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竜と姫が、月を仰ぎ見る。その3


 街に着いた。


 馬車とか使ってたわりに、文明レベルは意外と高そうだ。

 中世ヨーロッパ的というより、スチームパンク的な感じ。


 蒸気機関より剣と魔法が好きだからちょっと不安だ。

 街が清潔そうなのは良かったけど。


 道中、魔物とか野生動物と遭遇したら普通に終わるなって思ってたけど、ぜんぜん大丈夫だった。

 ってことは、流石にこんなしょうもないところで死ぬようなキャラじゃないってことなんだよな。

 ……いやだったら普通に活躍させろよ!

 いらないでしょ挫折パートなんか!

 

 とまあ、なんだかんだ言ったが、大変なのはむしろここからだった。

 なにせガチの一文無しである。

 売るモノといえば衣服とかそういう尊厳に直結するやつしかない。


 じゃあなんでスマホ捨てちゃったの? と思ったそこのお前、異世界転移エアプか? エアプは黙ってろよ!

 ……いや、ほんと後悔してます。みんなも異世界に行ったら拙速な行動は慎もうね。


「うおおおおなんとかなった……!」


 ともかく、達成感に溢れて、安宿のベッドに倒れ込む。

 臭い。カビとか皮脂とかそういう匂いがすごい。

 でも雨風がしのげる個室だ。文句は言うまい。臭えなあ。


「ふあ…………眠すぎる…………」


 森から歩き通しで朝方に街に到着し、それからずっと動いていたから眠気がやばい。

 腹も減ってるし血も足りてないが、それも無視して意識を失いそうになる。

 

 そう、俺が宿泊費と衣類費を稼げたのは、血のおかげだ。

 俺に売れるものはもうこの身体由来のものしかなかったのだ。

 ありがとうお母さん。


 しかしそこかしこに売血屋があったな。

 輸血技術があってすげえってのは置いといても、血を買い取るほど、この国では足りてないってことか?

 戦時中か、はたまた冒険者の街で、怪我するのが日常茶飯事だからか。

 分からんけど、とにかく助かった。

 

 とりあえず、明日は――――。

 そう予定を立てようとしたところで、意識が消えた。


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