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竜と姫が、月を仰ぎ見る。その10


 連行されていく道中。

 おっさんの手伝いをしていることを告げると、ふたりの警戒度がぐっと下がり、身の上話などもしてくれるようになった。

 ありがとうおっさん。ありがとう土木工事。


 んで、ガードの下がったところでいろいろ聞いてみたところ、このふたりの付き合いはけっこう長いらしい。

 幼なじみってやつ。

 

 そもそもラヴが冒険者になりたかったというより、イザナが無鉄砲に飛び出していったようだ。

 おっちょこちょいな親友をほっとけなかった、的な。


 美しき友情ではある。

 けど、女二人で社会の荒波に飛び込んでいったと言い換えると、おっさんの気持ちもまあ分かるなあ。

 しかもめちゃくちゃ美人なわけだし……。


 幸いだったのは、ふたりに才能があったことだ。

 イザナは剣技全般。

 ラヴは魔法全般。

 まあ、そこらへんは見たまんまだな。これで逆のロールされても困るがっていうか、


「マホウ!!!」


「うわあ、なに、急に」


 イザナが仰天している。剣の柄に手をかけている。やめてよ。


「いや、やっぱあるんだと噛み締めているところだ。

 やっぱ剣と魔法だよな。銃と火薬はちょっと違うよな。なっ!」


「なんだこいつ」


「レイヴンくん、やっぱりだいぶ変わってるね。なんか安心したよー」


 イザナはともかくラヴの方は印象わりとよさげで良い感じだが、意味が微妙に分からない。


「……どういう意味?」


「お父さん昔からそういうタイプの人、ほっとけないからなあーって意味」


「“安心したよー”は?」


「人殺し凶悪犯って感じじゃないから良かったなあって。

 倫理なしではちゃめちゃ抵抗してくる輩だったら、呪縛したり腱縛筋束しなきゃだからだからねー。

 とても面倒くさい。そうならなくて良かった!」

 

 そう言って綺麗に笑ってみせる。

 用語はよく分からないが、抵抗しないほうがいいのはよく分かった。ちょっと怖い。


「マジで俺、なんもやってないんだってえ」


「……でも、冒険者にわざわざ連行の依頼が回ってくるくらいだし」


 イザナがわりと胡乱げに言う。


「実のところ、凶悪人物なのでは?」


「いやいや、そうじゃないって。

 もちろん一般人、とも言い切れないけどなァ……!」


「あ! やっぱり!」


「なんて邪悪な笑顔……」


 しまった!

 絶賛異世界転生中の身であるという強靱な自負がいらんことを言わせた!

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