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魔力の溢れるこの世界で  作者: 軌跡リンク
7/12

隊長の戦い

第七話です!

今回は前回登場した隊長さんの戦いです。

怜斗に黒幕を突き止めてもらった隊長さんはどうしたのか?

それでは本編をどうぞ!


 ____怜斗と、隊長が別れた後。


 「本当に居た…!」

 屋上の扉を少し開けながら彼女はそう呟く。

 彼女の名は、三日月咲楽(みかづきさら)。対魔第4部隊の隊長であり、対魔部隊の中でもトップクラスの実力を持つ存在だ。

 彼女達の部隊は先遣隊として、この周辺に魔力犯罪者が居るという情報を受けて調査に来ていた。

 だが、調査を始めてまもなくして、彼女の部下達が突如としてお互いを攻撃し始めてしまった。

 すぐさま咲楽は周囲の民間人の避難を誘導し、民間人の避難が完了した後に、彼女達を止めようとしたのだ。

 そこで、ある少年に会い、彼に言われるがままこの場所へとやってきた。

 (まさか、彼の言った通りだとは…彼は一体…ともかく今はあの男を捕まえなくては)

 そう思考する彼女の目には1人の男が怪しげな機械に魔力を流しているのが映っていた。

 「くふふっ、もっと暴れろ!対魔部隊共よ!自らの守るべきものを自らの手で壊すがいい!」

 「随分と悪質だな」

 咲良は腰の刀を抜きながら、男に近づいていく。

 「き、貴様は!刀姫(とうき)!何故ここが!?」

 「貴様に教えてやる義理はない」

 三日月咲楽は魔力を使う者にしては珍しく実物の刀を主な武器として戦う。

 その剣術は凄まじく、魔力を使わずに模擬戦を行った時は誰1人として彼女に敵わず、純粋な戦闘能力だけなら、対魔部隊の中で一番と言われている。

 その圧倒的な剣術と、彼女の美しい容姿から、いつしか刀姫という異名で呼ばれるようになっていった。

 実物の武器を使うのが珍しいのは魔力を使える者達はその多くが、武器を使うときは魔力を武器へと変化して戦うからだ。

 理由としては単純、魔力を武器に変化させた方が威力も高いし、扱いやすいからだ。

 もちろん、実物の武器を持たないということは、魔力を武器に変換できなくなれば、素手と変わらなくなるという弱点になるが、そんな事態に陥ることはそうそうない。

 それでも、彼女が実物の刀を使う理由…それは彼女の実家は剣術を教える道場をしており、彼女にとっては魔力で出来た剣より実物の刀の方が馴染み深いからという理由がある。

 だが、一番の理由としては、彼女は魔力にばかり頼った戦いというのに危うさを感じているからだ。

 「よくも、私の部下達を操ってくれたな…覚悟は良いか?」

 「く、くるなぁ!!」

 男は接近してくる彼女に対して、炎の魔法を放つ。

 放たれた炎の魔法が、4つほどの火の玉へと別れる。

 それを軽々と避け、彼女は男に斬りかかろうとして、反射的に右側に避けた。

 その直後、彼女の横を火の玉が過ぎ去っていった。

 「チッ、引っかからなかったか」

 「妙な魔法を使う…それが貴様の本領と言ったところか」

 「そうだ!俺は自分の放った魔法や、自分よりも魔力量の低い魔力持ちを操れるのさ!」

 「…なるほど、わざわざ自分の能力を明かすとは…愚かだな」

 「わかったところでどうしようもないだろ!」

 そう叫びながら、男はさらに炎の魔法を展開し、咲楽にぶつけようとする。

 瞬間、男の目から彼女の姿が消える。

 それと同時に男の体が地面へと倒れ込み、そのまま意識を失った。

 彼女のやったことは単純明快。魔力を足に集中し、超高速で接近、そしてそのまま斬り伏せたのだ。

 口にするだけなら簡単だが、やるのは難しい。

 それが出来てしまう辺り、それだけ咲楽の技術が高次元のものと言えるわけだが。

 「無力化できた…後は本部へ報告だな…ん?」

 本部へ報告しようとした瞬間、彼女の部下から連絡が入る。

 『あ、隊長!聞こえますか?』

 「その声は愛梨か?良かった。どうやら正気に戻ったようだな」

 愛梨は最近、彼女の部隊に入ってきた新人だ。

 新人のため、まだまだ経験は足りないが、伸び代があると咲楽は見ている。

 『はい、あの子のおかげで助かりました!』

 「あの子?あぁ、あの少年か…」

 『そうです!あっ、そうだ!隊長の指示通り、4つの中継機も破壊しておきましたよ!』

 「中継機…?」

 『はい!よくわからなかったんですけど、私達を操っている魔力があって、その魔力の中継機を破壊するっていう風に指示したんですよね?あの子から聞きました』

 「少し待ってくれ…」

 困惑気味にそう呟きながら、彼女は思考を働かせる。

 (そもそも中継機のことなど初耳だ。間違いなく少年が彼女達を誘導したのだろう。そういえば、この男、私と戦う前に怪しげな機械に魔力を流していたな)

 「まさか…!そうか、この男が遠距離から彼女達を操れたのは中継機があったからか…!ここから魔力を流し、中継機を通して遠くにいる人間を操ったのか!つまり、あの少年はそこまで魔力が見えていた…」

 『あの〜隊長?私、まずいことしちゃいましたか?』

 「あぁ、大丈夫だ。確かに私が少年にそう指示するように頼んだ」

 『そうなんですね!良かったぁ…それにしてもあの子なんでこんな所にいたんだろう…聞きそびれちゃいました』

 「そうだな…それにしても、逸材というのはどこに居るかわからないものだな」

 (彼の能力は希少だ…そんな存在を見逃すわけにいかないな…もう1度、会えれば良いのだが…そういえば、彼は制服を着ていたな…後でどこの学校の制服か調べておこう)

 『確かに、あの子すごそうですよね…スカウトしてみます?』

 「あぁ、ぜひとも彼には私の部隊に来てほしいものだ…もちろん、本人の意志が一番だが。さて、私は後処理をしてから帰るよ。本部への報告を頼む」

 『了解しました!』

 その返事を聞いた後、通信が切れた。

 「さて、本来は本部に連行するところだが、この男は危険だ」

 そう口にしながら、倒れている魔力犯罪者の男に刀を突き刺す。

 「ぐふっ…」

 小さな呻き声を上げながら男は絶命した。

 そして、その後強力な炎の魔法を浴びせ、塵も残さず燃やし尽くした。

 「そうだ…あの機械も破壊しておかなければ」

 そう口にしながら、彼女は男が魔力を流していた機械を刀で斬り裂き、破壊した。

 「…魔力犯罪者とはいえ、殺すのは良い気分がしないな…まぁ、仕方のないことなのかもしれないが」

 本来、無力化した魔力犯罪者は本部へと送還されるが、稀に厄介な能力を持っており、本部に送還した時に甚大な被害が発生すると判断された場合はその命を断つことが許可されている。

 今回の場合は自身より魔力量の低い魔力持ちを操れるという能力が、その対象となる。

 対魔部隊には新人も多くおり、魔力量が低い隊員も多い。その人物達が操られたら、被害が大きくなるのが目に見えるからだ。

 そして、その権限を持つのは各部隊の隊長のみである。

 「魔力を封じる方法でもあれば、こんなことをせずに済むというのに…なかなか上手くいかないものだ」

 彼女はそう口にしながら、屋上を後にするのだった。

といった感じの第七話でした!

それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!

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