表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/26

妙幕。


 ――本は陳列され、電子データに値札をつけられる。


 ゲームがモニターに映し出され、ガチャが回り、シナリオが開放される。

 アニメは円盤に焼き付けられ、ストリーミング再生される。


 つまり、そう。――この世界で、物語は売れるために作られる。


 あらゆるオタクコンテンツが、物語という芯なしでは存在し得ないこの時代。

 無数のコンテンツが、自らの生き残りを賭けて戦っている。


 作画が命だ、と誰かが言う。

 いや、シナリオがなにより重要なのだ、と誰かが反論する。

 あるいは声優。

 あるいはゲーム性。

 運営。レア率。ユーザー還元。プロモーション。

 

 しかし。

 飛び交う議論の中で、いつだって一つの声が、正鵠を射る。

 ――でもまあ、ぶっちゃけ。

 キャラが良ければ、割となんでも推せるよね、と。


 かくして、物語に登場する人物には一定のクオリティが求められた。


 単なる記号ではなく、写実でもない――それは、創作物としての命。


 創作物としてのリアリティを、世界は求めるようになったのだ。

 

 ……“彼女たち”がいつごろその分野に目を付けたのかには、諸説がある。

 

 世界の真理の座を科学に奪われ、追われた“彼女たち”が見いだした、唯一の経済的活路。

 それが、創作という分野だったと言われている。


 “彼女たち”がいつからそれに目を付けたのか、詳しいことは誰にも分からない。

 古いものだとシェイクスピアがその集団の共同ペンネームだという説もあるし、手塚治虫も実は“それ”だった……というトンデモすらある。

 

 ともあれ。


 真実は秘匿されていて、大多数の人々がその存在を知ることはない。

 ……しかし確かなのは、現代の創作物には間違いなく“彼女たち”の手が入っているということだ。


***


「――そう、この世界は“創られた本物”。

 世界は因果の道筋に従い、主人公たちが物語を生み出し、やがて完結に至って一冊の本となる」


 少女は閑かな声で語る。


「……“現実”には二種類の作り手が存在している。

 ひとつはただ単に“創作者”と呼ばれていて……。

 もう一方。

 魂を創り、世界を創り、それを観察する語り手は」

 

 少女は見上げる。

 そこからでは見えないはずの、ふたつの月を。


 ……そして、彼に視線を向けて、言葉を続けた。



「――“魔女”と、呼ばれている」













【幕開け前の、ハッピードランカー・ウィッチ】












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ