたぞー! みんなおはよう!」


 春日井小波&要石さんはハイテンションでクラスの扉を力強く開けた。勢い良すぎて扉が壊れるんじゃないかと思うほどにパワフルである。


 要石さんもあの戦いでレベルが上がって、超人の枠組みに入ったもんなぁ。

 けれど春日井さんは恐れることなく要石さんと付き合っている。


「おはよ、二人とも」

「なんだー飯句? 元気ないぞ?」


 春日井さんに背中を殴打されるが、まるで痛くない。

 平気そうにしてると、要石さんが追撃したので、これは素直に回避した。


「ちょっとー頼っち、あたしの気合い注入だけ回避するとか酷くないー?」

「俺も健康には気をつけてるんだよ、要石さんの攻撃力で殴られるとかまじ勘弁」

「許してあげてよ要石さん、頼忠のステータスは貧弱なんだ」

「言うに事欠いてそれはどうかと思うな〜!?」

「おう、お前ら席につけ。出欠取るぞー」


 こうして、穏やかな一日が始まり、急速に過ぎ去る。


「めーしーくーくーん! ダンジョンにもーぐりーましょ!」

「悪い、今日予定あるから」

「そう言って、昨日もパスしたじゃん? これで五度目よ?」

「やることってなんだよ、今日こそは参加してもらうからな!」

「忙しいんだよ。誘うなら他の+1誘えよ。それとも、俺じゃなきゃいけない理由でもあんの?」


 学校生活で一番億劫なのは、帰宅時のパーティ勧誘の声ぐらいか。

 俺は毎回やることがあるからと誘いを断ってきていた。

 だが今日に限って、妙にしつこい。

 理由はなんとなくわかる。上からせっつかれているのだろう。


 前回の配信で気前よく配りすぎたのが大元の原因である。


「他のやつはほら、宝箱を開ける前で気絶しちゃうんだよ。飯句なら実戦で戦えるし、なんなら宝箱も複数出せるじゃん?」

「結局他力本願じゃねーか。それ、お前らが行く意味あんの? むしろ俺一人で行っても同じことじゃね? はっきり言えよ。宝箱が欲しいって。ワンチャン中身も狙ってんだろ? だから俺を誘ってるんだって認めちゃえよ」

「その通りだよ、ちくしょう! わかったらさっさと着いてこい! 今日という今日は逃さないからな!」


 とか言って囲い込んでくる同じ学校の奴ら。

 全く。お前らは配信で俺の能力を目の当たりにしながら、まだ実力差が分かってないようだな。


「お前とお前、レベル幾つ?」

「は? それが今関係あんのかよ!」

「大有りに決まってんじゃん。探索者にとってはまず第一にステータス。その次にレベルが全てと言っていい。で。お前らいくつ? 格上のレベルを誘う際にどれくらいのマージンを払うか知ってるかの質問も兼ねてさ」

「え、14だけど」

「そうか、残念だったな。俺は100だ」

「は? そんなんSランク相当じゃんか!」

「どうせわからないと思って出鱈目言ってるだけだろ!」

「そーだそーだ!」


 先輩達は捲し立てるように抗議するが、悪いけどこれが探索者のルールなのよね。ちなみに俺は厳密には探索者じゃないけど、同等の権限を持っている。天上天下の一員ということでの特例措置だ。

 ただの学生のままで、ダンジョンに入るのは色々まずいらしい。


「あちゃー、なんも知らないのな。いいか、お前ら。俺は腐っても天上天下の一員だ。それを一時的にでもパーティに入れるっていうことはだよ? 天上天下の事業に穴を開けるってことだ。その損失をお前らは払えるのかって言ってんの」

「一時間でいいから! 頼む!」

「俺に頼まれてもなー。交渉するならクランに言ってよ。じゃ、ほんとに用があるからさ。俺はこれで帰るわ」


 物理的に相手の攻撃を回避しながら、目的の場所までいくと。


「頼っち、遅いぞ」

「悪い悪い。勧誘がしつこくてさ。今日はどこのダンジョン行くって?」


 先に天上天下に来ていた要石さんに話を聞き、最寄りのダンジョンセンターへと電車を乗り継いでダンジョンへと向かう。


「ようこそ、おいでくださいました。お話は伺っております。今日はよろしくお願いします」

「いえ、やりたくてやってるんで。ただし、蘇生の方までは責任を負いきれませんが」

「いえ、見つけ出してくれるだけで遺族の方も喜びますから……」


 あの日、配信を通して俺が発掘したライフコア達は、多くの遺族達の手に渡って、連日に渡って感謝の手紙が届いた。

 それに味を占めたわけではないが、俺の能力を活かす道があるならここだ、と改めて自分の道を決めたわけである。


 要石さんは【洗浄】要因として手伝ってくれている。

 本当は聖女協会からお誘いを受けていたんだけど、配信での聖女のあり方に疑問を抱いて、俺と同様に自分の力を活かせる場所を選んでくれたのだ。


「すいません、今日はこれぐらいで上がります。要石さん、収穫物出して」

「オッケー」


 じゃらじゃらと磨き抜かれたライフコアが16個。

 それ以外のアイテムは、寄付としてお金に変えて募金箱に投入した。


「お疲れ様でした」

「また来ます」

「お待ちしております」


 ダンジョンを去る時の、なんとも言えないようなやり遂げた感。

 この心地よさが、仕事したなーって気持ちになるのだ。

 ライフコアを受け取った方も満足、俺たちもお手伝いできて満足。両者ウィンウィンの関係が出来上がるのだ。


 そう、配布配信の時のような、全方面に喧嘩を打ってギスギスするような探索、二度とごめんだね!

 俺は親父に誇れるような立派な探索者になるんだ!

 

 だからこれはまだ小さな第一歩だとしても、子孫に拓せる偉大な一歩なのだと自分に言い聞かせた。

これにて本作は完結です!

お読みいただきありがとうございました!

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