The Queen
______ズンズン、ズンチャ
赤、紫、青、ピンク、金…、カラフルに変わり、アルコールの匂い、濃く絡み交わった香水の香りが漂う。
重低音が鳴り響くまるで麻薬のようなこの空間、
1人の女性が足を踏み入れた。
____カツカツカツ
全体的に露出したワンピースに高さ10㎝程のハイヒール。
「なに、あの子」
「噂の財閥令嬢じゃないの?」
「いつもスクープになってるよね?」
「えー狙っちゃっおっかなー笑」
噂をしてる人間達に顔を向ければ
「っ…」
堂々と、何にも恐れずに歩き続ける彼女に目を奪われてしまう。
この世の人間とは思えないオーラを放つ彼女。
その姿はまさに、The Queen《女王》.
「和歌、まってたよー♡」
いつもの席に座ると友達のさくらが全体重をかけて抱きついてくる。
「さくら、重い」
「いいじゃーん、久々なんだからー。お父様に出禁喰らってたんでしょ?笑」
「そーだよ、はあ」
「うけるんだけどぉー笑 ねーじゃー今日はどの子と あ そ ぶ ?♡」
「んー、今はいいかなーお酒飲みたいの」
「ふーん?じゃ、あたしは麗くんと遊んでくるぅ♡」
「麗くんいこぉー♡♡」
「線は守るんだよ?さくら」
「てへっ♡」
はあ、
やっと嵐のようなさくらが遊びに行った。
まあ、今日もどうせ朝帰りだろーなー。
1人黙々とウイスキーを流し込む。
「ねー、和歌ちゃんだよね?」
「今1人?」
そう言って体と体が密着するように座ってきたいかにも誰とでもヤってそうな男。
「えー、ねぇ、無視しないでよー?」
はあ、面倒くさい
「すいませんけど私そう言うために来てるわけじゃないんで」
「…ふーん、?あっそ」
え、何何何何
こんなすぐ引かれたの初めてなんだけど不吉な予感しかしない。
なんて考えはお酒の美味しさに溶かされ、
「はあ、美味し…」
お父様に出禁を喰らっていた間飲めなかった分を回収するように喉に流し込んだ。
気づけば、人は少なくなってきていた。
みんなホテル行きだろう。
うわーヤバ、飲みすぎた。
立とうとすると視界はぐにゃっと歪む。
_____プルルルルプルルルル
「もしもし?あ、宮良さん?」
『お嬢様!?旦那様がお怒りですよ!出禁が解除されたばかりなんですから、気をつけてください!』
「あはは、わかったよー笑 宮良さんが言うなら気をつけるぅー」
『お嬢様、今soñarクラブですか!?』
「そーなの、お酒飲みすぎちゃって、お迎えお願い」
『今すぐ向かいます!!』
電話もしたし、ふぅ、
壁に触れながらロータリーへ向かう
_____ドンッ
「あ、すみませn」
「あれー?和歌ちゃんじゃーん?大丈夫ー?笑」
あ、さっきの密着男
「酔ってるんだー?笑 送ってあげよっか?笑」
そう言って私の手を掴む
「大丈夫ですからっっ!」
そう言って手を振り解こうと頑張っても、やっぱり男の力には敵わない。
しかも視界が歪んでいてよくみえない。
ヤバイ、振り解かなきゃ…。
「本当に大丈夫ですからッッ」
もうダメかも、力入んない。
お酒飲みすぎた、はあお酒厳禁かなしばらくは。
「嫌がってるじゃないですか、」
え、?
気づけば腕は振り解かれ、目の前にスーツを着た男の人に守られていた。