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竜と姫が、月を仰ぎ見る。その16
向こうに広がっているのは、バケツツールで塗りつぶされたような白だ。
「くそ……くそッ! クソッ!!」
ガンガンガン!! と、リーンが鉄格子に苛立ちをぶつけている。
こわあ……敬語キャラがしていいキレ方の範疇を超えてんじゃん……。
状況の異常さより、リーンの変貌七変化の方が怖い。
「切り離された……?
トリガーは“本質への質問”、もしくは“魔女”か……?」
「あ、あのぉ……」
「因果の薄い場所に誘導したのが裏目に出た……!
いや、誘い込まれたんだ……くそっ!」
うおお。
すげえ一人で状況を判断しているが、俺は全く分からないので少し共有して欲しい。
……とは言うものの、なんとなくは分かる。
つまり、俺たちは二人して謎空間的なアレに閉じ込められた、というわけだ。
俺はひとまず探し始めた。
~しないと出られない部屋、みたいな文言を。
…………残念ながらどこにもなかった。
ただただシンプルに、謎の空間に閉じ込められたということが分かった。
いや、それじゃ困るねえ……。